ハナウマ・ブログ

'00年代「ハワイ、ガイドブックに載らない情報」で一世を風靡した?花馬米(はなうま・べい)のブログです。

「手続き力」格差

2020年05月21日 | 沈思黙考

国などからの給付金や特例貸付制度が話題になっている。当然ながら一定の手続きが必要だが、その「手続き」が苦手だったり困難だったりする人は、救済されにくい、といえるのかもしれない。

基本的な給付や貸付

新型コロナウイルスに関連して、生活が困窮する個人にとって最も基本的なものだろうと思われるものが3つある。

ひとつはTVなどですでに話題の「特別定額給付金」の10万円である。国から国民全員(子どもも)に給付される(もらえる)というものである。

また、二つめと三つめは、社会福祉協議会がおこなう「緊急小口資金」と「総合支援資金」である。
これらは借金ではあるが、借りてから1年間は返済しなくてもよく、1年経過後から2~10年間にわたって少しずつ返済(厳密には「償還」という)していくもので、無利子で保証人も不要だ(詳細は後述)。
つまり銀行など、ましてや消費者金融などで借金するよりも遥かに有利(かつ安全?)である。

10万円がもらえる「特別定額給付金」

今後、国会などでの議論のゆくえによって変化はあるだろうが、令和2年5月下旬のいま、この制度を端的に説明すると次のようになる。

  • 子どもや高齢者も含めた国民全員に、国から10万円が給付される(もらえる。返済不要)。
  • ただし、各世帯の世帯主が所定の申請をしなければならない。
  • 手続き方法はパソコンやスマホでオンライン申請するか、または自治体から郵送されてくる書類に記入して返送する
  • お金は世帯全員分を世帯主が受け取る

ザックリ言えばこのような制度である。そして指摘されている問題は、①手続きがカンタンとはいえない、②世帯主によるDV、その他の事情によってお金を受け取れない人がいる、③子どものお金を親が使ってしまうなど、世帯内での問題が残るといった点だ。

②のDV等の問題については、「申出書」を出すことで解決しようとしている(総務省の資料

緊急小口資金

今回のコロナウイルスに関係する制度は「緊急小口資金」と呼ばれていて、従来からあった小口資金制度の条件を緩くしたものとなっている。

  • 10万円、場合によっては20万円を借りることが出来る(世帯に要介護者がいるなど
  • 1年間は返済しなくてもOK
  • 1年経過後から返済をスタートし、2年かけて返済することができる
  • 無利子、保証人不要

ザっとこんな制度であるが、やはり書類を整えて申請する必要がある。
世帯の全員についての記載がある住民票、身分証明書のコピー、預貯金通帳のコピー、それから所定の申込書、借用書、重要事項説明書、申立書、を正しく記入・押印して、地元の社会福祉協議会に提出しなければならない。もちろん審査に通るどうかは別問題だ。

総合支援金

こちらも従来からあった制度の条件を緩くしたものとなっている。

  • 月額として単身者は15万円以内、二人以上世帯は20万円以内を3~12か月にわたって借りることが出来る制度
  • 1年間は返済しなくてもOK
  • 10年以内に返済すればよい
  • 無利子、保証人不要
なお社会福祉協議会の小口資金や支援金の制度は審査がある。つまり却下される可能性もあるわけだ。
またこれらの制度はあくまでも自立した生活への立ち直りを助けるためのものだ。この制度自体に頼って生きていこうというのは、スジが違う。

あくまでも申請手続きが必要

さて、これらのさまざまな制度であるが、当然のことながらすべては自ら申請手続きを実行しなければ、何事も起こらない。ではその申請手続きとは何か。

具体的には、パソコンやスマホを操作して資料をダウンロードしたり、正しく入力・送信したりすること。書類を正しく記入し、押印すること。場合によってはコンビニでネットワークプリントサービスを利用したり、コピーを撮ったりすること。そして自分や自分の世帯の状況を説明し、わかってもらうこと。役所やコンビニなどへ出かけていくための経済力や体力などである。

これらのなかで一つでも困難さを感じる人にとっては、「そんな面倒なら、もういい!」となってしまうのも無理はない気がする。
しかし行政目線からすれば「まぁ、ヤケになってしまう人はどうしようもないですね」ということになってしまう。

確かに公共の財源を個人や世帯に支給したり貸したりするのだから、諸手続きが必要なのは当然である。しかし様々な事情から、それすら困難な人たちも決して少なくない。

これは仕方のないことなのだろうか。それとも何とかすべきことなのだろうか。
何とかするとしても、行政にはほとんど期待できない。
だとすればやはり、「地域の力、ご近所の力」が必要になってくる。

かつてSNSが普及し始めた時期に「ゆるいつながり」という言葉がもてはやされた。
本当の意味の「ゆるいつながり」とは、お互いになんとなく気にかけている地域の力、ご近所の温かいまなざしのことなのではないだろうか。

【参考】
自民党サイト内ではあるが(?)わかりやすい
あなたが使える緊急支援


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