イレッサ訴訟和解勧告拒否で、外資にとって日本は人体実験パラダイスとなる

2011年1月7日、東京・大阪両地裁はイレッサ訴訟で和解を勧告性急な承認・投与には、リスクへの患者側の理解が不可欠だが、イレッサ原告団は医師から十分な説明を受けていなかった。製薬会社は一般に厚労省に早期承認の攻勢をかけるが、国にも賠償責任が生じる可能性がある以上、承認は公平・適切でなければならない。しかし現実はどうか。そこが日本の医薬品行政最大の問題点。

 

月24日、アストラゼネカはイレッサ訴訟和解勧告を拒否。国も同様の方針。国立がんセンター理事長は、副作用であって薬害でないとコメント。イレッサは世界に先駆けて日本で超スピード承認され、結果的に人体実験となった。不適切な情報提供をはじめ、この際、抗がん剤全般の有効性も含めた徹底検証が必要。イレッサ弁護団HPによると、イレッサは市販後も、日本人についての延命効果は証明されていない。

アストラゼネカは、治験等で致死的間質性肺炎の情報が蓄積され死亡例があったにもかかわらず、利潤追求のため安全性を軽視して、承認前後「副作用の少ない抗がん剤」とイレッサを大宣伝。一方厚労省は、腫瘍縮小効果のみに基づき延命効果は未解明のまま、イレッサをわずか5ケ月で超スピード承認。世界初。結果、市販後、半年で180人、2年半で557人、公表されているだけでも2010年9月までに819人が副作用である間質性肺炎で死亡。和解拒否なら、日本は外資にとって人体実験パラダイスになる。

イレッサ和解勧告拒否のアストラゼネカは昨年、医師にリベートを払い未承認の適用外処方を違法に促したとして、米政府に5億2千万ドル(420億円)の支払いを課せられている。アストラゼネカは薬剤リスク非開示で現在2万5千件もの民事訴訟を抱える。不都合な情報は開示しない傾向あり。日本でも医師等との癒着がないか検証が必要。イレッサの使用に関するガイドライン作成に関わった委員の中に、講演料などの名目でアストラゼネカから報酬を受取った医師がいるという。(NYTimes記事)(アストラゼネカ 2010年第3四半期・9ヶ月累計業績「ビジネスハイライト」参照

アストラゼネカ同様、子宮頸がん/HPV感染予防ワクチン「サーバリックス」のグラクソ・スミスクラインも昨年、抗うつ剤「パキシル」が利用者の子どもに先天性異常をもたらしたとして800件以上の訴訟を起こされ、10億ドル(約870億円)以上を支払い和解。その後もこの問題で係争中の訴訟は100件を超える。他にも米虚偽請求取締法に基づく訴訟の和解で、刑事上の罰金1億5千万ドル、民事和解金6億ドル、計7億5千万ドル(610億円)を支払っている。アストラゼネカもグラクソも多額の和解金支払いは日常。和解拒否なら、日本は外資にとって人体実験パラダイスになる。(グラクソ・スミスクライン 2010年第2四半期業績概要 第2四半期に15億7000万ポンドの訴訟関連費用を計上

 

グラクソ子宮頸がん/HPV感染予防ワクチン「サーバリックス」は、オーストラリアで初めて承認されて以降まだ4年を経過していない。薬理作用についてはinVitroとマウスでしか確認されていない。サーバリックスのインタビューフォームには「薬効を裏付ける試験成績~ヒトにおける成績」の項目に「該当資料なし」と明記されている。即ち、サーバリックスは、市販後、今まさに人体実験の最中であるという認識が必要。国は、サーバリックスの承認・奨励に責任を持てるのか。

 

1月27日、イレッサ訴訟で枝野・細川・江田3閣僚が和解勧告拒否の方針を最終確認。江田法相は「副作用があってもあえて新薬を承認することは皆の利益のため/(副作用を)説明して投与したとカルテに記載している医師も何人かおり、国に過失があるというのはつらい」と発言。超スピード承認による人体実験での「死」を副作用といえるのか。これでは菅総理の薬害エイズの実績も台無しになる。

 

厚労省は、日本の薬事行政の根幹を揺るがすことになるから和解できないと言うが、日本の薬事行政の根幹を改めるために、和解・検証・改革が必要なのだ。

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〈検証Ⅸ-3〉宮崎口蹄疫:安愚楽牧場は厳罰に処されるべきである

茶色字:県検証委報告書からの引用

@県検証委報告書が示す安愚楽牧場の違法性                                                                                                                                                  県検証委報告書は、7例目安愚楽児湯第7牧場について、「当該農場では4月8日以前に口蹄疫の症状が出て感染が拡がり、翌9日以降にまん延状態になったと推定することが妥当である。」と記した。安愚楽牧場の通報は4月24日であり、少なくとも半月以上も感染の疑いを隠蔽していた可能性が、あらめて極めて濃厚となった(家伝法第13条「通報義務」・第14条「隔離義務」違反)。何故当局は、安愚楽牧場に対して、速やかに強制立入調査(捜査)をしないのか。当局と安愚楽との関係を疑われても仕方がないのではないか。特に7例目児湯第7牧場の従業員(当時)に対しては直接聞き取り調査を行うべきなのに、当局はいまだにそれさえも行っていない。経営側の主張だけでは調査として不十分であることは明白である。

県検証委報告書は「最初の感染経路、初発の原因究明」の中で、次のように記した。                                                                                                                                                                                                国の疫学調査に対して、地元では、7例目の大規模な企業経営牧場が初発ではないかとの意見が圧倒的に多かった。地元農家等の間では、この農場に関してさまざまなことが噂されており、事実関係が明らかにならないと、今後安心して再開できないとの声も強かった。

この農場の管理獣医師は、関連する13の農場を一括して管理しており、7例目の農場には3月から4月にかけては全く行っていないと説明している。家畜の症状は従業員から電話で聞いて、投薬等の処方を指示していたとのことであった。

このように、この農場においては、さまざまな問題が露見しており、初発であったかどうかは断定できないとしても、この農場の社会的責任はきちんと問われるべきとの意見もあった。

安愚楽牧場の飼養衛生管理は極めて杜撰だった。異常畜で尋常ならざる状況になった4月上旬、本社から専務の増渕進氏が宮崎入りし総指揮をとった。牧場長ら従業員が胃腸薬や抗生物質を大量投与していたとされ、児湯地区13農場全体(1万5千頭)を一人で担当していた専属の森山良幸獣医師は、そのような状況にもかかわらず、3月から4月にかけては第7牧場を訪問していない。

また、初発農場についての【検証結果】として県検証委報告書は次のように記した。                                                                                                                         ・7例目の農場については、当該農場を経営する会社からの聞き取りによれば、4月22日に農場の獣医師が発熱、食欲不振、流涎、びらんを確認したものの、蹄に水疱が見当たらなかったために経過観察することとし、その旨を担当役員に報告。翌23日に症状を呈する牛が増加したことや、周辺農場に感染が拡大し始めたことから担当役員が本社と協議し、県に報告を行うこととしたが、夜遅かったため、翌朝連絡することとしていたとのことである。

そして翌24日に、家保から当該農場に対して、他の農場の関連農場として立入検査を行う旨の電話連絡があり、この電話の中で、初めて農場側から家保に異常の報告がなされた。この時の家保の立入検査では、全体の半分程度の牛房で流涎を確認し、検体を採取している。

家保による立入検査、あるいは殺処分の際には、農場側から上記以外の内容の申し出はなかったが、その後の調査で、4月8日の時点で食欲不振を示した牛が確認されたこと、4月9日から17日まで多数の牛に食欲改善薬を投与していること、さらに、4月17日に農場全体に熱、鼻水等の風邪の症状を示す牛が出たため、4月18日から20日にかけて全頭に抗生物質を投与したことが明らかになった。こうした状況から、国の疫学調査は4月8日を発症日と推定している。

・しかし、4月8日の症状を口蹄疫の症状とするならば、翌9日に同一棟の数十頭の牛に食欲不振改善薬を一斉投与していること、その後数日のうちに同一の症状を呈する牛が爆発的に拡大していたこと、そして、今回の口蹄疫は発生初期においては伝染力が弱かったとされていることを併せて考えれば、作業日誌や診療記録上からは明らかになっておらず、また、従業員からの証言も得られていないものの(はた注:ジャーナリスト横田一氏、下記裁判の被告側は証言を得ている)、当該農場では4月8日以前に口蹄疫の症状が出て感染が拡がり、翌9日以降にまん延状態になったと推定することが妥当である。

・また、3月下旬に風邪、食欲不振等の症状を呈する牛がいたことは作業日誌等から明らかになっており、これらの症状が口蹄疫であったとの確証はないものの、当該農場の獣医師が一人で他の関連農場も任されていたために、管理が行き届いていなかったのではないかということも考えあわせれば、国の疫学調査が発症日として推定した4月8日より前に、当該農場で口蹄疫が発生していたと推定することが妥当である。

@安愚楽牧場への強制立入調査(捜査)は急務である                                                                                                                   以上のように、これまで裁判記録(原告:安愚楽牧場 被告:旬刊宮崎)やジャーナリスト横田一氏の取材記事等(記事1 記事2-1 記事2-2)で既に明らかになっていた内容の一部が、県検証委員会報告書でも確認された。6例目水牛農家に安易に初発冤罪を着せた国疫学調査チームは、この県検証委報告をどのように受け止めるのか。特にチーム長の津田知幸動衛研企画管理部長は、2010年12月8日衆議院農水委員会参考人質疑でも安愚楽寄りともとれる発言に終始していた。安愚楽児湯第7牧場の従業員には直接聞き取りせず、また、水牛農家・1例目・7例目(安愚楽)の全検体の抗体値等を公表しないままでは、疫学調査の公正性を疑われても仕方がない。現在の疫学調査チームは解体し、新たなチームを再編し、真実解明のために、何よりもまず安愚楽牧場を強制立入調査することが必要である。

@安愚楽牧場は獣医師法違反で処罰されるべきである                                                                                                                              県検証委報告書は「検証で明らかになった7例目の農場等における獣医師の診療の状況は、家畜伝染病予防法のみではなく、獣医師法に照らしても問題がある疑いがある。国及び県としては、事実関係をさらに調査するとともに、各種法律の規定及び趣旨に反する部分があれば、早急に改善するよう強く指導する責務がある。」と記したが、「改善指導」ではなく、獣医師でない者による投薬については獣医師法第18条違反により当然処罰すべきである。また、当局は、獣医師法第21条に基づく安愚楽児湯第7牧場の診療簿(治療報告書)の提出を求めこれを公開すべきである。

@安愚楽牧場は家伝法違反および補助金適正化法違反で厳罰に処されるべきである                                                                                        今回の口蹄疫における安愚楽牧場への手当金等は、100億円超にものぼる。もちろんその原資は国民の税金である。安愚楽牧場への手当金等の交付は、家伝法に基づき当然停止・返還請求すべきである(家伝法第58条「手当金」)。即刻、強制調査(捜査)し、犯罪事実が確定すれば補助金適正化法に基づき刑事罰に処すべきである(五年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金、又はこれを併科)。もし仮に、安愚楽牧場に対して県が「指導」という無意味なパフォーマンスに留めるのであれば、県と安愚楽とは完全に癒着しているということになるのではないか。

なお安愚楽牧場については7例目安愚楽児湯第7牧場以外の県内直営農場についても、感染隠蔽が疑われる数々の地元情報があることも申し添える。  

検証Ⅸ-1                                                                                                                                                            検証Ⅸ-2

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〈検証Ⅸ-2〉宮崎口蹄疫:宮崎県当局の違法行為が口蹄疫感染拡大の最大要因

茶色字:県検証委報告書からの引用 青色字:ブログからの引用

@宮崎県の家伝法違反(13条・14条)は明白                                                                                                                                                      水牛農家での対応と同様に家畜保健衛生所の家畜防疫員(公務員獣医師)の通報の遅れが疑われるのが1例目である。国検証委報告書には「出来れば口蹄疫であってほしくないという心情が強く働いた」と明記され、2010年12月8日の衆院農水委員会参考人質疑では、国検証委座長・山根義久日本獣医師会会長が、4/7に異常に気付き4/9に民間獣医師が口蹄疫を疑って家保に通報したのに「何ゆえそれが20日まで延びたのか」被害拡大を懸念して(市場閉鎖・移動禁止)「それで躊躇したということはヒアリングの中で述べていた」と、家保の通報の遅れを厳しく指摘した。

1例目の経緯は次の通りである。                                                                                                                                                                                      民間獣医師は4月9日、口蹄疫の可能性が否定できないと判断し家保に通報した。しかし家保は口蹄疫の検査は行わず、経過観察とした。1週間後の4月16日、獣医師が流涎等を確認し再び家保に通報。翌4月17日、口蹄疫以外の検査を行うために家保が検体採取。最初の通報から10日後の4月19日、口蹄疫検査のために検体を採取し動衛研へ送付した。

この1例目農家と水牛農家とは同じ都農町で350mしか離れていない。3/31・4/14に水牛農家を訪問した家保と4/9・4/16・4/17・4/19に1例目農家を訪問した家保とは同一(宮崎家畜保健衛生所)である(家保の記録を見れば誰が訪問したかも明らか)。同時期に民間獣医師が口蹄疫の可能性を疑って通報しているのだから、家保が為すべきは防疫指針及び家伝法に基づき、口蹄疫に感染しているのかいないのかを検査することである(検体を動衛研に送付すること)。このとき家保(家畜防疫員)が口蹄疫を全く想起しなかったということは絶対に考えられないし、あり得ない。1月22日に隣国での口蹄疫発生を受け、県庁で防疫会議を開いているではないか。

国検証委座長・山根義久日本獣医師会会長が厳しく指摘したように、6例目水牛農家だけでなく1例目においても家畜防疫員の通報の遅れは明白であり、宮崎家畜保健衛生所は水牛農家と1例目農家とにまたがって、口蹄疫感染の疑いを隠蔽(操作)しようとしたのだ。3/31の水牛農家への家保立入調査から4/19に1例目農家の検体を動衛研に送付するまでに20日を要しており、この長期にわたる県の隠蔽こそが今回の口蹄疫感染拡大の最大の要因であることは明らかである。このように極めて重大な犯罪的行為(防疫指針完全無視および家畜伝染病予防法第13条「通報義務」・14条「隔離義務」違反)に至った県の責任は、当然問われなければならない。前述の家保(宮崎家畜保健衛生所)副所長の岩崎充祐氏は、その間4/1付で県の家畜防疫対策監に異動、それまで家畜防疫対策監だった児玉州男氏は畜産課長に異動したが、いずれも責任は重大である。

国疫学調査県検証委報告書も、繰返し、水牛農家と1例目農家について、口蹄疫を疑う症状ではなく意図的な見落としではないと家畜防疫員を擁護する趣旨の記述をしているが、1/7付で口蹄疫注意喚起の農水省通知が発出されたのを受け開催された1/22県家畜防疫会議の議論を踏まえた家畜防疫員が、防疫指針を完全無視し任務である口蹄疫であるか否かの検査(検体送付)を怠るなど言語道断である。当該家畜防疫員が家伝法違反を問われず、また安愚楽牧場も同法違反に問われないのであれば、宮崎県における家畜防疫員は何の為に、誰の為に存在するのか。

@県は防疫体制において最も重要な家伝法13条・14条を繰返し違反している                                                                                                         県の隠蔽体質を顕著に示す、もう一つの事例を紹介する。

終息に向かいつつあった6月25日、新富町のワクチン接種農家(牛500頭)の殺処分の際、口蹄疫が疑われる症状の牛1頭を発見しながら、県は検査や国への通報をしないまま作業を続行した。現場で作業していた獣医師のうち約10人が牛の周囲に集まり、「教科書で見たような典型的な症状だ」として「血液を採って、検査すべき」と相次いで主張したにもかかわらず、現場の家保・家畜防疫員は「疑わしい牛がいたが、殺処分は続ける」と命じた。

この事実は7月1日に非常事態宣言を一部解除した後の7月14日発覚(報道)した。翌15日、複数の獣医師らの所見を聞き入れなかった家畜防疫員の判断について、県の児玉州男畜産課長(前家畜防疫対策監。4/1付異動)は、「県知事から委嘱を受けた家畜防疫員の現場での権限は大きい。その判断は絶対だ」と述べた。また県畜産課は「報告を受けたのは処分4日後の6月29日。検査や国への報告をしないで殺処分したのは、現場の責任者である家畜防疫員の判断だった」と読売新聞の取材に答えた。

ところが、この家畜防疫員は、処分前に「(県の現地対策)本部に確認する」として携帯電話で判断を仰いでいたことが、農水省による現場に居合わせた獣医師への聞き取り調査で判明した。約20分間にわたり携帯電話で話し、電話を切った後「疑わしい症状の牛がいたが、上の指示で殺処分を続ける」と話したということだ。(読売記事 2010/7/15①  2010/7/15② )この事例については、国検証委報告書も指摘した。

3/31・4/9から4/19・4/22までの約3週間、感染の疑いを隠蔽した時と同様、県による「隠蔽」と「嘘」であり、明白な家伝法違反である。県という立場にありながら、当局には法律を守るという意識が全くないのである。

@東国原知事の嘘                                                                                                                                      以上のような県当局の嘘に加えて、東国原知事本人も真っ赤な嘘をついている。

報告書でも再三指摘されているが、そもそも宮崎県は2010年1月7日付の「韓国における口蹄疫の発生について」という農水省動物衛生課長通知に対して、まともに対応していない。1/7付通知を受けての県の対応は以下の県検証委報告書記述の通りである。

(県内各地域の状況)                                                                                                                                                  1月22日に県内の市町村家畜防疫担当者、農業関係団体の担当者等を集め、「家畜防疫会議」を開催した。中略。「家畜防疫会議」での情報が各農家に十分に伝達されたケースは少なく、大半の農家は韓国で口蹄疫が発生していた事実は知っていたものの、これが身近に起りうるものとして、危機感・緊迫感を持っていた状況では無かった。

(検証結果)                                                                                                                                                      市町村及びJA等に調査を行った結果、当会議(はた註:1/22家畜防疫会議)において、各農家への指導徹底について一定の要請があったことは事実であるが、参加者・機関の口蹄疫に関する危機意識を高めるまでには至っておらず、また、各農家への指導の徹底を強力に呼びかけるものではなかった。さらに、会議後に各農家に伝達されたかについての調査等も行われていなかった。

家畜防疫会議での情報が各農家に伝わっていなかったことを示す文章は、県検証委報告書の随所に出てくる。農家への情報伝達の不徹底は、明らかに感染拡大を招いた大きな要因である。しかし、東国原知事はこの点について、ブログで過去に完全虚偽の発言をしている。以下その事実を示す。

2010年6月22日付 東国原英夫オフィシャルブログ                                                                                                                                                                  政治家(公人)の発言・発信の影響は小さく無いと思う。県民や国民の皆様に間違った認識が敷衍されると困るので、例えばここで、はたともこ氏のブログ発言に対して少しだけ僕の所感を述べさせて頂いておこう。「1月7日付の『韓国における口蹄疫の発生について』との農水省動物衛生課長通知を受けて、一部の県ではHP上でも地元農家に対して注意喚起を行っていますが、宮崎県ではHP上で情報提供・注意喚起を行った形跡がありません。1月7日の農水省通知が宮崎県でも徹底されていたら、感染の拡大を防ぐことが出来たのではないかと今更ながらに強く思います」という指摘。

→本県では、確かにHP上での記載はしていないが、市町村や農業団体を通じて、FAXや電話等で農家一軒一軒に注意喚起を徹底している(農家はパソコン等をお持ちでない方が多く、電話やFAXの方が有効である場合が多い。また、HPに載せただけでお終いでいいのか?)。本県では、加えて、1月22日には、広く防疫会議も開いている。

2010年6月12日付はたともこブログ                                                                                                                                                                                                        1月7日付の「韓国における口蹄疫の発生について」との農水省動物衛生課長通知を受けて、一部の県ではホームページ上でも地元農家に対して注意喚起を行っていますが、宮崎県ではホームページで情報提供・注意喚起を行った形跡はありません。1月7日の農水省通知が宮崎県でも徹底されていたなら、感染の拡大を防ぐことが出来たのではないかと今更ながらに強く思います。

東国原氏は、報告書が指摘するように殆どの農家に情報が伝達されていない状況であったにもかかわらず、「市町村や農業団体を通じて農家一軒一軒に注意喚起を徹底している」とわざわざ私のブログに反論したのである。全くの嘘八百である。宮崎県は、宮崎家畜保健衛生所といい畜産課といい東国原知事といい、嘘ばかりついているのである。このようないい加減な県の対応・体制・体質が、今回の大惨事の最大の要因となったことは間違いない。

@県の家伝法・防疫指針違反は山積                                                                                                                                                                 県検証委報告書は「4章(6)-②現地対策本部は十分に機能したか」の検証結果に、次のように記した。                                                                                                                                     発生現場で作業に従事した者がエリア外に出る場合の消毒の不徹底、現地対策本部内での作業従事後の者(未消毒)とそうでない者との接触など、防疫上の問題があったことが指摘されている。                                                                                                                                   これは家伝法28条違反行為である。県検証委報告で目を引いたのは、感染拡大期には「特に、風(飛沫)によって大量のウイルスが運ばれたことによるものが多かったのではないかと推測される」の一文であるが、対策にあたっていた県職員の家伝法28条(病原体に触れた者の消毒の義務)違反を逃れるための言い訳ではないのか。

県検証委報告書は「第4章(7)-⑤他県との関係で問題はなかったか」で次のように記した。                                                                                                                                                                                          (周辺各県は)感染拡大についても宮崎県からの情報提供は少なく、各県とも国の発表やHP等を通じて情報を入手する状況であった。                                                                                                                   これも明らかな家伝法違反である。(第13条の4:都道府県知事は、遅滞なく、関係都道府県知事に通報)

@東国原知事の傲岸不遜な態度                                                                                                                                                         東国原知事は2011年1月14日、地元農家らで構成する口蹄疫被害者協議会に所属する農家約20人と意見交換し、被害拡大の原因や初動態勢の遅れに対する県の責任について、「怠慢、過失があったとは認識していない」と回答、農家から県の初動対応を厳しく追及されると、「マニュアルに書いてないんだよ、そんなん」と声を荒げる場面もあり、憮然とした表情でその場を後にしたという。県民の幸福を預かる県知事の言葉とはとても思えない、品性を欠く発言である。(西日本新聞記事  読売記事

@東国原知事は補助金適正化法の処罰対象となり得る                                                                                                                                                                     以上のように、県は、防疫指針を完全無視し家伝法(13条・14条ほか)に明らかに違反したと認められる。家伝法違反のものが交付金等を受取ることは家伝法違反(第58条)・補助金適正化法違反であり、手当金等の返還はもちろんのこと、補助金適正化法により刑事罰に処される(知事、その他の職員。五年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金、又はこれを併科)。知事を退任したからといって東国原氏がその責任追及を免れるものではない。東国原氏が責任を負うことは、当時の知事としての義務である。

検証Ⅸ-1                                                                                                                                                                                                   検証Ⅸ-3

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〈検証Ⅸ-1〉宮崎口蹄疫:6例目・水牛農家「初発」は冤罪である

茶色字:県検証委報告書からの引用 青色字:ブログからの引用

@はじめに                                                                                                                                                                   宮崎県口蹄疫対策検証委員会は最終報告をまとめ、2011年1月14日、東国原知事へ答申した。県職員も議論に参画し、そもそも知事が設置した委員会の答申であるから、県の法的責任に言及することもなく、知事の責任に至っては「問題が多すぎ、一人ではどうしようもないレベル」として一切追及していない。即ち、未曾有の大災害となった2010宮崎口蹄疫に対する責任について、県は完全回避を貫く姿勢なのである。

しかし県検証委員会は、関係農家約1,300名、県内獣医師約360名に対してアンケート調査を実施しており、その結果得た地元の生の声を報告書に掲載した。その中には県の不手際・体制の不備を指摘するものも多数寄せられている。合わせて、宮崎県児湯地区に直営だけでも13農場を有する安愚楽牧場の感染隠蔽疑いについても幾つかの意見を掲載した。特に、7例目の安愚楽児湯第7牧場で獣医師の資格のない者が投薬を行っていたことを明らかにし、これは獣医師法に抵触すると指摘した。しかし違法性への追及は「改善、指導する」の表現にとどまった。

アンケート結果等からも、明らかに6例目水牛農家よりも7例目安愚楽児湯第7牧場のほうがより強く初発の疑いが濃い。それにもかかわらず、依然として6例目水牛農家の初発の疑いを7例目安愚楽児湯第7牧場と同列に扱っている。県の責任と同じく安愚楽牧場の責任追及についても、県検証委員会は基本的には回避の姿勢なのである。国疫学調査チーム同様県検証委員会も、6例目水牛農家を初発からははずすことができないのだ。何故か。

@水牛農家が初発とされた経緯                                                                                                                            国疫学調査チームによる6例目水牛農家の発生経緯は次の通りである。

3月26日                                                                                                                                         水牛2頭に発熱、乳量低下がみられたことから獣医師が診療。その後数日間で同一の症状を呈する水牛が増加。                                                                                                         3月30日                                                                                                                    異常が9頭で認められたため、獣医師が家保に通報。                                                                                                                     3月31日                                                                                                                                                               家保が立入検査。症状は発熱、乳量低下、下痢等であり、この時点では口蹄疫を疑うべき症状とは考えず、3頭の血液、鼻腔スワブ、ふん便を採取し、ウイルス・細菌・寄生虫検査を実施。                                                                                                                                     4月 5日                                                                                                                                                    家保が獣医師から「ほとんどの水牛が解熱したが、一部の水牛の乳房に痂皮が見られ、アレルギーを疑っている」と聴取。                                                                                                                                                               4月14日                                                                                                                                                家保が再度立入調査し、4月31日に採取した3頭のうち1頭から再び採取。回復した水牛もいたが、乳質の低下、一部で脱毛が見られた。                                                                                                                                                                                    4月21日                                                                                                                                                             4/20に発生が確認された1例目の農場との関連農場であることから、宮崎県疫学調査班が立入調査。全頭が回復し症状が見られなかったが、当該農場主が1例目の農場主に初期の症状を確認したところ、自分の水牛の症状と似ていると考え、「4月1日に上唇に大豆大の潰瘍、他の1頭にマッチ棒大からゴマ粒大の白っぽい丘疹が乳房に散在していた」旨を家保に報告したとのこと。                                                                                                                                                                     4月22日                                                                                                                                                  家保が立入検査したところ、臨床的な異常は見られなかったが、検体を採取し、3月31日に採取した検体と合わせて動物衛生研究所に送付。その結果、3月31日に採取した鼻腔スワブ3検体中1検体でPCR陽性、4月22日に採取した血液で5検体中5検体が抗体陽性。

@疫学調査チームは「水牛農家初発」とするために、意図的事実誤認をしたのではないか                                                                                                        上記経緯を踏まえ、国疫学調査チームは6例目水牛農家の推定発症日3月26日とし「初発」としたが、いくつかの疑問点が浮かび上がる。

まず、3月31日の検体について、「PCR陽性」としているのは何故か。水牛農家は自身のHP上で、「3月31日の検体には抗体はできてなかったとのことです」と述べている。3/31の検体に抗体が検出されなかった理由について、疫学調査チームは説明しなければならない。「鼻腔スワブPCR陽性」のみで、疫学調査チームは「水牛農家の推定発症日が一番早い」と断定し「初発」としたが、6例目・1例目・7例目の全検体について、抗体値等を同時に公表しなければ疫学調査の公正性は担保されない。抗体値を農場主にも知らせないというのもおかしい。疫学調査チームは、少なくとも6例目・1例目・7例目については採取した全検体の抗体値等の詳細データを公表し、他の科学者らも判断できる資料を提示すべきである。

水牛農家は自身のHPで3/31の症状について、「【足に異常(初めて発見)・餌を食べず乳が絞れない】です。【よだれ・口内炎・乳房の皮膚に一部剥離があった】こんなことはありませんでした。だって家畜保健所の3名の職員さん!貴方達、全頭柵に入れて一緒にチェックしたじゃないですか!」と述べている。4月21日の『「4月1日に上唇に大豆大の潰瘍、他の1頭にマッチ棒大からゴマ粒大の白っぽい丘疹が乳房に散在していた」旨を家保に報告したとのこと。』との記述は捏造調書による事実誤認ではないのか。

水牛農家は自身のHPで、「県がなぜ検体を東京へ送らなかったか?3月31日と4月14日に私は家畜保健所から【東京へ送る】と言われています、これは従業員がつけていた日記に記されています」と述べている。「東京へ送る」という言葉は、口蹄疫を疑わなければ絶対に出てこない表現ではないか。このとき家保および県当局の人々に、国の検証委員会が通報の遅れの理由として指摘した「できれば口蹄疫であってほしくないとの心情が働いた」としか考えられず、このことは明らかに県の家畜伝染病予防法違反・防疫指針違反である。水牛農家の従業員がつけていた日記が証拠となる。なお、家伝法違反のものが交付金等を受取ることは補助金適正化法違反であり、厳罰に処される。当然、当時の東国原知事も罰則の対象となり得る。  

一方、家保の言葉通り3/31・4/14に本当に検体を送っていたとするならば、その結果は陰性だったということになる。3/31・4/14に何故家保は「検体を東京へ送る」と言ったのか、そして検体は東京に送られたのか送られなかったのか、ここをまず明らかにすることが重要である。

県検証委報告書は、国の検証委員会が指摘した県家畜改良事業団の通報の遅れについて、事業団の言い分通りあらためて「通常の発熱だった」と強調した。しかし、周辺地域に口蹄疫が蔓延し危機管理は最高レベルであったはずの状況で「口蹄疫を疑わなかった」という判断は常識的にはあり得ない。県検証委員会は、県家畜改良事業団の言い分は素直に聞くが、水牛農家の言い分は取合わないのか。県検証委員会の姿勢が問われるところである。(→水牛農家の日記一覧

@水牛農家初発は冤罪である                                                                                                             県検証委報告書は「最初の感染経路、初発の原因究明」の中で、次のように記した。

国の疫学調査に対して、地元では、7例目の大規模な企業経営牧場が初発ではないかとの意見が圧倒的に多かった。地元農家等の間では、この農場に関してさまざまなことが噂されており、事実関係が明らかにならないと、今後安心して再開できないとの声も強かった。

このような地元の意見に後押しされて、県検証委は、かろうじて6例目水牛農家を初発とは決めつけられないとしたが、水牛農家が初発でないことを積極的に証明しようとはしていない。県検証委は安愚楽牧場について経営側にヒアリングしたのみで、現場従業員には直接あたってはいない。会社の一方的な主張をただ聞くだけで国疫学調査チームと同じことを繰返したにすぎない。少なくとも、県内安案愚楽牧場の2~4月の診療簿(治療報告書)を提出させるべきである。

県検証委報告書は「(初発とされた6例目農場について)当該農場が見学者等を受け付けていたが、訪問者に関する記録は取られていなかったため、外部からの人の移動について、これ以上、検証することは困難であり、こうした人の移動によってウイルスが侵入した可能性は否定できない」としているのみであり、結局、発生原因、侵入経路については、まったく特定できていない状況である。」と記した。

県検証委報告書は、また、安愚楽児湯第7牧場は「少なくとも4月8日以前に口蹄疫の症状が出て感染が拡がり、翌9日以降にまん延状態になったと推定することが妥当である」と記した。725頭を飼養していたこの農場で検体を採取したのは5頭のみで、この農場が水牛42頭・豚2頭(豚は感染せず)の水牛農家よりも早くから感染していた可能性は高い。水牛農家を初発とした国疫学調査チームのチーム長・津田知幸動衛研企画管理部長は、「6例目水牛農家は初発ではなく、最も早い時期に検体を採取したにすぎない」と公式に言い改めるべきである。そうでなければ、水牛農家の青年の人生を踏みにじってまで、何が何でも水牛農家を初発にしなければならない理由が、他にあるということになる。

検証Ⅸ-2                                                                                                                                 検証Ⅸ-3

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