こんにちは、やや半次郎です。
いけない、忘れるところだった。
早速、やや半次郎のおかしな世界をお楽しみ下さい。
………………
『バック・トゥ・ザ・冬ちゃん』
俺は秘密を持った男だ。名前を名乗るほどの者ではないが、一応、名乗っておく。“夏の男”と書いて“なつお”と言う。愛称は“夏ちゃん”だ。
そうそう“なっちゃん”で良い。
何で名を名乗ったかと言うとな、俺の秘密に関係しているからなんだ。
えっ、さっきは名乗るほどの者ではないと言ってたじゃないかって?
バカだな、謙遜だよぉ。今時、イキなり自分のことを過大に語る奴は、ツイッターで呟かれてブログが炎上しちまうだろ?
だから謙遜したまでだ。
日本人の悪しき慣習ではあるがな…。
そんなことはどうでもいい。
実はな、俺には双子の兄がいて、名前を“冬男”と言ったんだ。
本当は過去形にしたくないんだが、しょうがない。
俺の発明した自動車型タイムマシンで過去に行ったっきり、戻って来れなくなっちまったんだ。
過去と言っても、昭和や大正、明治といった時代なら、冬ちゃんも俺と同じ天才技術者だから、タイムマシンを直すくらい出来るのだが、いかんせん、行った時代が悪かった。
ジュラ紀の真っ只中なんだ。
材料も無ければ道具もない。あるのはただ命の危険だけという悲惨な状況だ。
だから、冬ちゃんの方からこの時代に戻って来るのは不可能に違いない。
必然的に残された選択肢は、こちらから救いに行くことなんだが、設計図を始めあのタイムマシンを作成した時の資料は全て、あのマシンの中に置いておいたんだ。
だから何もかもが消えてしまった。
今となってはもう思い出せない。
特に制御系のところは、冬ちゃんの協力がなければ作れなかっただけに、思い出すのは難しい。
奇蹟を信じるしかないんだ。
もし奇蹟が起こらなかったとしたら…。
あっ、大変なことになる~!
そうだタイム・パラドックスだ!。
タイムマシンがあの時代に存在していたことになる。
いや、これはまだ世界にたった1台しかないから、タイムマシンと分かるまでに相当な時間がかかるだろう。
ところが、冬ちゃんは財布を持っている。これが一番ヤバい。だって、福沢諭吉だの夏目漱石だのといった人たちは、その時代に生きていないんだから。
う~ん、困った~!(汗)
う~ん、う~ん、どうしょう?(汗)
………
「お~い、夏ちゃ~ん!お~い、しっかりしろ~ぃ!」
「…ダメだ、うなされてる。“なつめそうせき”だの“ふくざわゆきち”だのと口走ってるが、どんな夢を見てるんだろう?」
「夏ちゃ~ん!夏男~、俺だ、冬男だ~!」
「…う~ん、…あっ、冬ちゃんか?」
「やっと気が付いたか。だいぶうなされてたけど、どうした? 何か悪い夢でもみたんじゃねぇの?」
「…斯く斯く然々で、冬ちゃんがタイムマシンに乗って恐竜の時代に行って…。でも、マシンが壊れて戻れなくなって…。」
「下らない夢をみたもんだな~。そう言えば、何だかたいそうな乗り物を造っていたけれど…。そのたいむ何とかってなんだ?」
「えっ、俺は気を失っていたのか? …夢? 夢だったのか?」
「そうだよ、だからさぁ、そのたいむ何とかって何なんだよ~? エレキテルみてぇじゃねぇか。他にも、“ふくざわゆきち”とか“なつめそうせき”だのって何だ、そりゃ?」
「…」
「今は江戸時代だぜ、そんなワケの分からねぇことを言ってると、お上にしょっぴかれちまうぞ!」
「分かったよ。…どうしたんだろう、俺? 何だか今よりずっと便利な未来で生活していたような気がするんだが…。」
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