数年前の夏休み、わたしが海外旅行から帰ると、母が入院していた。
入院する二ヶ月ほど前に、元気に海外旅行をしていたくらいだから、入院したと聞かされても、
あら、疲れがたまったのかしら?くらいにおもっていたが、
母は重い病気にかかっていた。
無菌室に入院して検査検査の日々。
海外旅行で風邪をひいて帰ってきたわたしは、念のため、すぐのお見舞いは見送った。
父からは、そのことを「人でなし」と罵られた。
いや、医者が入っちゃダメって、、、、苦笑
病と、余命をあっけなく宣告されると、父は途端に母に優しくなった。
あんなに感情のゴミ箱みたいに扱っていたくせに、妙に優しい声をかけ、励ましていた。
モラハラ男は他者の前ではまともで、優しく、理想の旦那さんだ。
まあ、人としてはそれが正しいと思うけど、これから始まる治療、長引きそうな入院生活、ただでさえめげてしまいそうなときに、今更優しい言葉をかけられたとて、母だってやるせなかったに違いない。
すごいのは、母は何かを覚悟していたのか、救急に運ばれて即入院と言われたあと、根性で帰宅して身の回りを一気に片付けた。
何一つでてこないように。
スマホから一切の写真、メールなどを消し、かぎられたわずかな知人とのLINEのみ残してそれ以外はアドレス帳の中身もきれいさっぱり消されていた。
そう。彼女は多くの秘密を抱えて生きていた。
モラハラにバレたら殺されるような秘密も。
どんだけのすとれすだったろう。
今ならわかる。あんな夫と暮らしていたら、心がおかしくなっても仕方ないと思う。
当時は、母だけがヤバい人だと思っていた、、、、
けど、、、、、、
母が倒れると、そのモラハラは徐々に、でもわりとわかりやすく早く、わたしに向けられるようになった。
母のほぼ一生を通したモラハラされる苦しみをわたしはこの後数年にわたってあじわうことになる、、、、