文学オタクのおじさんが主人公。男は元編集者。現在は田舎で小さなパン屋を夫婦で営んでいた。そこに、イギリス人の「ボヴァリー」夫妻が引っ越してくる。たちまち男はその妻に「ボヴァリー夫人」を投影し、その妄想が事態をややこしくしていく。
突然表れた美青年と不倫の兆しが見えたとき、男としての嫉妬より映画監督のような気分になりきって悦んだり、直接「私は生身の人間」だと否定されたときも、冷たい目で取り合わなかったりしたことで、しょせん彼女を小説の登場人物としてしか見ていなかったことが良く分かる。彼女には彼女の人生があり、過去も考え方も行動も彼女自身のもの、という事実から目を背けて自分の妄想のネタにしていた。
それを家族がよく心得ていて、最後に息子がお父さんにある嘘をつくのがいい感じのオチになっていた。その時の彼にはもう、ちょっと前のネタのことなんか頭にないのだ。こういう所、このひと変人だなあと思いつつ、なんとなく憎めない気持ちが湧いてくる。たぶん、見ている側が「ある意味、分かり易い人」と感じるからだろう。
こういう種類のこっけいさを取り出してわざわざ晒すように見せるところが意地悪というか、いかにもフランス映画だなあと思った。
http://www.boverytopanya.com/ ←予告編
余談ですが、パン生地をこねるシーンがエロかった。ボヴァリー夫人がこねるところもそうなんだけど、「パン生地こねるだけ」のシーンも、やわらかく揉みこんだりして確信的にエロくしていたような気が。
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