3.11のとき、両親は父親の単身赴任先で被災した。
幸い、大きな被害はなかったけれど、
よってしばらく自宅に戻ることはできなかった。
首都圏は交通が麻痺していて、あの日、やっとのことで帰ると、弟は荷物をまとめて夜のうちにどっかに行き、1週間以上音沙汰がなかった。
めちゃくちゃになった家を片付け、掃除し、電気や水がなかなか復旧しない中
わたしは一人でなんとかその時期を凌いでいた。
当時私が住んでいた地域は、上水道の復旧にえらく時間がかかり、生活は困難をきわめていた。
そんなとき、友達から
「うちに来たら?」と言ってもらえたので、
わたしは電車で2時間のそのお友達の家にやっかいになることにした。
身の回りの荷物をまとめて、友達のおうちに寄せてもらい、本当にありがたかった。
しばらくすると、弟から連絡が。
「上司に頼まれてとったチケットが背広の上着にあるから、家に入ってとらなくちゃならない。なぜ家にいない?早くあけろ」
弟はずっといなかったし、ああいう災害のときって治安が悪くなるからと、その時は鍵をおいてこなかった。
一体、、、、
あの混乱の中、どこで音楽会があるというのだ?
「かなり遠い友達の家にいるから無理」
すると、しばらくして、父親から怒鳴りの電話がかかってきた。
戻って家をあけろと。
なぜ?こんな時期に音楽会なんかないだろう?
明らかな嘘を咎めるでなく、やっと安心してひといきついたわたしを平気で怒鳴るのか?
私が避難しているのに、そのチケットがなぜ大事なのか?
無理だというと、ストーカーのように電話がかかってきて、見かねた友人が車で送ってくれた。
あの時気づくべきだった。
この家に私の人権は完全にないのだ。
なぜ、不要なことでわたしは私の周りの人に迷惑をかけなくてはならないのか?
弟は震災の日以降連絡もなく、ずっと家にいなかったくせに、
明らかな嘘を通すのか?
本当だったとしてわたしが戻る理由ってなんだ?
理論がめちゃくちゃ。
あのとき、わたしはこの家族を、捨てることを固く誓った。
あの時捨てればよかった。本当におかしい。
もう絶対におかしい。
その後音楽会の話なんてきいてないならどうせ嘘だ。
こんなことばかり起こる家だった。
これって普通??
私が悪かった?