何かを勉強してみたい。でも難しいのはイヤだしどうせ続かないに決まっている。だいたい講座を申し込むような金もない。そんな50歳代の筆者はNHKの高校講座で楽しくのんびりと学んでいる。
気楽につまみ食い
NHKの高校講座は、Eテレ(教育テレビ)、ラジオ第二放送、そしてインターネットで視聴できる高校生向けの教育番組だ。もともと通信制高校生に向けたものだったため「通信高校講座」という名前だった。今回は数十年前に学校を卒業した中高年の方々にこの高校講座をおすすめしたい。
基本的には現役高校生に向けた番組であるから、4月に始まって約1年間のプログラムで構成されている。また通信制高校生のために秋からスタートするバージョンもある。この春からは「小手調べ」でチャレンジしてみて、秋から再スタートしてみるのもいい。
なお夏休みや冬休み、そして春休みの期間は特別編成になり、これまでの学習の振り返りのようなことをやる。ひと息つけるわけだ。
高校講座の魅力はなんといっても興味のある教科だけを学んだり、番組を一コマ単位でつまみ食いできたりするのがいい。
インターネット視聴もできるけれど、「いつでもアクセスできる自由」は、却って何かを為すにためにはあまり向いていない気もする。そんなわけで筆者はあえて時間的制約のある「放送」のみを対象としている。といってもオンタイムで見るのは難しいので録画はしているが。
筆者は地理と歴史
筆者の個人的関心は地理・歴史である。中高年の方はたいていそうなのではないだろうか。思春期とはまた違った意味で「人生とは何か」「いま自分が生きている社会や世界とはいかなるものか」といった疑問や関心が強くなってくるからかもしれない。
Eテレの場合、毎週金曜日はこの地理と歴史の放送がまとまっているので都合がいい。ちなみに「歴史」とは日本史と世界史の両方である。両方学んでこそ人間の歴史が立体的に浮かび上がってくるからだ。
筆者の場合、歴史に関しては自作の「エクセル年表」に書き込みながら学習している。「エクセル年表」については別項をご参照いただきたいが、自分なりに世界史と日本史を時系列で比較しながら、どのように影響し合い、作用しあってきたのかがわかるような気がして大変面白いのだ。
高校講座にはラジオもあるけれど、筆者はラジオのほうはあまり聴かない。ラジオそのものは聴くのだけれど、高校講座をオンタイムで聞くという習慣がないのだ。音質のいいインターネットラジオと留守録機能がついた製品で、なおかつ家電レベルの気軽さで使えるものがあれば購入するかもしれない(筆者はマンション住まいなのでAMラジオではなくネット経由の「らじるらじる」や「Radiko」を使っている)
4月5日からあなたも新入生
くり返しになるが高校講座は現役高校生に向けたものだ。しかし、だからこそ我々世代が「常識」、「定説」などと高をくくっていたことに関して、世の中はとっくに変わっているのだと言うことを教えてもくれる。
日本史に関しての有名どころ?は、「聖徳太子」ではなく「厩戸皇子(うまやどのおうじ/うまやどおう)」なのだとか、鎌倉幕府の始まりは1192年ではなく1185年、仁徳天皇陵ではなく大仙陵古墳だなどというところだろうか。
歴史は単に発生した事実の列挙や暗記ではない。人が憎しみあったり戦ったりするそのウラに、人間の欲望や策略はもちろん、宗教的思想や死生観、その地方の気象や気候変動なども関係していることに気がつく。まことに「人間とは何か」について地球儀を眺めるように考えさせられる瞬間が非常に感慨深いのである。
また地理は、現代における地球上の人間業(わざ)が如実に表れている分野である。日本史・世界史・地理(日本と世界)を俯瞰することによって、大げさに言えば世の中の見え方、毎日の生活の感覚が変わっていく気さえするのである。
4月5日から新しいプログラムが始まる。ビデオレコーダーの留守録をセットして、時間のある時につまみ食い学習してみてはいかがだろうか。
ちなみにEテレを録画する際に字幕を同時に入れておくようにすれば、後でノートを取るときやパソコン入力する際に、ポーズ(一時停止)して説明を確認しながら作業できるので便利である。
関連リンク
中高年がハマる?「高校講座」(筆者過去記事)
エクセル年表の愉しみ(筆者過去記事)
NHK通信高校講座(トップページ)
同、2021年度年間放送スケジュール(PDFファイル)
民放各局が聴けるネットラジオ「Radiko」(制限付きでNHK第一も聴取可)
【注意】
上記のラジオ放送(ストリーミング放送)は通信量が大きくなるためインターネット接続契約によっては多大な費用請求につながる場合があります。無料または定額契約の接続での利用をおすすめします。