時折雨も降ってきて、春爛漫というのにさえない天気が続く。
この時期のぐずつき気味の天候を菜の花の咲く時期であることから「菜種梅雨」と呼ぶ。
なんとなく甘い香が漂ってくるような、ぼーっと遠くまで滲んで見えるような光景も悪くはないが、3日も続くとうんざりするものである。
こんな天気にもかかわらず、サクラが頑張って花を維持しているのが嬉しい。
円覚寺のサクラは今を盛りと競っていたし、北鎌倉駅から鎌倉駅間の横須賀線の車窓からも点在するヤマザクラがたくさん咲いているのが見える。
坐禅帰りの午前中、雨の中、ずっと手前のバス停で降りて山道の散策路を辿って芽ぶきの始まった木立の合間に咲くサクラを尋ねながら家に戻った。
山中で咲くヤマザクラの類がひっそりと、それでも近寄って見ると圧倒的な存在感をもって咲いているのは、街中のサクラと違った味わいと言うものである。
畏敬の念、といったら大げさだが、ヤマザクラの存在感にはそれに近い雰囲気が漂う。
この菜種梅雨は別名「催花雨」(さいかう)とも呼ぶ。
ナノハナをはじめ他の花の開花を促す雨、ということのようである。
そういえば、わが家にサクラの木はないが、ジューンベリーという名の花木があって気がついたら白い花が満開になっている。
まさに、催花雨に促されたかのようである。
花が終わると小さな赤い実をたくさんつける。
口に含むと甘くておいしい。手の届く辺りは摘んで焼酎につけたこともある。
赤く澄んだ液体はきれいだが、ことさら美味しいお酒が出来上がるというわけではなく、もっぱらボケの実を焼酎につけたボケ酒に力を入れている。
したがって、赤い実の大部分は小鳥の餌になる。赤い実を食べるものだからこのあたりの小鳥はみんな赤い ?!
菜種梅雨が終わると5月初旬が「たけのこ梅雨」、次いで「うの花くたし」、そして本格的な「梅雨」がやってくる。
温帯モンスーン地帯なればこその雨である。植物に雨は欠かせない。
こんな情緒を感じさせるさまざまな雨が地球温暖化でどう変わって行くんだろうか。
庭に植えた花もずいぶん成長が進み、チューリップやアネモネの球根類も咲き始めた。
山から採ってきたニリンソウも片隅で名前の由来の通り、2輪ごとに白い花をつけ始めた。
同じく山採りのタチスボスミレも淡い紫色の花を盛んにつけている。
毎年こぼれ種で咲く名前も忘れてしまった花々も、律儀に咲いてくれている。
バラの葉も随分と広がり、花をつける枝もぐんぐん伸びているのが分かる。
モッコウバラにはたくさんの蕾が付いているから、先頭を切って今月中旬には開花が始まるだろう。
入り口のアーチに絡ませているマダムアルフレッドカリエールの伸び具合は著しく、既に小指の頭くらいの花芽をいくつも付けている。
甘い芳香を漂わせる、淡いピンクの清楚で上品な花を咲かせるバラである。
これもモッコウバラと時を同じくして中旬過ぎには咲きだしそうである。
他のバラも順調である。若い葉の表面が独特の光沢を持っていて、生命の強い息吹というものを感じさせる。
5月の連休が明けるころには一斉に花をつけ始めるはずである。もう間もなくである。
初めて挑戦したバラの接ぎ木も7本とも順調に成長していて、大成功である。
こんなにうまくいくとは思わなかったから、嬉しい。
バラの葉の照りに遅れてなるものかと、ハート形の葉を持つカツラの新緑が芽吹き始め、6月に下向きの白い花をつけるエゴノキも鮮やかな薄緑色の葉を広げ始めている。
大賑わいが始まった。
新緑の競演。左から、つるばら伽羅奢、カツラ、エゴノキ
マダムアルフレッドカリエールの蕾。肝心の蕾がボケてしまったが…
満開のジューンベリー
円覚寺黄梅院のモミジの若葉
円覚寺境内のコブシとヤマブキ
円覚寺境内山門下のサクラ
近所にある夫婦池のヤマザクラ
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