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ひらがな5文字の「はたともこ」ブログ
ついに米国産牛肉輸入再々開 7月27日
その15施設を、今後日本側があらためて査察する予定はなく、パッカーおよび米国の自主的な是正措置に委ねることで、リストに加えるというのだから、完全に米国ペースであることを誰もが否定できない。しかも、当該35施設の名前は、米側からの「施設が特定できる情報は非公開とのこと」との要請により、公開されていないのだから、現地調査そのものに本質的欠陥があると言わざるを得ないのだ。
日本が要求した「対日輸出プログラム」にあるウシの月齢確認とSRM(特定危険部位)の除去は、日本国内では当たり前に行われる作業であるが、米国の食肉加工施設で働く多くのヒスパニックなどの従業員にとっては、全てを履行することは、実際問題なかなか厄介だ。何よりも、彼らの多くはスペイン語しか話すことができない。仮に、AMS(米農務省農業販売促進局)の職員が監視したとしても、ヒスパニックの従業員が、EVプログラムの内容を理解することは困難かもしれないのだ。
米パッカーでのSRMの除去に、万が一不備があったとしても、全箱開梱して目視検査をする日本の税関で、なんとか流通を食い止めることはできるかもしれない。しかし、税関の目視で、月齢や使用された飼料まではとても判断がつかない。米国畜産業界で、今、最も注目しなければならないことは、肥育過程でウシが食する飼料に関する規制の甘さである。今回の査察で、米国の農場は、「肉用牛は、たん白質含量の高い飼料を必要としておらず、植物性の原料でたん白質の要求量を満たすことができるため、動物性たん白質を給与することは経済的でない」との回答を示しているが、ここで言う「動物性たん白質」とは、いったい何を指しているのだろうか。あえて「肉骨粉」だと仮定しても、鶏糞やチキンリッターなどがここで言う「動物性たん白質」に該当しないという根拠は、どこにもない。
調査対象となったレンダリング工場1施設が、「反芻動物由来の肉骨粉」を反芻動物に給与してはならない旨の注意書きを出荷書類に記載し出荷し、調査対象となった配合飼料工場2施設が、「反芻動物由来の肉骨粉」は原料として使用しない」と言っても、反芻動物由来すなわちウシの肉骨粉が鶏の飼料となり、その鶏糞やゲージ内の肉骨粉が混入したゴミ(チキンリッター)が、ウシの飼料となっていることは、もはや周知の事実なのだ。特に、吉野家が特注する「吉ギューの吉ギューによる吉ギューのための牛肉(ショートプレート)」は、鶏糞に甘い蜜をかけたものを飼料として肥育した、その名もずばり「糖蜜飼育若姫牛」なる「ブランド」なのだ。
日本政府の、米国の甘い飼料規制に対する認識・態度には、日本の消費者の不安や懸念を背負っているという使命感が、全く感じられない。そもそも、米国内で流通する所謂低所得者向けのオーガニックでない牛肉は、名実ともに「オーガニック」でないのだから、肥育に使用される飼料は、従来通り、肉骨粉混じりのリスキーな状態のままだ。米国の当初の主張が、「米国の条件下、米国民は食しているのだから、日本が示すレベルの高い条件は必要ない」であったことを思い出すと、米国全土に広がる畜産農家の一人一人が、飼料に配慮するとは、到底思えないのだ。
更に、今回の調査でも、月齢20ヶ月以下の規定が遵守される根拠はない。決定的なのは、米国の牛には、日本のように1頭1頭トレーサビリティの根拠となるロットが、プロッティングされてはいないことだ。結局、米国の牛は、月齢を正確に把握することなど、できるはずがないのだ。
多くの日本の賢い消費者は、このような状況の中、再び米国産牛肉が店頭に並んだり、加工食品に使用されたりすることに脅威を感じている。日本の消費者の健康と食の安全を守るべき日本政府が、日米関係を良好に維持するための政治的道具として、危険な米国産牛肉の輸入再々開に踏み切ることは、日本国民の1人として断じて許すことは出来ない。真に日本が、世界から健康で文化的な先進国家として認められるには、あえて米国および米国の畜産業界に対して、誤りを指摘する一石を投じる覚悟が必要だ。しっぽを振って寄り添うだけの、単なる米国のポチである以上、日本は世界のどの国からも評価もされなければ相手にもされないのだ。世界の公衆衛生の観点から、米国の畜産が、BSEリスクからの脱皮も含めて食の安全に律する行動をとることが、何よりも重要だ。
小泉路線を継承するポスト小泉政権では、日本の食の安全を守ることはできない。「美しい国」とは、それこそ言ってみるだけだ。政権は、選挙でしか代わらない。私たち消費者の賢い選択が、今度こそ求められるのだ。
カナダで7頭目「BSEリスクの増大」 7月12日
にもかかわらず、カナダに比して米国政府のBSEサーベイランスは、非常に不十分で不誠実だ。最も懸念されるのは、甘すぎる飼料規制だ。カナダも米国も、いまだにSRM入りの肉骨粉の使用を認めている。ウシには与えてはならないとしながらも、鶏やブタなどへの肉骨粉の使用は、現在も続いている。鶏舎に散らばる肉骨粉が、鶏糞とともに、現実にウシの飼料になっているのだ。サーベイランスを拡大したカナダは、続出するBSE感染牛に対応するため、2004年12月に提案した「BSE関連飼料規制」の実施を発表しただけ、まだましだ(2006年6月26日発表、2007年7月12日実施)。
日本側がどんなに飼料規制の強化を求めても、米国は、まったく眼中にない。そんな状態で、日本は、米国産牛肉の輸入を、本来は再開するわけにはいかないのだ。カナダの報告は、米国のBSEリスクが、実際には非常に大きいことを意味している。日本への輸出を許可された米国パッカーの工場の視察だけで、米国産牛肉の安全性を判断しようとする日本政府の姿勢は、あまりにも不十分だ。
米国は、全頭検査をするどころか、サーベイランスをこれまでの1/10以下に縮小するとまで言い出している。畜産業界団体出身者が重要なポストを占める米農務省は、ひたすらBSEを隠蔽することに必死なのだ。日本政府は、食の安全をまったく無視した米国の業界政治の片棒を、今まさにかつごうとしているのだ。あり得ない話だ!
カナダでBSEリスクが高まっている以上、新たなリスク評価をしないまま、米国産牛肉の輸入を再開して良いのか。20ヶ月齢以下で、SRMが完全に除去されたウシであれば、日本と同等に安全だとする食品安全委員会の答申を、もう一度見直す必要があるのではないか。当面は、税関で、輸入される米国産ウシの「全箱検査」するとしているが、それはあくまでも目視にすぎない。このまま、米国産ウシの輸入が再開されるとなると、日本の税関で、BSE検査キットを使用した全頭検査をしなければならなくなるのだ。まったくナンセンスだ。
米国との対等な関係を強調する小泉総理であるならば、BSEリスクについて、米国にきちんと主張し要求しなければならない。しかし、実際には対等ではなく「ポチ」なのだから、小泉総理は、米国に対して何も言えないのだ。であるならば、リスク評価の見直し以外に、日本国民の食の安全を守る手段はないではないか。14日、衆議院農水委員会の閉会中審査が開かれる。牛肉に関して、カナダと米国とは事実上一体だ。妥協なき飼料規制を含めて、輸入再開には徹底的なリスク再評価が求められることを、この委員会で民主党は強く主張しなければならないのだ。
エンブレル・タミフル・狂鹿病・成長ホルモン・牛乳「閣議決定された答弁の重み」 6月23日
従って、残る15品目については現在もなお、米国産ウシ由来の原材料が使用されているのだ。しかも厚労省は、原材料の安定的な供給確保、あるいは原材料の変更による品質・有効性・安全性に変化が生じないことの確認等に時間を要していること等が、原材料を切り替えられない理由だと、いまだに答弁している。この説明には、国民を納得させるだけの説得力がまったくない。
発売直前に、海外の投与患者にヤコブ病が発症したことが発覚した「エンブレル」は、製造販売元のワイス社が提出した資料のみをもとに薬事審議会を開き、間髪入れず販売が許可された曰くつきの医薬品だ。その後「エンブレル」は、リウマチ患者の方々のQOL向上に、どれほどの効果を発揮しているのか、それはリスクを上回るだけの価値があるのかどうかの質問に対して、特別な配慮のもとに承認・販売を許可した医薬品であるにもかかわらず、厚労省は昨年11月の川内代議士の質問主意書に対する答弁以来、追跡調査を行っていないことが今回の答弁書によって明らかになった。自らの不作為を、厚労省は暴露したのだ。リスクマネジメントとしては失格だ。
更に今回の答弁書で、「タミフル」のカプセルの原料であるゼラチンの原産国が、平成16年10月18日出荷分以降、米国産から豪州産・ニュージーランド産・アルゼンチン産・インド産のものに変更されたことが、あらためて「閣議決定」された。正確な資料がないことがBSEフリーの理由であるインドを、原産国の1つとして答弁書に明記した意味は大きい。また、備蓄における米国産ウシ由来のカプセルのリスクについて政府の見解を求めたところ、国内では6府県において、切り替え前の米国産ウシ由来ゼラチンを使用したタミフルが備蓄されていることが明らかになった。6府県の名は示されなかったが、これを容認する厚労省の対応には一貫性がない。
牛肉が輸入規制される一方で、乳製品の輸入はなんら規制されていないが、米国産ホルスタインには成長促進のために成長ホルモンが投与されている。EUでは、成長促進のための成長ホルモンの使用を全面的に禁止し、輸入に際しても残留検査をするなど非常に厳しいチェック体制で臨んでいるが、日本は、ノーチェックに等しい状態で、米国産の乳製品の輸入を続けている。成長ホルモンの残留に関して、厚労省は、食品衛生法に基づき規格等に合わないものの販売は禁止していると今回答弁したが、そもそも食品衛生法上の添加物に天然型成長ホルモンは含まれていない。勿論、ポジティブリストにも一部の合成型成長ホルモンを除いては含まれていない。即ち、今後も、成長ホルモンに侵された米国産の乳製品が、税関をノーチェックで通過するということが明らかになったのだ。
米国では、狂牛病よりも狂鹿病(CWD)のほうが社会問題化し、CWDに感染した鹿肉を食さないよう勧告している。このほど北海道釧路市が、大量発生するエゾシカに頭を悩まし、とうとう学校給食にエゾシカ肉を導入することを決定した。質問主意書では、学校給食に使用されるエゾシカについてリスク評価の必要性を政府に求めていたが、CWDがヒトに伝達するかどうか現時点では科学的に明らかになっていないことを理由に、政府はリスク評価を行う考えのないことを明らかにした。食品安全委員会プリオン専門調査会の吉川座長でさえ、米国産牛肉の安全性は科学的に証明されたわけではないと述べている。科学的に安全性が証明されなくても米国産牛肉を輸入したり、ヒトへの伝達が科学的に明らかになっていないとはいえ、米国では既に恐れられているCWDのヒトへの感染リスクを日本政府が無視するのであれば、日本にはvCJDリスクが蔓延することになる。
理論上、政府の答弁書はつぎはぎで矛盾にあふれている。政府によって十分なリスクマネジメントが行われていると思いがちだが、実際には多くのリスクにニアミスしながら生きているということを、私たちは認識する必要がある。ベストセラー「病気にならない生き方」の著者・新谷弘実医師は、過酸化脂質を多く含む牛乳は、体に毒だと断言する。牛乳は腸内細菌のバランスを崩し、腸内に活性酸素・硫化水素・アンモニアなどの毒素を発生させる。牛乳が、アレルギーや小児の白血病や糖尿病を誘発することを示唆する論文は、幾つもあるそうだ。しかし、今回示された政府の答弁は、「牛乳の過酸化脂質が健康に与える影響については、厚生労働省において、現時点では承知していない。」の一言だ。承知していないなら、承知するよう調査するのが厚労省の役割ではないか。アクシデントを未然に防ぐためのリスク管理の徹底を、厚労省には強く願わずにはいられない。
牛肉輸入再々開「日米合意」の「合意」とは? 6月21日
35ヶ所の日本向け加工施設と生産農場とを現地調査し、再発防止策が徹底しているかどうかのチェックは、輸入再々開合意の前にやるべきことであって、決して再々開「条件」の合意が輸入再々開の「合意」そのものになり得るものではないのだ。米国が現地調査の条件を拒否するのであれば、そもそも輸入再々開の議論は、本来は俎上にも乗らない話なのだ。
更に、合意の根拠とされた、輸入再々開後の米国による抜き打ち検査に日本が同行することのどこに、日本政府は意義を見出せるのだろうか。日本が同行する抜き打ち検査が、本当に「抜き打ち」で行われるはずがないではないか。米国のスタンダードを日本に押し付け、何が何でも米国産牛肉を日本に輸出したい米国が、米国パッカーに不利になるような抜き打ち検査を実施するはずがない。テレビ会議と称して昨夜から日本政府が行った交渉は、政府間交渉と言うよりも、米国の属国たる日本の役割の再確認のための「合意」のパフォーマンスでしかなかったのだ。
日本が示した条件の中に、「生産記録の調査」という項目がある。米国に対して、牛肉のトレーサビリティの開示を求める内容だ。日本政府はそれによって、鶏糞やチキンリッターなどの肉骨粉が含まれる飼料が使用されていないか、あるいはどの程度の成長ホルモンが使用されているのかを判断しなければならないのだ。重要なことは、日本政府が安全であると判断する根拠として、米側が示す「生産記録」を、日本国民に対してディスクロージャーすることだ。二度と「黒塗り」されないよう、日本政府が米国に対して、断固とした態度がとれるかどうかがポイントだ。
早速、吉野家は、牛丼の販売再開に向けて動き始めた。他の牛丼チェーンが豪州産などに切り替えて販売する一方、一貫して米国産に固執して牛丼の販売を休止してきた吉野家の主張が興味深い。「日本人好みの脂が乗った味、必要な部分だけ大量に調達できる」点が、吉野家が米国産牛肉にこだわる理由なのだ。吉野家が米国から輸入する牛肉の部位は、通称「ショートプレート」と呼ばれるもので、骨に張り付いた脂みで米国人は食べない言わば捨て肉の部分だ。加工の段階で廃棄される「捨て肉」を、タイソンなどと契約し吉野家は購入しているのだ。
このショートプレートは、日本人好みの甘い脂味肉にするために、独自の肥育方法がとられている。糖みつをかけ食べやすくした鶏糞を、牛の飼料として与えているのだ。その牛の名は、そのものズバリ「糖みつ飼育若姫牛」。吉野家のショートプレートは、肉骨粉を食べた鶏の糞を飼料とし、日本のみならずWHOの基準にもそぐわない、まさにレンダリングの肉骨粉飼料の牛そのものの可能性があるのだ。このままいけば、秋にもレンダリングの肉骨粉飼料の「糖みつ飼育若姫牛」が、再び吉野家にお目見えするかもしれないのだ。
大阪地裁は今日、また一つ国家による薬害を認めた。判決に拍手を送ったが、被害者の健康は二度と取り戻せるものではない。国家の不作為どころか、国家と製薬会社とが加害者となるこのような悲劇を、二度と繰り返してはならない。日本政府が米国の圧力に屈していたのでは、日本国民の安心と安全は永遠に確保されない。少なくとも、今後政府が調査する米国パッカーや牧場などの調査報告書は、余すところなく全て日本国民に対してディスクロージャーする必要がある。勿論、加工品や外食の原産国表示も、必ず義務付ける必要がある。店頭で米国産牛肉を選択するのもしないのも、他でもない私たち消費者なのだ。日本政府は、日本国民の安心と安全・健康を、どこまで守り抜くことができるだろうか。
中外製薬が自主回収「米国産ウシ由来の医薬品」 6月20日
即ち、本年1月27日現在公表された19品目以外の医薬品については、ウシ由来原材料を米国から他のBSE未発生国に変更しているはずだったのだ。ところが、今日の報道によって、中外製薬が虚偽の報告をしていたことが判明したのだ。中外製薬は、「米国産ウシ血清を使用した製剤はすべて廃棄処分にしたつもりだったが、集計資料で『米国産』を『豪州産』と誤って記載した。人為的ミスの疑いが強い。」と釈明しているが、「すべて廃棄処分にしたつもりだった」のくだりは、にわかには信じ難く、誠実さに欠ける企業スタンスを自ら露呈させるものとなった。先週、川内博史代議士より、BSEに関する質問主意書が提出された直後の報道だけに、中外製薬の後手後手のリスク管理に不信感は募るばかりだ。
中外製薬は、カプセルの原料のゼラチンに米国産ウシを使用していた抗インフルエンザ薬「タミフル」について、2004年11月の出荷分から当該原材料の原産国を米国からオーストラリア・ニュージーランド・アルゼンチン・インドに変更したと発表している。いずれも、現段階でBSE発生の報告のない国々であるが、BSEの検査体制が整備されていないことが理由でBSEフリーとみなされているインドについては、重大なリスクが懸念されるのだ。
途上国であるインドで、BSEあるいはcVJD感染を確定することは非常に困難だ。インドで最初にCJDが報告されたのは1965年、その後1968年~1997年の間に報告されたCJD症例数は69例だ。先進国のデータを基に推計すると、インドでは年間150人程度がCJDを発症する計算になり、国民の8割がヒンドウ教徒であることを考慮すると、CJD感染の疑いのある遺体が年間約120体、川に流されていることになるのだ。流された遺体は、貧しい農民らにより収拾され、肥料や飼料に加工され、少なくとも1950年代から輸出が始まり、結果、それが英国のBSE発生の一因になった可能性があると、2005年9月、医学ジャーナリストの大西淳子氏が指摘している。
中外製薬は、何故、ウシ由来原料の原産国を米国から他の国に変更しなければならないのか、根本的な部分を正しく理解していない。大なり小なり必ず副作用を伴う医薬品は、両刃の剣であるからこそ、製薬メーカーには細心の注意が求められる。ベネフィットとリスクとを天秤にかけベネフィットを優先する場合でも、リスクは最小限に食い止められなければならないのだ。本年1月時点でなお原産国を変更できない理由について、「原産国を変更すると培養過程に微妙な変化が生じ、スムーズな生産ができなくなる。」とのメーカーの弁明は、説得力がないどころか、責任を放棄した企業の怠慢を示す言葉以外の何ものでもない。
今回の中外製薬の自主回収を受け、厚労省は、他にも同様のケースがないかどうか、都道府県を通じて各製薬メーカーに点検を求めるそうだが、そもそもは、厚労省のリスクマネジメントの甘さが底流にある。黒塗り報告書を国民に公表しておいて、米国食肉加工施設の安全性は確保されたと厚労省が主張する根拠は、いったいどこにあるのか。厚労省が守るべきは、米国の畜産業者や大手パッカーであって、日本の消費者ではないということなのか。一事が万事、こんにちまで厚労省は、患者の安全よりも、製薬メーカーの利益を優先してきた。明日21日判決が言い渡される薬害C型肝炎集団訴訟も、厚労省のリスク管理の甘さが招いた悲劇だ。最後に泣くのは、リスキーな医薬品を投与された患者であり米国産牛肉を食した消費者なのだ。
リスクマネジメントは、性悪説に立たなければ成り立たない。二度と厚労省が、「国民への加害行為」の片棒をかつぐことのないように、製薬メーカーへの天下りを禁止し、厚労省は徹底した情報開示に努めなければならないのだ。
BSE:SRM付着検査キットで水際作戦 6月4日
BSEのヒトへの感染リスクを考えれば、世界の公衆衛生の観点から、日本は勿論、米国がとるべき態度に選択の余地はない。即ち、日本がそうであるように、最低でも「全頭検査の実施」「SRMの除去」「肉骨粉使用の全面禁止と焼却」」「トレーサビリティの確立」の四重の防御策を実施する必要がある。ところが、現実には、米国のリスクマネジメントは、限りなくゼロに等しく、BSE検査は、加工処理される牛のわずか1%に留まっている。24時間フル稼働のベルトコンベアーに吊り下げられた牛からのSRM除去作業は、見るからに完璧とは程遠く、しかもSRMの除去自体、米国内向けでは月齢30ヶ月以上の牛に限られている。更に、除去したSRMは、焼却されずにそのままレンダリングされて鶏や豚の飼料用の肉骨粉に加工されるのだ。
問題は、鶏糞や鶏舎内のゴミ(チキンリッター)が牛の飼料とされ、そこには当然、鶏が食べ残した肉骨粉が混入しているという点だ。一説には、飼料となる鶏糞およびチキンリッター100万tのうち30万tが肉骨粉であるというデータもあり、実数値がこれより少なかろうが勿論多かろうが、わずか1gの異常プリオンでも感染リスクはあるわけで、いずれにしても非常に危うい現実であることに相違ないのだ。少なくとも、日本向けに輸出される牛肉のトレーサビリティを、100%ディスクロージャーする責任が米国政府にはある。日本向けの肉牛の飼料に、鶏糞およびチキンリッターは使用されているのか否か、まずは、正確な情報を日本に報告する義務を、米国政府は負っている。
ただ、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病が集団発生した発生源とされるテキサス州の競馬場レストランを、競馬場ごと解体して証拠を跡形もなく抹消する米国において、FDA(食品医薬品局)やUSDA(農務省)が日本向けに公表する資料にどれほどの信憑性があるかについては、甚だ疑問だ。昨年12月13日の日本の現地調査団の報告書を、日本国内で公表する前に米国が検閲し、多くの部分を真っ黒に塗りつぶして突き返してきた米国への信頼感は、限りなくゼロに近いものだ。そして最も腑に落ちないのは、それでも日本政府は、米国産牛肉の輸入再々開を決定するということだ。
であるならば、最後の砦である日本の税関で、徹底的に再検査する以外に方法はない。まさに、水際作戦だ。ロットごとに抜き取り検査を実施し、目視によるSRM付着検査の徹底、更に飛び散った脊髄液など目視できないものをも見逃さないために「SRM付着検査キット」の使用を義務付けることが必要だ。これまでSRM付着検査キットの使用は、日本でも義務付けられていなかったが、今後は繁用しているEUを見習って、日本でもチェック項目の一つに加えるべきだ。
そして、米国産牛肉同様に不安に満ちあふれているのが中国産牛肉だ。牛丼チェーンの松屋が、中国産の牛肉を使用しているが、中国でのBSE感染に関するデータは、ゼロではなく「不明」。即ち、データのない中国産牛肉は、米国産牛肉以上にリスキーであると考えざるを得ないのだ。農薬まみれの野菜を、平気で日本に輸出する中国の牛肉を、安全とは到底判断できない。ただし、消費者の求めに応じて、商品は開発されている。消費者の意識が、食品業界のモラルを左右する。何よりも、安心・安全の確保された食材を求め続ける消費者の態度こそが、全てに優るセイフティネットであることを、私たちは決して忘れてはならないのだ。
米国産牛肉問題「日米専門家協議の茶番」 5月20日
どう考えても単なる通過儀礼でしかない3日間に及んだ日米専門家協議。予想通り、来月中旬には米国産牛肉の輸入再々開が決定される見通しだ。見ている方が空しささえ覚える日米協議、実態は「協議」でもなんでもなく、一から十まですべては米国の言いなりなのだ。
この期に及んで、私たち消費者が、日本政府をまったく信用できない理由がある。昨年12月12日の輸入再開決定直後に行われた、農水・厚労両省による現地調査の報告書の全体が、いまだに明らかにされていないという点だ。しかも、明らかにできない理由が酷い。米国から、了解が得られなかったからなのだ。
輸入再開決定の翌日、昨年の12月13日、政府調査団は10の食肉処理施設の現地調査に向かった。その時点で日本向けの輸入が承認されていた施設は40施設あったにもかかわらず、日本政府に調査が許可されたのは、米国から指定された10施設に留まっている。そのことからも、この調査が殆ど調査の体をなしていないことがわかる。調査団の渡米直後に成田に到着した、再開後第一弾の輸入元のパッカー(Harris Ranch Beef)を急遽調査対象に加えたことで、日本は結局11の施設を調査した。
1月上旬になって、ひとまず現地調査報告書の概要が発表されたが、まさに単なる「概要」でしかなく、詳細の発表はずれこんだ。政府によると2月下旬に正式な報告書は出来上がったが、「米国の了解を得ないと発表できない」という耳を疑うような理由で、公表は更に先送りされたのである。個人情報を含んでいることと、SRM(特定危険部位)の除去方法などについては企業秘密であって、米国の了解を得ないことには発表できないとする政府の主張は、事ここに至り、安全の確認が最優先されなければならない事態にあって、到底承服できるものではない。米国のTVカメラでさえも加工施設の内部の撮影は禁じられているということだが、安全性の根拠を示さずして、輸入再々開の交渉など出来ようはずもないではないか。
待望の調査報告書は、「米国の検閲」が終了した4月末、やっと日本に帰ってきた。ところが、ここで、更に大きな問題に直面することになる。なんと、その報告書のいたるところが、黒マジックで墨塗りされていたのだ。量にして約半分以上のページにわたって、塗り消されていたといっても過言ではないそうだ。いったいどういうことなのだ!!そもそも、日本政府内部の報告書を、調査対象となっている米国が検閲するなんていう話があるだろうか。いかに、日本政府が、米国の顔色をうかがう「忠犬ポチ公」であるかがわかる。信じ難い。何のための現地調査なのか。
その後こんにちに至るまで、いまだに調査報告書の全体は公表されていない。手元には当然全文があるにもかかわらず、米国の指示に従い全文を公表しない政府は、いったい誰のための、何のための政府なのか。この報告書を、包み隠さず日本国民に公表することなくして、輸入再々開なんてあり得ない。専門家協議では、今後も消費者の意見を聴きつつ、パッカー35施設の現地調査も行いながら、慎重に事を進めていくとしているが、所詮は米国の検閲つき、調査しているのかされているのか、さっぱりわからない状態では、何をしてもなんの意味もない。
段取りは、わかりきっている。ブッシュ大統領に輸入再々開の催促をさせる前に、日本政府が輸入再々開を決めることで、政治的に決定したのではないように見せかけるため、日米首脳会談より前に、輸入再々開を日本政府は決めるに違いないのだ。こんな国民不在・アメポチ政権を、この先も継続して良いとは、誰も思わないはずだ。
郵政民営化を筆頭とする一連の「アメポチ改革」の継続のために、与党が執念を燃やす共謀罪や教育基本法の成立を諦めても、何が何でも安倍政権誕生を目指す小泉総理の意気込みは、もはや狂気の沙汰だ。BSE感染リスクよりも「アメポチ」を優先させる政府なんて、小泉政権だけで十分だ。ポスト小泉は、小泉路線を踏襲する人では困るのだ。とにかく、何よりもまず、昨年12月の現地調査報告書の全てを、国民の前に正直に示すことが先決だ。そのことなくして、輸入再々開は、議論の俎上にものぼらないのである。
認定38施設一覧(2006.3.16時点)
またも香港で、骨付き肉発覚! 5月16日
今回、香港に骨付き肉を輸出したカリフォルニアの「Harris Ranch Beef Company」も、過去2回のパッカーと同様に、日本への輸出認定を受けているパッカーだ。これほどたて続けに骨付き肉が発見されると、米パッカーをまったく信用できなくなるが、日本や香港のリクエストに応えられないパッカーを米農務省が施設認定していること自体、重大な約束違反ではないか。香港での事例は、「EVプログラム(日本向け輸出プログラム)」が、事実上有名無実化していることを如実に物語っている。米国の約束は、いい加減極まりないのだ。米農務省は、BSEに関する日本との協定を、パッカーに遵守させることが出来ないのだ。
米国産牛肉の輸入再開に慎重だった食品安全委員会プリオン専門調査会のメンバー6名の突然の辞任は、ここまで来ると無理もないことがわかる。日本でどんなに議論を重ねても、米国は、日本の要請や意見を傾聴しないどころか、米国流のやり方を押し付けようとするのだ。日本政府は、米国に対して結局は弱腰で、たとえプリオン専門調査会で真剣な議論がなされたとしても、それは「輸入再開ありき」という大前提のもとでの、単なる通過儀礼のようなものでしかないのだ。
米国の食肉加工処理施設で働く従業員の多くは、ヒスパニックや不法移民の人たちだ。中南米などから渡ってきた彼らの中には、英語をまったく話せない人も数多く存在する。そのため、SRMの除去方法などのEVプログラムの内容が、実際には現場の従業員に正しく伝えられていない可能性が極めて高いのだ。それを十分に承知している米農務省こそ、確信犯なのだ。明日から始まる日米専門家会議では、一歩も譲らぬ強い姿勢を、日本政府は貫けるだろうか。飼料規制が強化され十分なサーベイランスが拡大・継続されないのなら、輸入再々開を日本の消費者に説明できないと、政府は強く主張しなければならない。
変異型クロイツフェルト・ヤコブ病が集団発生した競馬場のレストランを、競馬場もろとも解体して事実を隠蔽する米国を、そもそも信頼することなどできないのだ。共産党独裁国家である中国と、強力な業界政治国家である米国とは、政治的に弱い立場にある消費者の声が政府に届かないという点で、一致している。食の安心・安全の見地からも、日本は輸入に頼らない食糧確保に、真剣に取り組む必要性があるのだ。
カロリーベースで食糧の6割を輸入に頼る日本では、その一方で、毎日大量の食品が食べずに捨てられている。コンビニでは、売上の2~3%の食品が毎日廃棄処分されている。農業と水産業との生産額を合わせた11兆円にほぼ等しい額の食品が、食糧を輸入していながら毎年捨てられていくのだ。地球上の約半数の人々が、十分な栄養を摂ることができない一方で、私たち日本人は、不必要な食糧を大量に輸入して、「飽食」という愚かな行為を平気で行っているのだ。
知財戦略の一環で、日本の農水畜産についても、「ジャパンブランド計画」が進められようとしている。日本の農家が、農薬や化学肥料に頼った農業から脱皮して、確固たる安心・安全が保障された質の高い農業にシフトしたとき、消費者と生産者との信頼関係は初めて構築される。コストが価格に反映されても、消費者は健康への投資として受け入れることができる。WTOに対しても、世界の公衆衛生の観点から、健康を阻害する恐れのある食糧は輸入できないと、堂々と主張できる日本でなければならないのだ。
ポジティブリスト制度は大きな進歩ではあるが、中途半端ではなく徹底して有機農業や有機酪農にこだわることが、日本の農業や畜産業が生き抜く、最後の手段だ。例えば、都市の生ゴミを農村部の田畑に返してやると、その土は見事に生き返り、健康な農作物を生産する。都市と農村との好循環が実現したとき、所得補償政策が生きる自立した農業が実現できるのだ。もとより、日本の消費者はリスクの高い米国産牛肉を必要とはしない。日本の農業の将来展望と食糧自給率の増加は、米国や中国の圧力に屈しないゆるぎない食糧政策の柱を、日本政府が打ち立てることが出来るかどうかにかかっていると、私は思う。
BSE「プリオン調査会」に激震 4月4日
「食べるか食べないかは消費者の選択だ」と言ってのけた吉川座長を筆頭に、はじめに輸入ありきのムード満々だった調査会に、これでブレーキをかける委員が1人も居なくなった。あとは政府の思惑通り、米国の思うがままに、瞬く間に輸入再開が決定し、間違いなくいずれは牛の月齢などのハードルが下げられ、リスクの高い米国産牛肉が日本の市場に再び大量に出回ることになるだろう。
果敢に異論を唱えていた金子座長代理の辞任は、消費者にとって大きな痛手だ。金子氏は、「諮問そのものが妥当かどうか評価できる仕組みでなければ、調査会の本当の独立性は保たれない。そもそも議論そのものが、輸入再開に向けてのものだった。」と激白している。金子氏の「(6名の辞任について)審議の全てのステップを公正にやっていこうという人が辞められたかといえば、そうかもしれない。」との発言は非常に重く、私たち消費者にとっては、溜息が出るような展開だ。
動物衛生研究所プリオン病研究センター前センター長の品川森一氏は、当初から調査会の運営に疑問を持ち、一昨年の12月から会議に欠席していた。「政府に都合の良い結論を強引に決めようとしていたので出席しなかった。今後は根本的に審議のあり方を見直して欲しい。」とはっきりと辞任の弁を述べている。
BSE感染リスクの高い米国産牛肉の取り扱いに関する政府の対応は、誰の目からも明らかなように日本の消費者の立場というよりは、米国政府寄りのものだ。慎重派の委員が居なくなったことで、米国パッカーのモラルやシステムの向上や米国の飼料規制そのものの改善がなされぬまま、リスクを隠蔽し国民を騙すような形で再び輸入が再開される日がやって来る確率は、明らかに高くなったといえる。
承知していたことではあるが、金子氏や品川氏の辞任の弁に、あらためて食品安全委員会の有名無実化に憤りを感じる。結論が決まっているのだから、議論は議論ではない。血税を使って無意味な議論を繰り返し時間を浪費するだけなら、むしろそんな調査会などないほうがましだ。昨年12月、政府は、プリオン調査会の結論をたてに、輸入再開を決定したのだから。
極めて残念なことに、現代のマスメディアは、政府の情報操作の手先と成り下がっている。米国産牛肉に関しては、今後益々、政府即ち米国に都合の良い情報ばかりが、消費者に届けられるようになるだろう。情報の取捨選択能力を磨いていかない限り、私たちは権力の思う壺だ。更に、前原体制のようなアメポチ・アベポチ路線ではなく、果敢に体制派に挑み不正をただし国民のために正義を貫く頼り甲斐のある政党に民主党が生まれ変わって初めて、国民の安全は守られるのだ。民主党の鋭い切り込み以外に、国民の安心・安全を守る方法など存在しない。
注目を浴びる民主党の代表選びは、どんな政策でどういう政党を目指していくのか、肝腎要の議論がまったく国民に伝わっていない。候補者が我を張りすぎると、それぞれのグループによる、権力奪取を目的とした政治ゲームの印象しか与えない。結党以来最低の支持率をもたらした原因は、前原代表を中心とする一部の人々の暴走を許した結束力のなさではなかったか。新代表の座をめぐって、それぞれのグループが牽制し合っているのでは、まったく同じことの繰り返しになる。BSE問題は勿論、懸案のライブドア・防衛施設庁談合・耐震強度偽装の4点セットも含めて代表候補の政策と党運営方針を国民の前に堂々と示し、予め代表就任後の一致結束を確認し合い、その上で代表選挙をたたかうべきだと私は思う。
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