見てきました。
※ネタバレ注意
※ネタバレ注意
※ネタバレ注意
よくある「被迫害者の超能力者たちが蜂起して支配者を打ち倒す」系のB級映画かと思っていましたが、冒頭から抉るようにその予想をぶち壊してきました。
最初のサーカスシーンは、「ナイトメアアリー」で見たような見せ物小屋寄りな小さくて質素なものだったけど、なんとなく演者と団長(?)のイスラエルの信頼感というか仲間感を感じられる部分がありました。ていうかテルミン上手すぎだし、場面に合わせて生演奏良かったわぁ。絶対楽しいよあれ。
からの、「戦争」というものがもつ「無差別性」「破壊性」をまざまざと見せつけられるシーンへの急展開には驚かされました。轟音と地響きと崩壊していく建物と逃げ惑う人々。
ここからしばらく、というか最後まで暗くてダーク名雰囲気が続きます。
旅芸人4人のとこはすこし笑えるとこもあったけどね。笑い要素に関してはマリオが色んな意味で持っていきましたわ。
肝心の異能力描写ですが、昨今のヒーロー映画に慣れている身としては「もっとあっただろう」と思ってしまいましたが、個人的にはチェンチオの蜂コンサートでチャラにしました。役者さんの表情といい、ナチ軍側の地獄絵図といい「そうそうこういうのだよ」感が好きでしたわ。
マリオの活躍も目立ちはしなかったものの、やっぱ磁力操る力が弱いわけないのよな(磁界王並感)
パワーキャラの宿命なのか、怪力持ちのフルヴィオは多毛症(時代背景的に言及されていませんが)の大男という、わかりやすく異形の見た目。ハルクやザ・シングとは違った形でインパクトのある見た目でしたね。
しかしただの脳筋ではなく、過去の出来事から本をよく読む描写があったのも印象的。
4人の中でもメインとなる放電少女のマティルデ。この女優さんもよかったなぁ。エスラエルを看取るとこで、つられて涙してしまいました。
そして強すぎる力は、本人のメンタルに問題を抱えさせることでメタ的に制御するわけですが、能力が故に触れられない、能力によって大切な人を失ってしまう、という悲劇を一手に引き受けていました。
最後のハグで心温まる。ジェネリックGotGって言われてたのわかる。
敵側のナチスにも実は異形の人物がいて、ベルリンサーカスの六本指ピアニストのフランツが今作でのメインヴィランに相当。
彼自身も異形として生まれ、望む環境に行けず、父や兄に認められたい気持ちで行動していますが、絵に描いたように非道でした。
でもこの「認められたい」部分が妙に子供じみてて、ちょっと同情してしまいそうになる。最後のマティルデ迎えに来るとこなんか完全に子供たったもんね。
このフランツ、六本指なだけじゃなくて薬でトリップすることで未来視ができるようで、そのヴィジョンを描き残した中には、プレステのコントローラーやハンドスピナーやスマートフォンなんかがチラホラ。
特にあのトリップシーンは「トリップしたときのをそのまんま表現しましました」感がすごかった。高熱出したときに見る夢とかアリス症候群ぽい夢とか、そういうのに近いような、唐突で脈絡なく情報が押し寄せて感情がぐちゃぐちゃになる感じがすごかったです。
劇中で、そのフランツと恋人のイリーナが交わした
「これでこの戦争の勝者になれるぞ」
「戦争には敗者しかいないわ」
という会話や、姿を消したイスラエルについて
「彼は悪人なんかじゃないわ。私達の父親代わりなのよ」
「父親なら善人なのか」
「戦争は善人を悪人に変える」
といったセリフは核心をついているなぁと。
結構長尺で陰鬱なシーンが多かったけど、個人的には結構楽しかったです。