この季節だと雪になることが多いが、寒波が南にまで降りて来なかったと見える。
カミサンは外出し、車は定期点検に出してしまっていて、出掛けるのは往生なので炬燵に潜り込んで音楽を聴きながら読書にふける。
たまにはこういう時間の過ごし方も良いものである。
電話が鳴って何事かと思ったら中央図書館からであった。
「ご注文の本が届きました」と知らせてきたのである。
去年の11月に遡る。
高倉健さんが亡くなって、テレビの追悼番組を見ていたら健さんが座右においていた愛読書があることを知った。
「男としての人生 山本周五郎のヒーローたち」という本である。
山本作品は何冊も読んだ。好きな作家である。
本の題名を素早く書き留めておいて、後でインターネットで調べたところ、どうやら絶版らしく、古本以外に入手は困難なようである。
仕方なく中央図書館に出向いて探したが見当たらない。
変だなと思って司書の人に聞いてみたら「申し訳ありません。検索機でヒットしなければ蔵書にはありません」と言われてがっかりした。
しかし、司書の人はパソコンに何やら打ち込むと「県立図書館と南足柄市立図書館に蔵書があります。取り寄せますか ? 」という。
図書館同士で融通し合っているらしい。ネットワークが出来ていて取り寄せが可能なのだ。初めて知った。
その本を読むには、今のところそれしか手がないというなら頼んでみるほかはない。
「貸し出されてしまっていたりすると、時間がかるかも知れません」という。それは仕方のないことである。
それから2カ月。
これまで何の音沙汰もなく、心の片隅では「何だよ、忘れちゃったのかな。いい加減だなぁ」などと毒づいていたところである。
待てば海路の日和あり。
現役の頃ならこんなに気は長くなかった。
欲しいと思ったら八方手を尽くす。尽くして駄目なら潔くきっぱりあきらめる。いつ手に入るかどうか分からないようなものに身を任せるなんて、とてもできない算段であった。
今、自分の周りの時間がゆったり流れ始めていることを実感する。
何もあくせくすることはない。生き馬の目を抜く必要もなくなった。
自分でも驚く心境の変化である。
亡くなってから健さんの本を2冊読んだ。
「南極のペンギン」「あなたに褒められたくて」の2冊。
「あなたに褒められたくて」の中の『ウサギの御守り』が特に良かった。『兆治さんへの花』には、へぇ~と感じ入った。
文章はお世辞にも上手だとは言えないが、その感性は光る。
思ったままを書き連ねているようで、目の付けどころや、表現の仕方に独特なものがある。
根がとても純粋で素直に感じられるのである。これがあの大スターかと…
一世を風靡するというのは尋常なことではない。やはり何かを持っていなければ不可能である。そういう人の心の奥底から発せられる感慨、言葉なんだなあということを、しみじみ感じさせられるのである。
さて、座右に置いて読んでいたという本を取りに行ってこよう。
冷たい雨に降りこめられた一日であった
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