半次郎の“だんごんがん”

要するに、居酒屋での会話ですね。
ただし、半次郎風のフレーバーがかかっています。
≪安心ブログ≫

『黒板消しの男』

2012年07月06日 12時13分11秒 | ★ やや半次郎の世界 ★

こんにちは、やや半次郎です。

早速、やや半次郎の世界をお楽しみ下さい。

………………

『黒板消しの男』

いいか、誰にも言うなよ!
オレはなぁ、今、黒板消しをやっている。
キョロキョロ見回して不思議そうな顔をするな。お前の右側に黒板が在るだろ?
その下の方にチョークと一緒に置いてあるだろ?
そうだ、赤いチョークの隣の…、そうそう、それがオレだ。

どこから声を出しているかって?
黒板消しのスポンジみたいな方がスピーカーになってるんだ。
驚いただろう?

これはな、実験なんだ。オレが発明した薬の効き目を試しているのさ。
この薬は、飲むとたちまち人間を黒板消しに変えてしまうんだ。
どうだ、凄いだろ?

我ながら、画期的な発明だと思う。苦節30年、やっと完成した。
あっ、いや、30年と言っても生まれて直ぐに研究し始めたから、オレの年齢は30歳だけどね。(汗)

これを学会に発表したら間違いなく教授になれる。いや、それだけじゃない、ノーベル賞も夢じゃないんだ!
だろ?

不思議そうな顔をするな!
えっ、黒板消しになることに何の意味があるかってか?

バカなことを言うな! オレが30年も掛けて研究し創り上げた薬を、お前みたいなガキに分かってたまるか!

お前もオレみたいな世界の発明家になりたいだろ?
秘訣を教えてやろう。オレみたいな世界の発明家になるにはな、一に勉強、二に勉強、三枝は文枝を継ぐらしい…ってどうだ!

アハハ、アハハ…(笑)
分からんか?
痛テテ…。背中を垂直にしているから、笑うと痛いんだ。

この発明を学会で発表したら、たちまちオレは大金持ちだ。
今まで世界中のどこを探したって見当たらない、それほど凄い発明なんだ。
だろ?

それだけでオレは、興奮している。高揚しているんだ。
気分は最高だ。長い間の夢だったからな。

ヨッシャ~!と叫びたいよ。

何だ、まだ何か不満か?
質問なら受け付けるが、批判なら勘弁願いたいね。
年齢が違い過ぎる。

何?
また不思議そうな顔をしてる…。
何なんだ?
何でそんな顔をしてるんだ?

ふん、ふん、…一体、いつまで黒板消しの状態かと?。

えッ?
…核心に迫る質問だ。(汗)
う~ん、実はオレもさっきから、そればかり考えていたんだ。いくら調べても、それだけは分からないんだ。
一体、この効き目がいつまで続くのか…。

一瞬、このオレはこのまま、黒板消しのままで人生を終えなきゃいけないのかと不安にもなったさ。

もし、オレの発明した薬に欠点があるとしたら、まさにそこだ!

おいッ、何をキョロキョロしておるのじゃ、『そこだ!』と言っても、君の立っている辺りのことを指している訳じゃない。
このオレの発明の欠点のことを言っているのだ。

そう、これほど凄い発明なんだが、元に戻る薬を発明するのを忘れていた。

と言うことは…。(汗)

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