2004年10月に日本のインデックス社が買収したグルノーブル・フット38 というチームは、2部への降格と同時に債務超過に陥った様です。
本来ならばこういった事態が迫る前に、選手を売却する等して支出の圧縮や資金調達に奔走するのですがね。
祖母井 秀隆がGMを務めていた時代から、クラブで契約に関する問題が噴出していた様です。
確かフランスでは、1年間は2部降格後も1部と同様のリーグ分配金を得られたと記憶しています。
2部リーグであるリーグ ドゥに降格した2009-2010シーズンのオフの補強対応を間違えたのでしょう。
2010-2011シーズンの結果は20位と、2部リーグでは最下位。
マネジメントの失敗が、こういった事態を招きました。
4部からの出発となり、選手の保有権を失った様です。
結果的に、松井 大輔はフリートランスファーで昇格組のディジョンFCOへの入団が決定しました。
2009-2010シーズンのオフは、代理人が浦和と交渉に動いたりした記事も出ていました。
Jリーグのクラブは、どこのクラブであってもレンタル移籍金は払えたとしても……。
完全移籍には、動かなかったでしょう。
Jリーグの各クラブが移籍金を支払えない事を、分かって動いていたとしたら……。
代理人達も、グルノーブルの経営危機に非協力的ならず反乱の狼煙を上げていたと考えても良いでしょう。
当時の松井ならば、最低でも100万ユーロ(2010年7月当時なら1億1300万円相当)の違約金(移籍金)は見込めました。
上手くすれば、その3倍の300万ユーロ(3億3900万円相当)の違約金が発生した筈です。
こういった選手の放出や補強は、GMやSD(スポーツディレクター)といった職を用意してマネジメントしてもらいます。
グルノーブルは、GMやSDに有能な人材を置かなかった事が失敗を招いたのだと考えられます。
祖母井も、日本での実績は兎も角として……。
フランスでは、完全に壁にぶち当たったのでしょう。
日本人にこだわらず、有能な人材を探す努力が必要だったと思われます。
今回の4部降格の事態は、親会社の経営難を言い訳に出来ません。
残留が最初から厳しいと予想されるシーズンの戦い方は、いくらでも方法があります。
一例を挙げれば、経験を必要としている様な状態にある若手と長期契約を結びます。
そういった若手選手達を中心とした、チームづくりに定評のある監督を迎え入れます。
そして若手を引っ張るリーダーシップに長けた選手を、重要なポジションに据えます。
チーム力を引き上げる為に、出来るだけ安い選手でも競争力を備えた選手を各ポジションに控えさせます。
仮に期待した選手がこけた場合でも、代わりの選手がプレー出来る様にすれば良いのです。
選手を育てるシーズンと位置付ける事で、シーズン目標を設定出来ます。
残留する事に囚われず、選手を育てて売る事を前提にシーズンを送るのです。
選手への評価が十分なオファーがクラブに届いた場合にのみ、選手を移籍させます。
こうする事で、選手が引っこ抜かれても代わりの選手を探す資金を手元に残す事が出来るのです。
逆説的に言えば、引き抜かれる様なプレーヤーをピッチに立たせなければなりません。
しかも長期契約を結ぶとなると、それ相応の経営努力も求められます。
つまりは1部でも2部でも、安定した収入源が必要になるのです。
それは、ファンがスタジアムに訪れるチケット収入。
また若い選手が巣立っていくクラブとして、ブランドを確立出来れば……。
他のチームで活躍する様になった選手にスポットが当たる度に、クラブの露出機会も増えるでしょう。
継続して、有望な若手を排出するサイクルを築き上げる事がカギになるのです。
グルノーブルはこういった取り組みを、2009-2010シーズンのリーグ アン在籍時から進めていれば2部で20位に迄は落ちぶれなかったでしょう。
また選手の放出が上手く行けば、債務超過に陥らずに済んだかもしれません。
サッカー関係者は、基本的に自己の利益しか考えない傾向にあります。
そういったバランス感覚に欠ける人々が、サッカー界全体に不利益をもたらすのです。
ある組織のために尽くそうと思ったら、社会全体の事を考えられない様では徒労に終わるからです。
何故ならば、過度な競争の激化は弱い立場の人間を簡単に水際に追いやります。
それが今回は、フランスのフットボールクラブであった事は明白な事実なのです。
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