ハナウマ・ブログ

'00年代「ハワイ、ガイドブックに載らない情報」で一世を風靡した?花馬米(はなうま・べい)のブログです。

そんなにスマホ?

2012年01月15日 | 沈思黙考

日本はいま「スマホ」に関する話題がにぎやかです。なんでも、販売される携帯電話のうち8割ほどがスマホという話を聞いた記憶もあります。
だけど、そんなにスマホは良いものかなぁ、と思っている今日この頃なのであります。

「スマホ」とはもちろん「スマートフォン」の略であり、マスメディアでは「高機能携帯電話」としているようです。最大の違いは、携帯電話会社を経由せずにインターネットに接続することが可能な点や、購入後に「アプリ」と呼ばれるプログラムを自分で追加して、様々な機能を追加したり、新たなサービスを利用できるようにしたりできるところです。

まぁこれだけ見てみるとよいことづくめのようなのですが、私にとっての問題は毎月の費用が高くなってしまうことです。もちろんこのあたりは契約プランや個人差もあるでしょうが、一般に従来の携帯電話「フィーチャーフォン」を使用していた人がスマホに乗り換えると、たいてい月額コストは上がってしまっているのではないでしょうか。
「実質負担額」という宣伝文句もありますが、それと引き換えにある「契約シバリ」は、我々にどう作用してくるのか、ということも考えておいて悪いことではありません。

私自身は以前からドコモのフィーチャーフォンのままです。ただ、社用で使っていたauの携帯電話を昨春、IS05というスマートフォンに変更しました(法人契約ですから、厳密には個人の場合とは比較できませんが)。
それで会社である以上、そのコストが厳格に管理されていて、年間棒グラフなんかが毎月レポートされて来ます。それをみると、スマホに替えたトタンに月額費用が上がっています。
よく見るとさらにもう一度ドーンと跳ね上がっている月があります。それまで購入時のまま、つまり新しいアプリを追加せず、最初に入っていたアプリもなるべく使わずにいた私が、アプリを「活用」しだした頃です。
これぁマズイということで、年が明けてさっそく社用ケータイをもとのフィーチャーフォンに戻す手続きを行った次第なのですが、考えてみるとアタリマエのことなのかもしれません。

スマートフォンは、ゲームをしたり写真を見たりするだけでなく、メールをしたり電話をすることさえも、「アプリ」と呼ばれるプログラムを起動して、その機能を果たすという仕組みです。メールと電話だけならまだしも、ナビであるとか乗り換え案内であるとか、様々な機能を使えば、それはほぼ必ずインターネット通信を行うわけであり、自分がなにもした覚えがなくとも、勝手に通信を始めている場合も少なくありません。
そんなわけで通信「量」が急に増え、通信「料」も上がるのは、当然なのです。

便利だったり楽しかったりするのは間違いありませんが、活用すればするほど急激に月額費用がハネ上がります。もちろん定額制の契約にしている場合がほとんどでしょうが、その定額は、やはりフィーチャーフォンより高いところに設定されているのではないでしょうか。事業者から見れば、固定的な収入を底上げできるというふうにも見ることができそうです。
そもそもアプリを活用しなければ意味がないのがスマホ。それが多数の加入者に拡大したある日、通信事業者はパケット定額をやめて従量制に移行。
もしそんなシナリオを描いてみると、「パケ死」なんて懐かしい言葉が復活してくるかもしれません。実際、米国の携帯電話事業者は従量制へ移行し始めていますから、日本でも再現される可能性は低くないような気がします。

「パケ死」とは

まぁそんなこんなで、社用のスマホを9ヶ月ほど使ってみて、たしかにその可能性は感じることができたわけですが、ふと考えてみれば「無きゃ無いで、別に困るわけではない」という気もしています。同時に、以前コメディアンがテレビCMしていた、メールと電話だけのシンプルな携帯電話が、もっと普及してもいいような気がします。

豊かな国の携帯電話を製造するために必要な金属は、貧しい国の少年たちなどによる非人間的な労働と、同国の反道徳的な組織によって供給されているという事実も、知っておく必要がありそうです。

携帯電話の進化は、明らかに私たちの社会と人間関係、とくにコミュニケーションのあり方を変えました。ネガティブな面ももちろんありますが、全体としては良い方向に向いていると思います。
しかし、それ以上の付加的な機能、付加サービスは、それほど大事なものなんだろうか、必要なものなんだろうか、と考え始めています。
極端に言えば、現実の世界、現実の対人関係においては、演技者としての自分を生きておき、ほんとうの自分を発揮する場所は、より「現実度」の薄い、ソフトウェア上だったり、ネットワークの先の世界や人格であったりする。そんな生き方を(もしかしたら無意識に)してしまっている人も増え始めているのではないか、なんて思ったりもします。

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