政府主導の「量的緩和政策」を解除し、本来日銀の役割である金融政策主導を宣言した福井俊彦・総裁
日本銀行は9日の金融政策決定会合で、2001年3月に導入した「量的緩和政策」を5年ぶりに解除した。心配された株式市場への影響も、当日の日経平均:409円の大幅高、翌日も週末控えて及びアメリカの雇用統計発表(週末発表)まちの状況であったが、78円高と堅調に推移した。休眠状態にあった久し振りのコール市場(金融機関の間で短期資金を調達し合う機関)の(無担保翌日もの)短期金利も殆ど0金利の状態で平静の内に取引を終えた。今後は金利を上下する通常の金融政策に戻し、当面は短期金利の水準を概ね0%とする「ゼロ金利政策」をとる。同時に、中長期的に「物価が安定している」と考える上昇率を、現時点では0~2%程度と公表(1%に近い)。これを念頭に今後の政策運営を行う方針も表明した。政権発足からの課題である「デフレ脱却」を今年9月までの任期中に宣言したい小泉首相、中川秀直自民党政調会長、竹中平蔵総務相ら政府・与党が、金利上昇で景気を冷やしてデフレ脱却に悪影響を及ぼす事を懸念して、今回の「量的緩和政策の解除」を以前から牽制してきた。「量的緩和政策の解除」については「役割は終わった」、或いは「当面続けた方が良かった」と、専門家の間でも意見が割れたようだが、自民党の山本幸三(金融政策小委員長)氏も「数字を示したのは大変画期的」と評価。同委員会で進めていたインフレ参照値など望ましい金融政策目標も日銀の方法を追認する内容になりそうだ。株式・金融市場もいち早く追認したかたちだ。「インフレ・ターゲット」を設定し、金融政策を行う国が多い中、独自の政策を貫いた福井俊彦日銀総裁。早い時期に「デフレ脱却」を宣言できれば、取敢えず「めでたし、めでたし」である。