新型インフルエンザ等対策特別措置法成立 ~参考人質疑と法案審査で質問~

4月27日(金)参議院本会議で新型インフルエンザ等対策特別措置法が賛成多数(衆院で賛成の自民党は欠席。賛成138反対9)で可決成立しました。私は昨年11月に内閣委員会所属となって以来、民主党内閣部門でこの法案担当となり、呼吸器内科の専門医の意見を伺い、勉強レクも重ね、最終審査の質問に臨みました。

この法案にはいろいろな批判もありますが、私は日本社会にとって、重要かつ必要な法案だと思っています。私のこの法案に対する基本的な姿勢は、4月12日の参考人質疑での私の質問の冒頭で述べました。

会議録の該当部分引用)                                                                                                                   今回のこの特措法について、私は2009年のH1N1、そして2010年に発生いたしました宮崎口蹄疫、さらには昨年2011年の大震災・原発事故等、我が国の経験、体験の反省と教訓を踏まえて作られた法案であるというふうに理解をしております。また、そうでなければならないというふうに考えております。

ところが、この特に2009年のH1N1について、4月4日の参議院の予算委員会におきまして、当時の厚生労働大臣、舛添要一先生が、この法案は2009年の教訓を十分に生かしてはいないのではないか、また法案作成の段階での議論が不足しているのではないか、万機公論に決すべしと発言をされました。

私は、この舛添先生のご意見も踏まえて、法案成立後に策定される政令、あるいは政府・都道府県・市区町村が策定する行動計画、また各種ガイドラインにおいて、これらの策定作業の中で現場の意見、また批判者の意見、さらに関係団体の意見をよく聞いて、取り入れるべきものは取り入れていかなければならないというふうに考えております。(引用終)

本法案については3月22日の内閣委員会一般質疑でも触れ、4月12日の参考人質疑での質問を経て、4月17日、法案審査の為の質問を50分間行いました。その要点を以下に示します。

1.法案の基本的な考え方。本法案は2009年新型インフルエンザパンデミック、2010年宮崎口蹄疫、2011年東日本大震災・福島原発事故の我が国の危機管理上の反省や教訓を踏まえて作られた法案であると理解してよいか。(中川大臣)

2.2009年H1N1の反省・教訓は具体的にどのように法案に反映されたのか。(後藤副大臣)

3.成立後1年以内に施行される本法案の政令・政府行動計画・都道府県行動計画・市区町村行動計画、各種ガイドライン等が、法案成立後、どのような手順・スケジュールで策定されていくのか。(園田政務官)

4.今後、政令・各種行動計画・各種ガイドライン等を策定するに際し、現場の意見、批判者の意見、関係団体等の意見をよく聴いて、取り入れるべきものはきちんと取り入れるべきではないか。(中川大臣)

5.現場・批判者・関係団体・専門家等の意見を聴く方法として、IT・テレビ会議を行う等、尾身・川本参考人の提言をとりいれるべきではないか。(内閣官房田河対策室長)

6.対策の事前対応として、国立感染研・田代先生の提言「野鳥・家禽・豚の事前監視体制、特に豚のサーベイランスの重要性について問う。(中川大臣)

7.農水省は2010年宮崎口蹄疫について、どのような反省・総括をしているのか。(農水省高橋消費・安全局長)

8.農水省の豚サーベイランスの重要性への認識を問う。(農水省高橋消費・安全局長)

9.農水省の豚サーベイランスは現在どのように行われているのか。今後の取組みはどうするのか。(農水省高橋消費・安全局長)

10.     厚労省の豚サーベイランスはどのように行われているのか。47都道府県全てで行うつもりはあるのか。(厚労省外山健康局長)

11.     農水省は、厚労省のと畜場での検査でウイルスが発見された場合、発生農場をすぐに特定できるのか。今後、農場でのサーベイランスの拡大・強化に取組むか。(農水省高橋消費・安全局長)

12.     文科省は、田代先生が強く希望する大学の獣医学の研究室の参加について、どう答えるのか。(文科省森本大臣官房審議官)

13.     中川大臣は、リーダーシップを発揮して、豚のサーベイランスを行動計画の中にしっかりと盛込み、農水省・厚労省・環境省・文科省等の連携を密にしてほしい。(中川大臣)

14.     海外で新型インフルが発生した場合、日本は速やかにウイルス株を入手できる体制にあるか。(厚労省外山健康局長)

15.     野生株を直接国内に持ち込むやり方とリスク管理について。(厚労省外山健康局長)

16.     パンデミックワクチン生産・供給体制について、プレフィルドシリンジ製剤、1mlバイアル、10mlバイアル等も含めて説明を求める。(厚労省外山健康局長)

17.     児童・生徒・園児に対するワクチン接種は、どこで行うのか。(厚労省外山健康局長)

18.     漢方製剤・麻黄湯の新型インフルエンザに対する有用性について。(厚労省健康局長)

19.     新型インフルエンザ対策のガイドラインの中に麻黄湯を明記すべきではないか。また、タミフルやリレンザと同様に麻黄湯を備蓄すべきではないか。(厚労省外山健康局長)

20.     新型インフルエンザ対策の初動体制について。事務方の司令塔は内閣危機管理監か。(内閣官房田河対策室長)

21.     新型インフルエンザ対策の専門家チームは、いつどのように作るのか。(中川大臣)

22.     東大・河岡教授チームのH5N1論文公開差止め経緯について問う。(内閣府吉川大臣官房審議官)

23.     「デュアルユース」研究悪用のリスクについて問う。(内閣府吉川大臣官房審議官)

24.     この法案はバイオテロや研究施設等からのウイルス漏洩事故にも対応できるのか。(中川大臣)

以上

今後1年以内に、政令が策定されて法案は施行されます。また、政府行動計画・各種ガイドラインが策定され、その後、都道府県・市区町村の行動計画が策定されます。私はそのあらゆる過程で、現場・批判者・関係団体・専門家等の意見が十分に反映されるよう、責任を持って対応していきたいと思います。

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新型インフルエンザワクチン:見い出せない接種意義。麻黄湯の活用を!

11月12日現在、日本国内の新型インフルエンザの感染者数は、約585万人(2009年第28週以降の数字)と推計されています。そのうち亡くなった方は、今までのところ57人です。 一方、例年、季節性インフルエンザに感染する人の数は、国内で約1,000万人、直接的及び間接的にインフルエンザの流行によって亡くなったとされる人の数は、約1万人と推計されています。

すなわち、従来の季節性インフルエンザの致死率が0.1%であるのに対して、新型インフルエンザの致死率は0.00097%、約0.001%と低く、季節性インフルエンザの、わずか1/100にすぎないのです。

このような状況を冷静に受け止めれば、新型インフルエンザワクチン接種に、緊急性のないことがわかります。ワクチンには大なり小なり副作用がつきものです。10月の医療従事者を対象とした国立病院機構2万人コホート調査によると、新型インフルエンザワクチンによる重篤な副作用発現率は0.03%です。致死率0.001%のために、重篤な副作用の発現率が0.03%もあるワクチンを接種することに、意義を見出すことはできません。

さらに、季節性インフルエンザワクチンのデータ(添付文書)によると、副作用による死亡率は0.0001%(100万人に1人)ですが、5%以上の高い確率で、ギランバレー症候群やけいれんが起こる可能性があるとされています。アジュバント添加やイヌ(犬)腎臓由来細胞で培養した輸入ワクチンに至っては、安全性の確認も全くされておらず、本末転倒もいいところです。

新型インフルエンザは、重症化する人の年齢が14歳未満に集中していることが特徴の一つです。従って新型インフルエンザ対策について政府が最も重点を置くべきは、14歳未満の子どもが感染した場合の対処方法です。夜むずがっていた赤ちゃんが翌朝には死亡するという症例もあり、子どもの場合は、何らかの一刻も早い対応が必要です。

タミフルやリレンザは、医師の指示のもと使用する薬剤です。医療機関を受診しなければ、当然処方はされません。子どもが調子悪そうにしていたら、即、麻黄湯を飲ませた上で、必要なら医療機関を受診することが、日本に今ある承認された医薬品のアイテムを、最大限活用することになるのではないかと、私は思っています。ウイルスの細胞への吸着と侵入・脱殻を阻害する麻黄湯を、感染初期に速やかに投与すれば、ワクチンよりも重症化を防ぐ可能性は高いはずです。

麻黄湯を服用するという、私たちが簡単にできるワクチンよりも効果的と思われる処置を、医療機関を受診する前にとらない手はありません。麻黄湯は、街かど薬局で購入できます。常備していざという時に備えることは、自分の判断次第です。(ただし、麻黄湯が不適正な方もいらっしゃるので、その点は注意が必要です。~下記参照

賢い選択とは何か。飛び交う情報の、取捨選択も必要です。セルフメディケーションの観点から、自分たちの健康は自分たちの頭で、まずはよく考えてみることが大切だと思います。

→麻黄湯に関する注意事項

★麻黄湯は予防的には用いられません(症状のない時には服用できません)。

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新型インフルエンザワクチン:妊婦・小児、打つならプレフィルドシリンジ製剤(1人用のシリンジ製剤)を!

医療従事者から接種が始まった、新型インフルエンザワクチンの副作用(副反応)情報が発表されました。85万人(医療機関への出荷分)全員に接種されたと仮定した自発報告例のみの数字では、副作用発現率が高いか低いかを判断することはできません。しかし、分母は少ないのですが、国立病院機構2万人コホート調査の結果は、それなりに信頼できる数字ではないかと思います。

接種者全員から接種後の詳細な健康状況の報告を収集した国立病院機構2万人コホート調査によると、治療を要する副作用の発現率は0.07%(15例)、うち重篤なものは0.02%(4例)です。すべての接種者を調査していることもあり、季節性ワクチンの副作用発現率と比較すると、非常に高い数字です。

勿論、自覚症状のない副作用、あるいは将来襲ってくるかもしれない副作用については、現段階ではわかりませんし、国立病院機構2万人の対象者は、健常な大人であり、かつ、副作用に対して速やかな治療が行われる環境にあった人ばかりであるということも忘れてはなりません。

国立病院機構2万人コホート調査以外の、85万人に接種したと仮定したものの自発報告では、重篤な副作用は6例、非重篤な副作用は75例が報告されています。

因みに、日本が購入契約を結んだ海外メーカーの新型インフルエンザワクチンの日本国内での治験予定者の数は、英国グラクソ製(アジュバント入り)が、健常な大人100人・小児数10人、イヌ(犬)腎臓由来細胞で培養したスイス・ノバルティス製(アジュバント入り)が、健康成人200人・小児(生後6ケ月~19歳)120人です。国立病院機構2万人コホート調査と比較しても、輸入ワクチンの治験が形式的であることは、誰の目にも明らかです。

ワクチンは、感染そのものを防ぐものではありませんし、感染した場合の重症化を防ぐ可能性が期待できるというだけのものであって、決して万能ではありません。接種についてはそのことを十分承知した上で、副作用のリスクとベネフィットを見極めて、私たちは自らが慎重な判断をしなければならないのです。

ワクチンの作用はワンシーズン(数ケ月)限りのものですが、罹患するとその免疫は一生続くと言われています。

ワクチンを接種したいという人を、止めることはできません。しかし接種する際には、出来る限りリスクの軽減に努めるため、どのワクチンを選択するかについても、可能な限り考慮すべきだと思います。同じ新型インフルエンザワクチンでも、成分や製造工程の違いによって、起こり得る副作用にも違いがあるからです。

湾岸戦争(1991年)が終結した今もなお、米国兵やその後に生まれた彼らの子どもたちを苦しめる湾岸戦争症候群の原因である可能性が高いと言われている炭疽菌ワクチンに添加されていたものと同じ石油由来のアジュバント(免疫増強剤)・スクアレンを添加した英国グラクソ製のワクチンや、これまで日本では未承認だったイヌ(犬)腎臓由来細胞でウイルスを培養したスイス・ノバルティス製のワクチンについては、十分に注意することが必要です。スクアレンには不妊という説もあります。

国産の中にも、英国グラクソと同様のアジュバントを添加したワクチンを製造すると宣言したメーカーもあり、輸入・国産を問わず、成分・製造工程についてもしっかりと確認した上で、自らが接種するワクチンを選択すべきだと思います。

今現在国内で使用されている新型インフルエンザワクチンは、季節性ワクチンと同様の製造で、鶏卵培養かつアジュバントなしの製剤ですが、これから接種が始まる妊婦小児のみなさんは特に、その中でも、過去に発達障害が報告されたチメロサールという保存剤を使用していない、あらかじめワクチンを1人分ずつ注射器に充填したタイプの「プレフィルドシリンジ製剤(北里研究所製の『S北研シリンジ』)」を選択することが、現段階での最善の選択だと私は思います。ただしこの製剤は、年内に70~100万本のみの供給予定にとどまっています。→チメロサール

わずか100~200名ほどの治験で、アジュバント入り、あるいはイヌ(犬)腎臓由来細胞で培養したワクチンは、日本国民に接種されることになるのでしょうか。厚労省は、そんなワクチンを国民に押し付ける前に、新型インフルエンザ治療のガイドラインに、特に小児に対して、感染初期の選択肢の一つとして麻黄湯を明示することのほうが先決だと、私は思います。

参考(はたともこブログ)

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新型インフルエンザワクチン:優先接種「医療従事者」から調剤薬局を除外の不可解

厚労省は、新型インフルエンザワクチン接種にあたり、当面確保できる総量が限られており、その中から一定量が順次供給されることを理由とし、優先接種対象者を決めました。

その第一位が、既に接種が始まっている、接種そのものが治験のようなものだと言われている、「インフルエンザ患者の診療に直接従事する医療従事者」です。厚労省は約100万人と推計していますが、現実には事務系スタッフなどもカウントされていたりと、うちわけは個々の医療機関によってまちまちです。

ところで、ここで言う「医療従事者」の中に、調剤薬局は含まれていません。当事者の薬剤師はもとより、院外処方箋を処方する医師までもが、このような厚労省の決定に当惑しています。

 医薬分業が6割を超える日本の医療体制において、院外処方箋を調剤し、薬を患者さんに手渡す場である保険調剤薬局は、病医院と同様に患者さんと直接対面・接触する施設です。

例えば、インフルエンザの患者さんにタミフルやリレンザが処方されると、院外処方箋の場合、保険調剤薬局の薬剤師がタミフルやリレンザを患者さんに手渡します。しかも異常行動など重大な副作用が懸念されるこれらの薬の使用に際しては、飲み合わせも含めて十分な説明が必要であり、調剤薬局の薬剤師がその任務を果たします。

特にリレンザは、吸入薬であるため、吸入器具の使い方の説明が不可欠であり、実際の器具を使ったデモンストレーションでは、患者さんにより密着して説明しなければなりません。

業務の実態を踏まえると、医療従事者を優先順位第一位にするのならば、当然調剤薬局の薬剤師もその対象にならなければ理にかないません。今回決定した医療従事者から調剤薬局を除外するという、あまりにも現実離れした厚労省の判断の根拠は何なのか、役所に問合せをしてもらったところ、次のような回答を得ました。

「薬剤師会から要望はあった。しかし、患者の診療に直接従事していないという判断で、調剤薬局は除外した。」

調剤薬局に関して、まったく間違った見解であることは明白です。これでは、厚労省は医薬分業を強力に推進しておきながら、その業務内容をまるで把握していないということになってしまいます。

平成21年6月現在、全国に保険薬局は52,358あります(日本薬剤師会資料)。平成18年12月31日時点、薬局に従事する薬剤師の数は125,254人です(厚労省資料)。そのすべてをカウントしたとしても、ワクチン供給の大勢に影響があるとは思えません。

厚労省は、今回のリスクマネジメント上、調剤薬局の立場を大きく誤解しています。医師と薬剤師とでは、厚労省の担当部局が異なっており、そういう縦割り行政の弊害も影響しているとは思いますが、リスクマネジメントにおいて、今回のような間違いがあってはなりません。

今後もし仮に、強毒性ウイルスのパンデミックに直面するようなことになれば、今回のようなリスクマネジメントでは不適切です。調剤薬局も処方医療機関と同様、診療の最前線の一翼を担っているという認識を、厚労省は持たなければなりません。

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新型インフルエンザに麻黄湯:専門家のコメント

麻黄湯がインフルエンザに効果的であることを示す記事が、日経メディカルオンライにアップロードされています。一つの識見として、とても参考になると思います。

(内容の一部)

2008~2009年のシーズン中、静岡県富士市のかわむらこどもクリニック院長・河村研一医師は、インフルエンザに感染した患児400症例を対象に、治療法別に発熱期間を調査しました。 その結果、A型では、対症療法群が84.45時間だったのに対し、麻黄湯群が60.46時間・タミフル群が49.36時間、B型では、対症療法群81.17時間、麻黄湯群58.97時間・タミフル群62.64時間と、いずれの型においても、麻黄湯群は対症療法群に比べ有意な解熱効果を示したということです。

更に、ウイルスが消失するまでの時間を調査したところ、いずれの型も麻黄湯群は有効で、麻黄湯群とタミフル群との有意差はなかったということです。

富山大学医学薬学研究部教授・白木公康氏(ウイルス学)は、マオウはインフルエンザウイルスが細胞に吸着するのを阻害し発熱を抑制すると述べています。

記事は、図解入りでわかりやすく説明されています。是非、詳細を一読されることをお薦めします。 

日経メディカルオンライン『ガイドラインに載っていない日常診療の裏ワザ~インフルエンザに漢方薬(2009.8.11)』 (記事を読むには会員登録が必要です。)

☆麻黄湯の服用に際しての注意。

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新型インフルエンザ:麻黄湯(まおうとう)を常備薬に!

今日もまた、3歳男児が新型インフルエンザに感染して亡くなりました。基礎疾患はなく、とても元気な男の子だったそうです。19日、38℃の発熱があり医療機関を受診したところ、「せき止め薬など」を処方されました。ところが20日午前、39.6℃の高熱になり再受診したところ、簡易キット陽性だったために、タミフルを投与されました。しかし、その日の夕方、嘔吐し、呼びかけても反応がなくなりました。救急搬送されましたが、病院到着時には心肺停止状態、死亡が確認されました。

可愛い子どもの訃報には、本当に胸が痛みます。

『ゾクゾクっとして、なんとなく異変を感じ、熱を測ったら微熱があった・・・』       まさにこのインフルエンザのひきはじめのタイミング、すなわちウイルス増殖初期に「麻黄湯」を服用すれば、ウイルスの細胞への吸着と侵入・脱殻を阻害し、症状の重症化を防ぐ可能性があると言われています。従って、私たちは、新型インフルエンザが流行している間は麻黄湯を常備(携帯)して、万が一に備えたら良いのではないかと思います。麻黄湯は感染中期にも、RNAとタンパク合成を阻害します。

そもそもタミフルやリレンザは、時間が経過した感染後期に作用する薬です。細胞内部で増殖したウイルスが、細胞外に放出するのを阻害するタミフルやリレンザよりも、ウイルスの増殖そのものを抑制する麻黄湯のほうが、早い段階で作用します。

今回の症例もそうですが、医療機関でインフルエンザであることの診断を待っていたのでは手遅れになる可能性もある以上、1秒でも早く麻黄湯を服用する意味は、とても大きいと思います。併用注意や既往歴、あるいは体質の合わない場合を除き、麻黄湯は、タミフルのように、タイミングを間違うとより悪化させる可能性があるのではないかと思われる薬ではありません。

麻黄湯は、街かど薬局で購入できます。ただ何度も言うよう、体質やいくつかの疾患・既往歴によっては、麻黄湯を服用しても効果が薄いか、服用そのものが要注意である方もいらっしゃいます。薬剤師によく相談して、服用可能な方は、新型インフルエンザが流行している間は、麻黄湯を常備(携帯)されることをお薦めします。そして、万が一ゾクゾクっときたら、即服用。その上で必要なら医療機関を受診する。そうすれば、重症化せず乗りきることができる可能性が高いと思います。

医療機関においても、事ここに至り、インフルエンザ様症状の患者さんには、その場で直ちに麻黄湯を投与する機転が必要だと、私は思います。薬局で購入できる一般用の麻黄湯は、メーカーによっては生後3カ月以上で服用可能となっていますが、医療機関においても小児の薬用量の目安を検討の上、臨機応変に対応されることを私は望みます。

新型インフルエンザで亡くなった方の症例報告をみると、タミフルが投与されて間もなく死に至ったケースが目立ちます。「漢方薬は科学的な分析が足りないから評価できない」とおっしゃる専門家の方々であっても、タミフル投与と死亡との因果関係について、いよいよ科学的にも看過できなくなってきているのではないかと思います。

(麻黄湯)

・体力のある人の急性期に向いています。もともと虚弱体質の人には不向きです。

・汗の出ない状態に向いています(発汗傾向が強い場合は不向きです)。

・胃腸の状態が悪い場合は不向きです。

・特に、高血圧・狭心症や心筋梗塞等の循環器系に障害のある人・腎臓病・甲状腺   機能亢進症などの人は、服用に注意が必要です。

・他の漢方薬やテオフィリンなどの気管支拡張剤などとの併用には注意が必要です。

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新型インフルエンザワクチン:「妊婦への安全性は確立していない」とあらためて表明した厚労省

新型インフルエンザワクチンの添付文書に関する矛盾を10月17日指摘しましたが、厚労省の薬事・食品衛生審議会安全対策調査会は、添付文書の妊婦に関する部分を訂正すると10月18日発表しました。

「(妊婦には)接種しないことを原則とし」という文言を削除し、「接種により先天異常の発生率を上昇させることはない、との調査報告がある。」と変更するそうです。しかし、調査の範囲が小規模だとして「妊娠中の接種の安全性は確立していない」との表現は残すとも発表しました。

はてさて、このように添付文書を改訂し、厚労省はいったい何を言いたいのでしょう?優先順位第2位として妊婦に対してワクチン接種を猛烈に推奨しつつ、ワクチンそのものの添付文書には「妊婦への安全性は確立していない」旨をあらためて明記する。厚労省は、いったい何をやっているのでしょう。さっぱりわかりません。

更に、国産ワクチンの一部(10mlバイアル製剤の一部)に使用されている保存剤「チメロサール」についても、「使用に問題ない」と表明しました。しかし厚労省は、妊婦が希望すれば、チメロサールを添加していない、あらかじめ注射器に注射液が充填されているタイプのワクチン(プレフィルドシリンジ製剤)を接種できるとしています。このことはすなわち、「使用に問題ない」と言いながらも、厚労省が心からチメロサールを安全だとは思っていない証拠です。チメロサールは水銀化合物で、過去に発達障害などの副作用が報告されています。 →厚労省発表資料(9月)

10月19日の産経ニュースの記事の一部を紹介します。

国立公衆衛生医院(現国立保険医療科学院)感染症室長をつとめた母里啓子さんは「インフルエンザは自然に治る病気だから、どんな副作用が出るか分からないワクチンは基本的に必要ない。普段から栄養のあるものを食べ、ゆっくり休んで免疫力を高めることだ」と生活習慣の改善こそ大事だと訴える。

母里啓子=“もりひろこ”さんとお読みします。私もまったくの同感です。自分の健康は自分で責任を持つ「セルフメディケーション」の考え方がないと、このさき日本の医療は立ち行きません。

同記事は、次のように続きます。

国立感染症研究所感染症情報センターの岡部信彦センター長は「インフルエンザのワクチンは万能ではないし、わずかだが副作用もある。当然、打ちたくない人も出てくるだろう。専門家としてはチャンスがあるなら打った方がよいと勧めるが、強制するものでもない。リスクと効果を知った上で判断してほしい」と話している。

国立感染症研究所・感染症情報センター長としての立場上、まさに苦渋の表現です。「どっちなんだ???」と突っ込みたくなりますが、しかし、一呼吸おいて落ち着いて考えれば、答えは明快です。

母里啓子先生もおっしゃるように、日常の食生活の改善が第一義であることは勿論ですが、健康を害し、どうしても薬に頼らざるを得ない場合には、副作用の強い西洋薬ばかりでなく、有効な漢方薬が幾つも存在することを見逃してはなりません。それらの漢方薬は、街かど薬局で購入できますし、何より厚労省が認めた保険適用薬でもあるのです。ワクチンやタミフル・リレンザは、新型インフルエンザ対策の一部ではあっても、絶対ではありません。亡くなった方の大半は、タミフル投与が遅かったから亡くなったのでしょうか?

今急がれるのは、厚労省が示す新型インフルエンザの治療指針の中に、初期の段階では非常に有効である可能性の高い麻黄湯などの漢方薬を、選択肢の一つとして、他の薬剤同様に盛り込むことだと私は思います。栃木県佐野市医師会では既に、タミフル・リレンザと同様に麻黄湯を処方の考慮にいれるよう、新型インフルエンザ治療指針に明示しています。この期に及んでもなお厚労省が麻黄湯の効果について期待できないと言うのなら、ウイルス増殖抑制作用を示している麻黄湯の添付文書の一部も見直すべきです。

そして、このままいくと、優先順位の枠からはずされた大半の国民は、仮にワクチン接種を希望した場合、輸入ワクチンを接種されます。輸入ワクチンは、湾岸戦争症候群や不妊が心配される石油由来のアジュバント(免疫増強剤)・スクアレンが添加され、これまで日本では未承認だったイヌ(犬)腎臓由来細胞を用いて製造しています。

新型インフルエンザの致死率は、現段階では季節性インフルエンザ並みと言われています。とにかく私たちは、アジュバントやイヌ(犬)の腎臓あるいはチメロサール(水銀化合物)などを使用した新型インフルエンザワクチンを接種するということは、まさに未知との遭遇であるということを、肝に銘じなければなりません。

産経ニュースはこちら

麻黄湯の作用機序

北里大学東洋医学総合研究所所長・花輪壽彦先生も麻黄湯を推奨

栃木県佐野市医師会「新型インフルエンザ・パンデミック治療指針」

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新型インフルエンザワクチン:妊婦、基礎疾患を有する人への対応の摩訶不思議

10月19日から、新型インフルエンザワクチンの接種が始まります。まずは医療従事者(100万人)からですが、順次「妊婦100万人」「基礎疾患を有する者900万」「1歳から小学校3年生に相当する年齢の小児1,000万人」「1歳未満の小児の保護者等200万人」「小学校4~6年生・中学生・高校生に相当する年齢の者1,000万人」「高齢者65歳以上(基礎疾患を有する者を除く)2,100万人」と続き、合計5,400万人の国民が、新型インフルエンザワクチン接種を強く推奨される対象者となります。

実に日本の人口の45%以上が、季節性インフルエンザと比較して重症化しやすいとみなされている(???)新型インフルエンザへの国の対抗措置として、半ば強制的にワクチン接種を押しつけられるのです。

私が特に不思議に思うのは、妊婦や基礎疾患のある人への対応です。

妊婦の優先順位は第2位(米国では優先順位第1位)、国内の対象者は100万人です。「妊婦は重症化しやすく死亡率が高いことが示唆されている」ことが理由として挙げられています。ところが、新型インフルエンザワクチン(H1N1)の添付文書には、次のように記載されています。

 (妊婦、産婦、授乳婦等への接種)

妊娠中の接種に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には接種しないことを原則とし、予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること。

 更に、基礎疾患を有する人への対応もちぐはぐです。発症すると重症化しやすいとして優先順位第3位に位置付けられていますが、ワクチンの添付文書では「心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者や気管支喘息のある者」について次のように記載されています。

(接種の判断を行うに際し、注意を要する者)

被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合は、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行い、予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること。

妊婦同様、厚労省と製薬メーカー(もともと承認したのは厚労省)とでは、基礎疾患のある人への認識が明らかに異なります。このような状況下、私が特に思うことは、これでは、リスクに対する責任の所在がまったく不明確であるということです。

ただし、添付文書には、次のようにも記載されています。

新型インフルエンザA型(H1N1)としては使用経験がなく、添付文書中の副反応、臨床成績、薬効薬理等の情報については季節性インフルエンザワクチンとしての成績を記載している。新型インフルエンザA型(H1N1)ワクチンとしての成績等に関しては、最新の情報を随時参照すること。

しかし、季節性インフルエンザワクチンで原則禁止されているものが、新型インフルエンザワクチンではあっさり解禁されるなどということは、製造工程からみても常識的に非常に不合理です。

国立成育医療センターは、シーズンごとに約150人程度の妊婦にインフルエンザワクチンを接種しており、副反応・胎児への影響は見られず、ワクチン接種は有用であるとの見解を示しています。また日本産婦人科学会は、「米国では毎年60万人の妊婦がインフルエンザワクチンの接種を受けているが、有害事象は観察されていない」とコメントしています。

であるならば、国が承認した新型インフルエンザワクチンの添付文書には、「妊婦にも(安心して)接種できる」と書くべきです。しかし実際には、添付文書にはわざわざ注意事項として先のような内容が記載されているのです。

私は、この明らかな矛盾をきちんと整理して、国民に分かりやすく説明する責任が、厚労省にはあると思います。場当たり的な、ころころと変わる方針に不信感を抱く国民は、決して私だけではないと思います。

なお、それでも、どうしてもワクチン接種を希望される方は、チメロサールという保存剤が使用されていないタイプのワクチンを選択されたほうが賢明だと思います。

★チメロサール:エチル水銀チオサリチル酸ナトリウム(水銀化合物)。分解し「エチル水銀」

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新型インフルエンザ:意義のあるプレス発表を!

新型インフルエンザ感染の子どもが、相次いで亡くなっています。その都度発表される厚労省の症例報告の内容は、極めて限定的で、診療やセルフメディケーションに殆ど役立ちません。公表された内容だけでは、十分な判断ができないのが実態だと思います。

“このまま寝ていれば治るだろう”あるいは“このままではまずい、病院へ行ったほうが良い”などの判断が自分では出来ない子どもである、亡くなった西宮の8歳女児は、微熱だったものが39℃近くの高熱になり、意識がなくなるまでの間、何故2日間も医療機関を受診しなかったのでしょうか。この女児は、いったいどんな環境に置かれていたのだろうか・・・自然にわいてくる疑問です。

更に、基礎疾患がないという発表だけで、患者の健康状態を推し量ることは困難です。置かれていた環境や患者の詳細な人となりにつても発表しなければ、殆ど参考にはならず今後の診療あるいはセルフメディケーションには役立ちません。公表の意味は、その症例を教示として、今後の診療やセルフメディケーションに役立たせるためであるはずです。そうでないのならば、公表の意義がありません。

当然ながら、タミフルやリレンザをいつ投与したかまたは投与しなかったかだけではなく、すべての投薬内容が明示されることも必要です。

もっと言うならば、医療機関の対応が患者の生死に無関係であるはずがなく、特に死亡例については、治療内容についての情報公開を徹底し、場合によっては第三者の判断を仰ぐ必要もあるのではないかと思います。患者さんの個人情報については、当然、常識ある配慮をしなければなりません。

概算要求も対外的には一段落したわけですから、厚労大臣には、新型インフルエンザ対策の現段階での一定程度の評価をとりまとめ、大人の力を借りなければ命を守ることのできない子どもたちに、これ以上犠牲者がでないよう、積極的な情報公開に取り組んでいただくよう切望します。
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新型インフルエンザ:麻黄湯を活用する栃木県佐野市医師会治療指針

新型インフルエンザ感染が確認された東京都在住5歳男児の死亡に続き、あらたに都内在住4歳の男児の死亡が報告されました。 本当に痛ましく、未来ある可愛い子どもたちが、何故死ななければならなかったのか、非常に無念でなりません。

厚労省のプレス発表によると、いずれのケースも最初に症状が認められた日の翌日に簡易検査キットでインフルエンザ陽性と診断され、タミフルを処方されています。そして直後にけいれんなどを起こし重症化して亡くなっています。

タミフル投与以前の投薬状況は公表されず、判断材料がありません。特に5歳男児の場合は、症状が出たその日に医療機関を受診していますので、その際、どのような処置が行われ処方薬があるとすればそれは何だったのかを公表しなければ、教訓として生かされないと思います。

症状が出た段階で麻黄湯を服用していれば、死なずにすんだのではないか・・・新型インフルエンザ感染者の死亡報告にふれるたびに、私は思います。勿論、麻黄湯が処方されていたか否かは、私たちには不明です。

栃木県佐野市医師会は、新型インフルエンザ対策の治療指針の中で、タミフルまたはリレンザ(佐野医師会は、タミフルではなくリレンザを第一選択薬としています)と併用して麻黄湯の処方を考慮するよう明示しています。抗インフルエンザ薬との併用ですが、医師会の治療指針の中で麻黄湯の処方を明確にしている点は、非常に画期的です。

麻黄湯は、街の薬局でも購入できます。漢方といえども薬ですから体に合わない人もいます。薬剤師によく聞いて服用可能な人であれば、ゾクゾクしたりしてインフルエンザ様症状を感じた場合には、すぐに麻黄湯を服用すれば大事には至らないはずです。

 5歳と4歳の男児は、タミフルの投与が遅かったから亡くなったのでしょうか?その点も、あらゆる可能性を公平公正に判断しなければならないと思います。そして何よりも、厚労省の新型インフルエンザ治療指針の中に、栃木県佐野市医師会の治療指針をより発展させて、初期段階での「麻黄湯」の処方を明示することが急がれると思います。少なくとも、そうすることによって、新型インフルエンザで亡くなる人の数は減少することこそあれ、増えることはないのではないかと思います。

 阪大微生物病研究会が、スイスのノバルティスと同じように、イヌ(犬)腎臓由来細胞を使用した新型インフルエンザワクチンを製造すると発表しました。いよいよ国内産ワクチンもイヌ(犬)の腎臓を使用します。湾岸戦争症候群のほか不妊という説も流れるアジュバント(免疫増強剤)もまた、国内産ワクチンに使用される可能性が高くなりました。私たち消費者ひとりひとり、自分の健康は自分で守るという意識を高め、あとで後悔しないようよく考えて、必ず自分の意志で選択していくことが、ワクチン接種に際して非常に重要なことだと思います。

栃木県佐野市医師会:新型インフルエンザパンデミック治療指針

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