Kanaheiのデンマーク生活

糖尿病の勉強をしたくてきたデンマークでの紆余曲折な生活を日記として残しています。

かかりつけ医は貞子

2011年07月14日 | デンマーク暮らしの知識
 看護師になって何がいいかって、食いっぱぐれない(いや、今の「ナース首切り天国」なデンマークだったらかなり食いっぱぐれるんだけど)とか、平日に休みでのんびり買い物できる(逆に言えば週末勤務があるってことなんだけど…)とか、色々ありますが、でもやっぱり私が思うに一番すばらしいと思うのは、もし自分や家族とか大切な人になにかあった時に、少しは何かできることがある、ということです。
 もちろん、ドクターのように色々できるわけじゃないけど、それでも「これはなにかおかしいぞ」という時とかは、しかるべき時にしかるべき判断で対処ができる、というのは人生というサバイバルの中ではとても重要なことだと思います。

 普段滅多に病気などしない私ではありますが、最近、足のむくみがかなりひどかったり(もともと浮腫みやすい体質なんだけど)、低血圧でふらふらしたり、右手の親指付け根に謎の痛みと骨?のようなものが出現したりと、なんかおかしかったので、かかりつけ医にいってみました。

 そしたらもっと面倒くさいことになりましたよ。

 デンマークでは引っ越したら、その住民登録をしたコムーネでかかりつけ医を決めるのですが、Taastrupに引っ越して決めた、今のかかりつけ医は女医。やっぱり男性よりも女性の方がいいと思って、それだけで決めました。

 初めて彼女の診療所を訪れて彼女と対面したとき、まずビジュアル的に私の中の「怪しげセンサー」が作動。これはもう同業者としてというより、一市民として「この人怪しい」と…。
 白衣の代わりなのでしょうか、まっ白のフリフリブラウスに、これまたまっ白のフリフリのスカート。さらにはまっ白のストッキングという出で立ちの彼女。年の頃は50代後半~60代でしょうか、年の割に黒々した髪は腰の辺りまで伸び、白のフリフリ&伸び放題の長髪で、そこはかとなく「貞子」なのです。
 
 時が止まったようなスーパー70年代なインテリアの診察室で、とりあえず私の症状などを説明すると、貞子、「じゃあ血圧を測ってみましょう」と。「いや、あのでも今自転車こいで来たばっかりなのであまり正確ではないと思うんですけど…」と伝えつつ、内心は「絶対ホワイトコートシンドローム(患者が医療者の白衣で緊張して血圧が一時的にちょっと高くなっちゃうこと)でおかしくなる…」と思ったんですが、こちらの言うことも無視で血圧測定、そして「ちょっと低めだけど大丈夫、普通よ」って。やっぱり…。「自転車」&「貞子で緊張」で、低血圧なんて出ませんよ。

 結局、「血液検査をしてみて、念のため他に原因がないか調べましょう」となり、その日の診察は終了。血液検査の結果は後日連絡します、とのことだったので、採決後しばらく待ちましたが、連絡なし。そのままなんだかんだで2週間経過し、親指付け根の痛みもあるし(一応「サポーター付けても痛いんです」と貞子には伝えましたが、「うーん、でもサポーターで様子みて」とまったく使えない返答だった)、もう一度受診してみることに。

 2度目の受診の時も、やっぱり貞子。今回はまたしてもフリフリのまっ白ブラウスに、まっ白ワイドパンツです。いっそのこと白衣を着てくれた方がよっぽど安心なんですけど…。

 で、2度目の診察。浮腫はだいぶいいんですけど、それでもたまに浮腫むと伝えると、「そうねえ、血液検査の結果はまるで正常だけど、たまに浮腫むようだったら頓服で利尿剤(降圧剤でもある)を処方しましょう」って、いや、私低血圧なんですけど?!それでも貞子は「でもこの前血圧は正常だったし」って、有無を言わさず利尿剤を処方してくれました。この簡単処方が恐ろしい。老人だったら低カリウム&ナトリウムとかで脱水起こしちゃいますよ。

 で、親指付け根の痛みと骨?の突出に関しては、またしても「痛み?じゃあ痛み止め飲んでサポーターして様子をみて」と、また使えないこと言うので、「仕事でどうしても使うし、痛み止めもサポーターも効きません。同僚が救急外来で長く働いていて、この手を診て、特殊な骨折で治癒過程でこういう骨の異形成が起こる事がある、だから正しく固定して治さないと後で痛みが出るって言ってたんですけど、整形外科かどこかに紹介してもらうことってできませんか?」と聞くと、よく調べもせず「いやー骨折はありえないでしょ。リウマチかもしれないから、リウマチ専門医を紹介します」って。えー!リウマチ!?炎症反応とか正常値だし、他に症状なくて右手の親指付け根だけなのに?!
 いやいやいやそれは違うでしょ、と思い「いや、あの整形外科とかじゃないんですか?」と聞いても「リウマチ科で。いつもあそこは大混雑で3ヶ月待ちくらいするけど、そこで調べてください」って!!なんじゃそりゃ!!

 低血圧だって言ってるのに利尿剤を処方はするわ、他に症状ないのにリウマチ科を紹介されるわ、もう「怪しげセンサー」どころか「非難アラーム」です。

 病院で働いていると、たまに「なぜこんな処方を?!」という、無茶苦茶な処方をかかりつけ医からもらって無茶苦茶な状態で入院してくる患者さんがたまにいますが、きっとこういう貞子的な医者にかかってしまったのが運の尽きだったのでしょう。
 私は幸いにしてナースなのである程度「なんか違うでしょ」ということはわかるけど、おじいちゃんおばあちゃんとか何も知らずに「お医者様の言う事を聞いておこう」と疑問に思うことも無く受け入れちゃうんだろうなあ。

 とりあえず、3ヶ月もリウマチ科の予約待ちをしたくないし、かかりつけ医変更という方向でいきたいとは思いますが、問題はどんな医者を選ぶか。
 最近はホームページを開設している診療所も多く、これまでのキャリアや専門分野などをどんな医者かみれるようになっています。それらプロフィールをみて、いいなと思うドクターはいるのですが、そういうところはやはり人気で、これ以上患者の受け入れをしていなかったりもするので、結局新規患者受け入れをしているところとなると、貞子だったり男性のドクターだけの診療所だったりするわけで。

 もうこの際、男でもなんでもちゃんと診てくれればいい、とも思いますが、同僚曰く「選ぶんだったら年齢は40~50代のドクター。若すぎずある程度の経験もあって、新しい治療とか医療の進歩にもきちんとついて行ける、そのくらいの年齢がいい」とのことなので、年齢とホームページでの人相(そして服装も…)しっかりチェックして、慎重に選んで行きたいと思います…。



北欧娘なココも夏バテ気味。やる気なしドッグです。

トップ写真:先週収穫期を迎えたカシスで作ったジュース(濃縮版)と、H氏が庭にあるベリーを適当に摘んで煮込んだベリージャム。名付けて「男ミックス」。

ゲリラ豪雨で臨死体験!

2011年07月04日 | 本日の事件・ニュース
 言わずもがな、デンマークの夏は超短いです。

 だいたい、夏といっても天気によってはセーターが必要だったり、夜の外出の場合は必ず羽織るものが必要です。
 年によっては雨雨雨だったり、「いつになったら夏がくるんだろう…」と思っているうちに、気がつけば秋に突入していたり。
 日本の夏が7月~9月だとすると、デンマークの夏は6~8月。まだそのへんのデンマークの夏をしっかり把握していなかった頃は8月を日本の感覚でとらえて、屋外での予定を8月に立てちゃったりしますが、実は8月なんてすっかり秋な陽気なので、凍えつつ海辺でBBQなんてこともありました。

 さて、前置きが長くなりましたが、1ヶ月分の平均降水量が2時間弱で降ったというドカ雨の先週末。超スリリングな体験をしましたよ。

 土曜日夜。H氏のお父さんの家(北シェラン)に訪問しての帰り道。北シェランは全然でしたが、どうやらコペンハーゲンとその近郊をゲリラ豪雨が襲い、街中は大浸水。
 カーラジオからは、コペンハーゲン内のアパートの地下室は浸水し、チボリ公園のトイレ(だいたい建物の地下にある)は溢れかえっていると聞き、「へ~大変だねえ」なんてのんきに高速道路を走っていたら、高速道路も所々水浸し。みんな池のような水たまりを迂回しながら走っています。

 あまり見慣れない風景だし、これまたのんきにも「すごい!」と若干わくわくしながら助手席から水たまりを眺めていたら、鉄道橋の下を通過した瞬間、スプラッシュマウンテンのようにぶっしゃーーー!!と車が水しぶきを巻き上げました。
 「え!なに?!」と思ったら、なんと橋の下が暗くなっててわからなかったけど、これまた池のように水が溜まってて、知らずに突っ込んでしまったのです。

 池のような水たまりの水深はおよそ1m。ぶっしゃーと池に突っ込んだ後も車線を変更する事も迂回する事も間に合わず、ずいずいと池の中を進み、車はどんどん水に埋もれて行くじゃあありませんか(窓の外にどんどん水面が近づいてくる恐怖といったら)。
 そして進むごとにだんだんスピードが落ちて行き、池をなんとか抜けたところで、我々の車、完全に停車。水に浸かったことでシステムが完全に壊れたようです。

 しかもです。車が完全に止まった場所は高速道路のど真ん中の車線。みんな私達同様、見えにくい鉄橋下の水たまりを慌てて避けて車線変更をしたりしており、ちょっとしたカオスな場所です。
 急いでハザードランプを点灯しましたが、いつ後ろから他の車に時速100kmで突っ込まれるかわからない、かといって引っ切り無しに他の車が横を追い越して行くので、車の外へ出る事も出来ません。頭は妙に冷静でしたが、さすがにあの時は「この次の瞬間に死ぬかも」と、大変恐ろしかったですよ。

 H氏はすぐにFalckという、JAFのような会社の緊急電話に電話しましたが、災害関係の要請を一手に引き受けてるこの会社(他にも救急搬送とか)。首都を襲ったこのゲリラ豪雨のせいで、もちろん電話はつながりません。
 Falckは諦めて、とにかく一刻を争う事態だからと、112番(救急)へ電話をすると、「迎えには行けないけど、とにかく何でもいいから車から離れて」と無情の答え。それでも他に手は無いので、後続車が切れた一瞬をついて、マッハで車から脱出しました。

 なんとか脱出はしたものの、高速道路の路肩に立ち尽くし、買い換え後たった1ヶ月の我々のアウディを、後続車が寸でのところで切りかわして通り過ぎて行くのをただハラハラと見守っておりました。
 すると一台の、いかにもこれから現場に向います的な下水工事の車が止まってくれて、事情を話すと「とりあえず車を移動しよう」と。
 そして彼の車が警告灯をビカビカさせながら私達の車の方へじりじりバックで近づき、私がニュートラルギアでハンドルをとり、H氏と下水工事の彼が二人で車を押し、なんとか路肩へ車を寄せる事に成功。

 その後その親切な下水工事の人は去って行き、残された私達は車のエンジンを試しにかけてみると、何度かのチャレンジの末なんとかスタート!…が10mほど進んだ後、ボスンボスンと言って再び完全に停止。今度こそ完全に死亡です…。
 しかもその無理が祟ったのか、車から何かが燃える激臭の煙が上がり、さらに恐ろしいことにはボンネット下のどこかで「チッ、チッ、チッ…」という時限爆弾のような不吉な音が…。

 これはいかん、と本能で察し、車から再び脱出。諦めてタクシーを拾おうと電話をかけましたが、どうやら他の鉄道やバスなどの交通機関も麻痺しているようで、タクシーも一切つかまりません。
 
 そして、人生初のヒッチハイク!すると手を挙げたすぐ直後に若い二人組のお嬢さんが止まってくれて、しかも彼女達も私達と同じTaastrupに住んでいるから、家まで送ってくれると!なんて親切な!
 結局家に着いたのは夜中の1時過ぎ。翌朝再びFalckに電話し、「車の鍵を前輪の上に隠しておいて。そのうちレッカーで引き取りにいきます」とのことで、H氏が車の元に行ってきましたが(休暇でアメリカ旅行中の義姉の車があってラッキー)、池の中を泳いだり、後続車がどんどん泥を巻き上げて追い越して行ったため、劇的に泥だらけだったそうですが、車自体はなんとか無事だったそうです。

 あのどこか配線が燃える激臭のこともあるし、修理代が一体どれくらいかかるのか、保険がどこまで適用されるかわかりませんが、とりあえず二人とも無事だった事がなによりです。

 ちなみにコペンハーゲン中の地下浸水のせいで、この週末民間保険会社は大打撃。H氏曰く、コペンハーゲンの下水システムというのは戦後の古いままなんだとかで、そこに人口が増え、下水流出量も増え(昔と今じゃ生活スタイルも違うしね)、そこにさらに今回のような豪雨が来ると、簡単に溢れたり浸水になったりしてしまうのだそう。
 現政府はその辺の下水システム改善のための予算までも大幅削減してるそうで、まったく何から何までろくなことしないよって感じです。早く政権交代して欲しい…。

 そんなわけで、コペンハーゲンにお住まいの方は地下室に大切なものは保管しないように!する場合も保険が適用する範囲内で!


写真:
今住んでいる家の庭はまるで果樹園かってくらい、色んな果物の木があります。
今はイチゴ、カシス、フランボワーズ、赤すぐり(ジャムの他に肉料理のソースに使ったりする)、さくらんぼがシーズン。もう少しするとこんどはブラックベリー、丸すぐり(グーズベリー)、8月頃にはすもも、エルダーベリー、秋にはりんごがなる予定。