しばらくブログ更新を休んでいました。ブログネタがなかったわけではありませんが、なかなか自分だけの時間を持つということは、簡単なことではないようです。
前回の更新以降のトピックとしては、山口県の秋芳洞(あきよしどう)へ一泊旅行へ行ったことなどがあります。
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【秋芳洞 ――10月22~23日】
私が幼いころ、兄が「しゅうほうどう」と呼んでいたので、そのように覚えていたのですが、正確には「あきよしどう」と読むのだそうです。
ここに、去る10月22~23日の一泊二日で、老母と二人で行ってきました。
きっかけは、ANA の e クーポンの有効期限が近づいていて、あわてて使うことを決めたというわけで、羽田から山口宇部空港までの距離が妥当と判断した、ということだったのです。
鍾乳洞は、北から岩手県の龍泉洞、東京都の日原(にっぱら)鍾乳洞、岐阜県の飛騨大鍾乳洞などに行ったことがありますが、日本一といわれるこの秋芳洞は今回が初めてです。こう書いてみるとなんだか「鍾乳洞マニア」のようにも受け取られるかもしれませんが、そうではありません。
山口宇部空港でレンタカーを借り、カーナビをセットして一路、秋芳洞へ。
交通量も少なく順調に走れたおかげで予想よりも早く到着し、一日500円の駐車場に車を止めて、秋芳洞の入口へ向かいます。
その昔は賑わっていたのだろうなぁ、と思わせる土産物屋が両側に立ち並ぶ、狭い道をずっと進んでいきます。やはり各種の岩石をモチーフにした飾り物や置物の土産が多く並んでいます。
入場料は大人1200円。念のために聞いてみましたが、高齢者割引のようなものは特にないようです。
ゲートのところに、「秋芳洞観光ディレクター」というネーミングの、ガイドサービスがあると表示されていたので、これをお願いすることにしました。本来は3日前までに予約が必要なようですが、その時都合がつけば大丈夫なようです。
で、てっきり美祢市(みねし)から委託を受けた、再雇用か何かの高齢のおやっさんが出てくるかと思いきや、二十歳代と思しき笑顔の絶えない女性が出てきてビックリ。
このプライベートガイドさんのおかげで、鍾乳洞に関する個人的な質問もでき、非常に興味深く楽しむことができました。
洞内から流れ出てくるきれいな小川を目にしながら進んでいきます。黒沢明監督の「夢」に出てくる、水車のある村を思い出しそうです。
洞内に入ってまず驚いたことは、空間がとても広いということです。なにか、人工的な地下構造物の中にいるのかと思うほど天井?も高く、幅もあるのです。
観光スポットとなっている鍾乳洞のほとんどがそうであるように、いくつもあるポイントの鍾乳石、石筍(せきじゅん)には、それぞれ名前が付けられています。そしてそばに設置されている機械のボタンを押すと、各国語による説明が流れるようになっています。しかしそのスピーカ音声は洞内に響いてしまうため、なるべくそばにいかないと、説明を聞き取りにくいかもしれません。
洞内はもちろん照明がついていますが、これらは最近 LED に切り替えられ、その照明デザインは石井幹子(もとこ)さんとのことです。
「出口」である黒谷口付近の照明は別のデザイナーですので念のため。
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そもそもこの鍾乳洞は南北朝時代に発見されたのだそうです。しかし鍾乳洞は数十万年前(!)からできているのであって、そう考えてみるといろいろな想像や疑問なども湧いてきます。
この秋芳洞の上には、カルスト台地として有名な秋吉台が広がっています。鍾乳洞である「秋芳洞(あきよしどう)」のうえに「秋吉台(あきよしだい)」が広がっているという、こんな基本的なことさえ、私は今回初めて知ったのでした。
秋吉台に降った雨水は、少しタイムラグを置いて鍾乳洞に降りてきます。ザァザァと洞の天井から降ってくるような場所、滝のように流れてくる場所もあるかと思えば、しみだしてくるような場所、まったく染み出しても来ない場所などがあるようです。
今回、84歳で慢性的な膝痛の母が一緒でしたが、なんとか入口から出口(黒谷口)までを歩いて、登ってくれました。これまでに見てきた鍾乳洞とはケタ違いの感動に、何度も「見ごたえがあった!」と喜んでくれました。
しかし、さすがに疲れたようで、自宅に帰ってから翌々日ごろまで、外出せずに体を休めていました。運動不足の中年である私にとっても、決して楽な観光ではありませんでしたが、これは死ぬまでに一度は見ておいた方がいいものです。
そしてやはり、テレビやネットなどのメディア(媒体)を通したものでなく、自分の目で見、自分の皮膚で温度や湿度、手触りを感じ、自分の耳でその場の音を聴き、自分の筋肉を使って歩き、登っていただきたいと思います。
今回、このことの大切さを改めて感じた洞内見学でした。
できればプライベートガイド「秋芳洞観光ディレクター」をお願いして、話をしながら見学されることを強くお勧めします。せっかく現場に行ったのに、言葉のキャッチボールなく、看板の説明をチャラッと読み、型通りの音声を聞くという受け身の見学とは格段に感動が違いますし、記憶にもしっかり定着します(ガイド1名1時間につき1500円)。
そういえば6月の見学は避けた方が無難だそうです。なぜかというと、蝙蝠(こうもり)の糞のニオイが強くなってしまうからです。また、自然の造形である以上、季節によっても天候によっても、その表情はさまざまに変化するそうです。
ちなみに、私たちが今回見学した限りでは、蝙蝠は見ることができませんでした。蝙蝠に興味がある方や、逆に怖いという方は、事前に問い合わせてみた方がいいでしょう。
わたしは鍾乳洞というとすぐ、横溝映画をイメージしてしまうので、おどろおどろしい鍾乳洞の雰囲気が好きです(怖いですけど)。悪霊島、八つ墓村など、その話の舞台に身を置いているようで、身の毛もよだつ快感?を感じたりしてをります。
■秋芳洞スペシャルサイト
http://akiyoshido.karusuto.com/
■秋芳洞プライベートガイド「秋芳洞観光ディレクター」
http://www.karusuto.com/html/director/
■石井幹子さんに関するサイト「MOTOKO ISHII LIGHTING DESIGN」
http://www.motoko-ishii.co.jp/ ※音が出ます