月へミルクをとりにいったねこ 作:アルフレッド・スメードベルイ / 絵:垂石 眞子 / 訳:菱木 晃子出版社:福音館書店 |
「月へミルクをとりにいったねこ」
3年生に読みました。スウェーデンのお話です。展開が面白いし絵が迫力のある大胆な構図だったので選びました。途中、ニヤッとしている子がいてしめしめ、って感じでした。3年生は、まだまだ可愛いけれどはにかみも出てくるころで、よく聞いていましたがおとなしめな感じでもありました。
あらすじ> 牧場で4匹の子猫を育てるお母さん猫は、栄養たっぷりの牛のミルクを子供たちに飲ませています。ある日牛のお乳が出なくなってしまい、困ったお母さん猫は犬から「月でミルクをもらえる」と聞き、いそいで取りに出かけます。途中でブタやニワトリ、子牛が一緒について来ますが…。
月の模様を「おじいさんとおばあさんがミルク桶を持っている」に見立てるのが、お国柄が現れています。日本だと、お餅つきのうさぎですね。やっぱり、月には憧れとか願望が託されるもののようです。
月へ向かう途中、どんどん同行者が増えるので、「桃太郎みたい」とつぶやく子がいました。しかし、その後の展開は同行者が逆に減っていきます。最後は母猫一匹だけで、諦めず月を追い続け、別の牧場でたっぷりミルクをもらえる境遇に落ち着く、というオチです。
朝まで追いかけて月がいなくなり、入れ替わりに朝日がパーッと輝く場所に牧場が現れる絵は、とてもワクワクするよくできた場面だと思います。
私が少し気になるのは、自分でお乳をあげればいいのにな(でもそれだとこの話自体が成立せずですが)と思うのと、あまりお説教くさい話は好きじゃないのですが、若干説教臭がすること。
「ほしいものをてにいれるには、しんぼうがだいじなのよ。とちゅうでくたびれたり、こわがったり、いらいらしてはいけないの」という母猫の言葉に、親が子供に教えたいものが詰まっています。まあ、私も言いたい。
徹底的に説教臭くならないのは、最後まで母猫が「ミルクは月からきた」と思い込んでいるからでしょうか。ユーモアがあって、後味よく仕上がっていると思います。(約13分)