鈴木大拙(すずき・だいせつ)という人物をご存知でしょうか。
仏教学者であり、禅の研究などで海外でもよく知られている人です(昭和24年にハワイ大学で講義もしています)。
その人の出身地でもあり、私の出身地でもある石川県・金沢市に、この週末、出かけてきました。
もともとは、高校時代の1年先輩にあたる飲み友達との、プライベート同窓会のようなことが第一目的だったのですが、金沢での泊まり明けのきょう、新しく完成した「鈴木大拙館」を訪れました。
鈴木大拙という名前は知らなくとも、哲学者の西田幾多郎という名前は学校の勉強で習った記憶があるかもしれません。そして国文学者の藤岡作太郎とあわせ、「加賀の三太郎」と呼ばれています。
以前から哲学とか禅の世界には興味があったのですが、いかんせん難しい世界ですし、とっつきにくく思っていたのですが、じつは自分の出身地で偉大な人たちがいたのだということを数年前に知り、感動したのでした。
金沢の商業的な中心地である、片町や香林坊(こうりんぼう)から徒歩で15分ほどのところに、昨秋完成した「鈴木大拙館」。入館券を買い、リーフレットを差し込めるように作ってある記念ファイルを受け取って順路を進んでいくと、まず長い通路の先に、ポツンと一枚の写真が掛かっています。もう、その通路自体が、なにかしらを考えさせる空間となっています。
その通路の途中には、三角に張り出したガラス張りの空間があり、庭と、そこに立つクスノキを眺められます。
ちょうど、さらさらと雪が舞い落ちていることもあり、なんとも美しく感じます。
資料館的な意味でいえば、おそらくメインの空間となるであろう部屋が、この通路の先を回り込んだ、隠れた位置にあります。といっても、資料が豊富にあるわけでは決してありません。おそらく意図的に、説明的なことを極力避けているようなコンセプトを感じます。
言葉で説明すればするほど、真実から遠のいていく、ということなのではなかろうか、と考えます。
ところどころに、鈴木大拙が語った言葉を記してあるリーフレットがあります。気に入った言葉があれば、それをいただいて、さっき入り口で受け取ったファイルに差し込んで持ち帰ることができます。英語の対訳もついており、異なる言語でその言葉を比較し、感じてみるのも奥深いものがありそうです。
時代を反映してというのか、画面タッチ式で鈴木大拙の略歴や、語った言葉を調べられるパソコンが置いてあったり、iPad を使ったムービーなどもありますが、靴音さえ気になるほどしんと静まり返った館内。心静かにハイテクツールを使用する、といった感じになります。
そして、私が最も感動した空間が、建物の中庭のような部分。「外部回廊」と「水鏡の庭」です。写真ではとてもその雰囲気を取り込むことは難しいのですが、それを承知で少しシャッターを切らせていただきました。
水面の上の空間には、ゆっくりと雪が降りています。眺めていると、無限の宇宙空間を感じるような気分になってきます。高い壁の向こうには、「本多の森」と呼ばれる林が見え、白く縁どられたような樹々の枝も、心にしみてきます。
まぁ、これで終わり。そう、これで終わりなのです。「資料館ではない」、というのが紹介のしかたとしては良いと思います。
訪れて、考えてみる。思索してみる。そんな空間が「鈴木大拙館」なのではないかと感じます。
ある日ひとりで、是非あなた一人で訪れて、そして思索していただきたい空間です。
もしかしたら、日時によっては小さな子どもが元気よく、そこにいるかもしれません。でも、それも受け入れて思索する。それでいいのではないかとも思います。
(「水鏡の庭」は暖かい部屋に座って眺めることもでき、高齢の方なども心配無用です。もちろん車いすOK)
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で、話はガラッとかわって「8番らーめん」。
金沢で知らない人はいない、昔からのラーメンチェーン店です。どれを食べても美味しいのですが、私は今回、土曜も日曜も連日「塩バターラーメン」を賞味しました。やたらと旨い。これぞ「塩バタ」という感じのスープ。麺もほどよい縮れと固さがある何とも言えない触感、食感です。
金沢に行ったら、たいていこの店によることにしています。いや、うまかった。ちょっとこだわりバージョンの店舗もありますが、個人的にはノーマルバージョンの店舗がおすすめであります。私の撮った写真は下手ですが、必ずや満足されるはずです。
最後のおまけ写真は、JR 金沢駅で見かけた観光ポスターと、寒冷地仕様のエントランスになっているローソン。
金沢などの寒冷地では、一般家庭の玄関先でも、このような寒い外気を屋内に入れないようにするための空間を、冬季に限って仮設します。
◆ 鈴木大拙館
◆ 8番らーめん
◆ 金沢市観光協会
◆ いいね金沢