午後からようやく晴れ間が広がって、気温も上昇した。
やっぱり太陽は偉大である。太陽の陽を浴びると、心身が伸びやかになるのを実感する。
スーパーバイザーの河合が「珍しいサクラが咲き始めましたよ」という。
何とサクラとウメを掛け合わせて出来た、人間が作り出した品種で「エレガントみゆき」という名前が付けられているんだとか。
こういう突拍子もないようなかけ合わせは、日本ではとても生まれない。
アメリカで誕生し、日本に逆輸入されたものだというが、樹高は4メートルくらいあり、結構しっかりしている。
見ればピンク色の花が枝のあちらこちらに咲いている。
花弁は大きくなく、比較的小ぶりなのはウメの性質を継いだためなのか。
その花を見ながら、河合は「ウメの特徴が出ているとは言い難いですねえ」というが、素人の私にはこの花の片親はウメなんですよと言われれば、あぁ、なるほど、と納得するくらいウメの花に似ていると言えば似ているように思うのだが…
何せ作られてまだ日が浅いそうで、しかも日本に持ち込まれた数は片手の指の数にも及ばないという。そのうちの1本から育てられたもので、樹高が4メートルに達する立派な個体は日本ではここだけだという。
たいそう貴重な個体なのである。
しかし、ウメとサクラを掛け合わせようなどという発想は、日本人からは生まれないのではないか。
ウメはウメ、サクラはサクラでどちらにも価値があり、かつ楽しめる存在であって、日本人にとってはそれで十分なのである。
したがって、この日本人になじみの2本を掛け合わせて双方の良いところを引き継いだ植物を作り出そう、という発想はなかなか浮かばない。
アメリカならではの自由闊達な発想があって初めて誕生したといっていいのかもしれない。
アメリカと言う国の印象は、そうした既成概念にとらわれない自由な発想の発露が許され、それが拍手を浴びる国なのだということを改めて実感させられるのである。
この、日本人からすれば突拍子もない植物は、今頃の季節から咲き始め、春3月のピークまで、寒かろうがなんだろうが花を咲かせ続けるんだそうである。
ガーデンの売り物の一つになりますよ、と河合は言う。
どこでどうやってそんな珍しい植物を手に入れてくるのか、河合の河合たるゆえんであり、面目躍如なのだ。
これ以外にも、一昨年にはアーコレードという、これはイギリスで誕生したソメイヨシノの新しい品種の苗木をどこからか手に入れてきて、10数本植えているのである。
なにもソメイヨシノそのものを植えれば済む話のように思えるが、そこはイングリッシュガーデンを標榜する庭である。
イギリスで生まれた植物の里帰りはそれだけで、話のタネになるという寸法なのだ。
シーボルトが日本から多くの植物をヨーロッパに持ち帰って以降、海を渡った日本固有の植物は数多いだろうが、その中で子孫として立派に市民権を得て堂々と里帰りしてくる植物はそうざらにはない。
かくして、わが横浜イングリッシュガーデンにはバラ以外の見どころも増えてきている。港街ヨコハマにふさわしい庭と言っても良いのである。
それにつけても昨晩はよく飲んだ。
3軒ハシゴして、12時近くに寝て、よく4時に起きられたものだが、息は酒臭く、頭はまだ朦朧としていて、これを書き終えたなら、さっさとベッドに戻らなくてはならない。ではおやすみなさい。
アメリカでウメ子さんとサクラ夫の間に生まれて里帰りした「エレガントみゆき」
来シーズンに向けての作業が始まっていた
美味しそうな柿が実っていた。是が非でも口に入れてみなくては…
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