季節の好みに順番をつけるとするとこういう具合になる。
一番好きなのは青い空に入道雲の湧きたつ灼熱の夏なのだが、それは言わずもがな。
大好きな夏が近づいているんだなぁ、と、来るべき夏の到来を予感させ、期待が膨らむ春こそわが好みの季節と位置付けたいのだ。希望が膨らむという点で、心が浮き立つではないか。
大好きなおかずを一番最後まで残しておくようなものである。
冬は寒いのが苦手な身には敬遠したい季節で、何より昼の時間が短いのが最大の欠点。
身は縮こまり、朝は遅いし、夕方はすぐに暗くなってしまう。
秋。これは夏が去ってしまったという傷心悲嘆の心には、何の希望もないような季節に映るのである。
冬の嫌やさかげんに触れたが、それでも“冬来たりなば春遠からじ”。まさに、そこに希望を見いだせるという点で、救いがあろうというものだ。
なのに、秋には心ときめかせるような何物をも感じさせないし、坂を転げ落ちていくという一事をもって、すこぶる気分の滅入る季節なのである。
その滅入る季節に追い打ちをかけるように、11月に入って雨や曇りの日が多く、11月と言うのはこんな陰気な季節だったっけ、と思わされるような日々が続いている。
チラッと耳にしただけで良く聞いていなかったが、例年に比べると11月の日照時間は平年の4分の1にしか届いていない、と言っていたようである。
さもあらん。
実感としてもそんなところのような気がする。雨も多く、よしんば降らなくても、天高く馬肥ゆる秋…のイメージとは程遠い。
ただ、こういう秋が珍しいということでもないようである。
初めて知ったのだが、この時期に降る長雨を「さざんか梅雨」と言うんだそうだ。
冬から春への季節の変わり目に降るのが「菜種梅雨」。花を誘うので「催花雨」とも呼ばれる。
そして夏の到来を前にしたご存じ真打の「梅雨」。梅雨入り前の五月晴れの季節にぐづつく空模様を「卯の花腐し(うのはなくたし)」。そして夏から秋にかけて「秋霖」、または滅多に聞かないけれど「すすき梅雨」。そして秋から冬の季節の変わり目の「さざんか梅雨」。
最近は季語に「リラ冷え」などというのも登場した。これなんぞは北海道の人々には実感がこもっているんでしょうな。
花の名前をつければ良いってもんでもないだろうに。まぁ、とにかくアジアモンスーン地帯に位置しているのだから、季節の変わり目ごとに風向きが変わり、それによって生じる前線の成せる業であるのだが、こう並べて見ると雨の季節の合間を練って暮らしているかのようではないか。
気象庁の長期予報によれば今冬は暖冬で、雨量も多めが見込まれているんだそうである。
何のことは無い、太平洋岸に大雪が降る回数が増すということだろう。2、3年前にも1週間に2度も30センチを超す雪が積もった年があった。
交通機関はマヒするし、迷惑なことなのだが、もう仕事に出かけたりしないでいいのだから、電車が止まろうが何しようが関係ないと言えば関係ないのである。
雪見風呂に浸かり、雪見酒をして、俳句なんぞをひねっていればよいのだ。
そういえば、かつて春先に太平洋岸に大雪をもたらす爆弾低気圧を“台湾坊主”と呼んでいて、彼の地の人々が不快感を示したというので、その名がいつの間にか使われなくなってしまった。
別に不都合があるわけでもなく、文句があるわけでもないが、そういうことがあったなぁ、というだけの話である。
今日は雨が上がるんだろうか。太陽は顔を出すんだろうか。
クサボタンの種が綿毛に覆われてきて、いよいよ最終章である。秋も終わりに近づいてきたということか。
最新の画像もっと見る
最近の「日記」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事