ハナウマ・ブログ

'00年代「ハワイ、ガイドブックに載らない情報」で一世を風靡した?花馬米(はなうま・べい)のブログです。

(株)芋煮会

2011年10月08日 | 日記

先日、社員旅行へ行ってきました。
「社員旅行」という言葉は、死語でしょうか。それとも復活してくるのでしょうか。
今回は、私が社員旅行に参加して考えたことを、つらつらと書いてみたいと思います。

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私は派遣会社から給料を受け取り、実態としてはお客様企業で働いています。また、いまの派遣会社に所属する十数年前にも、別の派遣元で同じような形態で働いていました。
先日の社員旅行は派遣元の会社での社員旅行であり、十数年前の社員旅行は、お客様企業の社員旅行に参加させていただいたのでした。

先月の社員旅行では、観光バスを連ねて温泉旅館へ行く一泊二日の旅行で、なんとも懐かしい気分にさえなってくるものでした。そもそも今の時代、社員旅行なるもの、また直接業務にかかわりのない、その他の社内行事というものは、皆さんが勤める会社や団体ではどうなっているでしょうか。


この派遣会社では、上層部の意向で毎年社員旅行を実施しています。そして社員の参加率も決して低いわけではありません。また旅行先で何か研修のようなことをやるといったこともなく、まぁ言ってみれば、「場所を変えて、飲んで食って風呂入る」というだけのことです。

こんな、一見「非生産的」とも捉えられがちな社内行事ですが、最近はこれを見直す大手企業も出てきたと聞いたことがあります。20 世紀の後半、日本はその経営手法や仕事のやりかたが大きくアメリカ的にぶれたような気がしているのですが、いままた旧来の日本型経営や仕事の進め方を見直し、その両方を上手にバランスさせていこうという機運が高まり始めているのかもしれません。

ほぼまちがいなく少子高齢化へ突き進んでいく日本。自分たちの歴史を振り返りながら、未来を考えていくことが大切な気がしています。

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さて、その先月の社員旅行の様子なのですが、都内を出発した観光バスの中では、さっそく缶ビールなどが配られ、カラオケ大会が始まります。いかにも前時代の中小企業といった感じですが、これはこれで感慨深いものがあります。ただ個人的にカラオケは閉口しましたが。

私としては、バスガイドさんの話を聞きながら車窓風景を眺めたり、隣席の同僚(といっても普段は別の派遣先だったりしますが)と話をしていればいいと思うのですが、そのうち全員一曲唄え的な圧力の高まりが感じられてきます。こういうことが大好きな社員が率先してマイクや曲のインデックスを回し始めます。考えてみれば高速道路を走るバスの中を行ったり来たりしているわけです。
たしか高速道路走行中は、乗客もシートベルト着用だったような...。

「何かをやっていないと落ち着かない」というのもあるのでしょうか。それともボンヤリしていることは非生産的なのであって、それは悪であって、すなわち罪である的な感覚があるのでしょうか。さらにはエレベータと同じで、一定の空間の中で時間を共有している一種の気まずさを紛らわしたいという心理の働きでしょうか。

ハワイなどのリゾート地へ行って、キチンとスケジュールをこなして帰国する、日本人の旅行スタイルが話題になることがあります。帰国後、「いやぁ~、のんびりさせていただきました」という言葉とは裏腹に、ロビー集合時間を気にしながら眠りについていたり、会社の同僚へのばらまき土産を考えていたりすることは、日本人旅行者の少なくないスタイルという気もします。


さて、日中の観光地巡りを終えた我々は、温泉旅館に入ります。各部屋に4~6人ほどの社員が割り当てられ、「部屋長」なる任務をおびる者もいます。まずは浴衣に着替えて大浴場へ。そして入浴の後は宴会場へ行くわけですが、当然ながら、畳の宴会場です。すでに「御膳」がズラリと並べられており、申し訳程度に料理の上に紙がかぶせてあります。
宴会で顔が赤くなる前に、まずは全員で記念撮影。この撮影のために、「全員、浴衣と丹前着用」というレギュレーションは、事前に周知徹底されています。

乾杯の前には、役員数人による挨拶。もちろん宴会場には毛筆フォントで「式次第」が掲げられています。乾杯・歓談の後、部門対抗の(これまた)カラオケ大会や、ビンゴ大会。
畳の上30センチくらいの料理には、とっくに大量のホコリが降り積もっていることでしょう。
個人的には「なんとも、はや」といった感じでニヤニヤしていました。

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こんな懐かしくさえ感じられる社員旅行に参加していつも考えてしまうのは、「派遣会社」という、普段はお互いに仕事上の付き合いを持たない人々が、それぞれなんとか場を盛り上げようとしている、心の動きとでもいうものです。意識的なのか、無意識的なのかはわかりません。
また、一般の会社では考えられないかもしれませんが、温泉旅館の部屋に入って、その部屋のメンバーと「初めまして、私は...」みたいなことになるのが、派遣会社の社員旅行でもあります。つづいて風呂での裸の付き合い、そして宴会場で盛り上がるという、ある意味恐るべきプログラムです。

社員旅行に限らずこんな「行事」というものは、少し前の日本のビジネス界では、経営者側も労働者側も、否定的なとらえ方をしていました。しかし時代が移り、社会環境が変わってきた今、このようなことを真っ向から否定してきた考え方に疑問を持つ人々が、労働者側にさえ増えてきたと感じています。

たしかに会社というところは利益を上げることが目的なのであって、そのための効率や生産性を上げていこうとするのは当然ですし、またそうあるべきです。
ただし、忘れてならないことは、それをやるのは常に「人」であるということではないでしょうか。
今回は社員旅行を話の素材にしましたが、ガチガチの理論を追求し思考するのも人ですし、実行するのも人です。であれば、人というものについてもっともっと考えを、理解を深めていくということが、今を生きる「人」として重要だという気がします。

社員旅行や飲み会、ゴルフコンペやカラオケ大会、芋煮会?。それぞれの社内行事の好みも人それぞれですが、そういった一見、非生産的な行事をいくつかちりばめてみるというのも、生産的な組織になっていく条件の一つかもしれません。
もちろん、直接業務に関係ない行事には一切参加しないという考えの社員もいるでしょうが、多数側の悲しい排他的意識や、少数側のいじけた心理につながらなければ、それらのメンバー間に溝が生まれることは無いでしょう。

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思い起こせばその昔、派遣先のお客様企業の社員旅行に連れて行っていただいたことがあります。費用の負担はゼロ。旅行先は海外でした。社員が数人の有限会社でしたが、非常にやりがいのある、そして家庭的な集団でした(そうかといって、よくありがちなカリスマ経営者だとか、価値観押しつけタイプの経営者ではありませんでした)。
社員とその家族まで含めてバーベキューをやったりするので、なんというか同僚の素顔がわかるようで、仲間意識が強くなります。ちょっとギクシャクした関係になっていた同僚の、そんなプライベートな素顔を垣間見たりして、なんだかおたがいに許し合えるような雰囲気になって行ったり。

振り返れば、大規模災害があるたびに、人との絆について考えようという気運が盛り上がります。リクツがとおればすべてうまくいくなんてことはありません。理屈をこねるのも、実行するのも人間です。
会社で働く人も、そうでない人も、所属している集団の目的と、そこに向かっていこうとしている人間のありかたについて、少し考えてみるのもよいのではないかと思う今日この頃です。

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【本日のお写真】

本日のお写真は、日比谷公会堂アーカイブカフェです。
東京・日比谷公園にある日比谷公会堂は歴史ある有名な建物ですが、この1階に昭和初期を髣髴(ほうふつ)とさせるカフェがあります。「昭和モダン」というのか、まず建物そのものがレトロ。そんな日比谷公会堂の一画にあるカフェで先日、弦楽ユニットの演奏会がありました。石造りの空間に響く弦楽は、ちょうどチャペルで聴いているような音響効果をもたらし、弦楽器本来のサウンドを楽しむことができました。

と、もうお気づきの方も多いと思いますが、先日の記事でもチラッとご紹介した「なでしこ室内楽団」の演奏会です。不定期ではあるようですが、今後もここで小さな演奏会をやっていくようです。

また、非常に貴重な蓄音機もあります。テレビなどでよく見る「ラッパ」が付いたタイプではありません。ボリュームのコントロールは、木製の本体の扉を開けたり閉めたりして、ちょうどよい角度にして調整します。「HMV」の先祖ともいえるこの貴重な蓄音機を見るだけでも価値がありますが、なんとレコード盤(SP 盤ですな)をかけて、蓄音機の生音を楽しむこともできます(電気でなくゼンマイで動きます)。

さらには、これまで日比谷公会堂のメインホールで行われてきた、往時を偲ばせる珠玉のコンサート、リサイタルの写真パネルや、ガリ版で作ったような手書き文字の演奏会プログラムなどもたくさん展示されています。

昭和のその昔の「カフェー」で、お茶をしながら蓄音機に耳を傾ける。たまには弦楽合奏に触れてみる。東京のど真ん中に、こんなところがあるのですなぁ。


■ 日比谷公会堂アーカイブカフェ
    ※混雑時は蓄音機の再生ができない場合があるとのことです。

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