いつもは離れた丘の濃い緑の間から聞こえてくるのだが、盛夏になってメスの取り合いが激しくなったのか、故郷を離れて冒険する奴が出てきたと見える。
そう、青年は荒野を目指すのだ。
すぐに鳴かなくなったから、メスの匂いがなかったんだと思う。さらにいずこかへと放浪の旅を続けていることだろう。
例年、わが庭のナンキンハゼは“アブラゼミのアパート”のごとき様相を見せ、ひと枝に数匹のアブラゼミが点々と止まり、全体では40~50匹にもなって、それが昼下がりの一番暑い時間帯に、あの暑さを増幅させるような鳴き声で一斉に鳴きだしたりすると「わかったわかった」と呆れるくらいのセミ時雨に包まれる。それはそれは見事なものなのだ。
それが去年あたりから数が減ってきて、今年はまだ、時々鳴き声が聞こえる程度である。
庭の片隅を探しても空蝉の姿は少ないから、そもそも生まれてくるセミが少ないようなのだ。
何が原因なのかわからないが、いささか寂しいものがある。
アブラゼミの場合、地中での幼虫時代は6年だそうだから2008、9年辺りの天候か何かの加減で産み落とされる卵の数が少なかったのかもしれない。
インターネットで調べて見たら、案の定、2009年は今年と同様エルニーニョ現象が起きていて、冷夏だったそうだ。米の作況指数が98と不作だった年である。
う~む、冷夏じゃセミは鳴けないよな。
科学的な根拠が見つかってしまうと案外つまらないもので、もう少し人間的というか、文学的? 土俗的な理由付けが欲しい気がするんだけど…
例えばアブラゼミ界で部族間対立のようなものが起きて、わが家の庭の“ナンキンハゼ族”対“向こうの丘族”との間で縄張り争いに発展し、のんびりメスを求めている場合じゃないと、樹上の戦いやら空中戦が起きているんじゃないか…
死骸が目に付かないから、戦闘は多分、丘の森の中に違いない。もしかして迎え撃つ“向こうの丘族”の方が地の利を生かした余裕があって、遠征軍となる“ナンキンハゼ族”は苦戦しているのではあるまいか。
んなことあるわけないか…
でも武力行使はイカンなぁ。戦争なんてとんでもない。
昨日はイングリッシュガーデンの来年のカレンダーの絵柄を選ぶ作業と、別にもう一件の用事があり、二つの間の移動の交通の便が悪そうだったので、「そうだ! 自転車で行こう!」と暑さにまみれてきた。
55kmほど。しかし、湘南海岸を走るのと違って、コンクリートジャングルは暑い。大岡川沿いの桜並木の下が日差しを遮ってくれて、わずかにホッとして走れたが、街中のビル街に入ってしまうと風すら吹かない。
おまけに、帰ろうとした3時過ぎには北の空がにわかに暗くなってきて、心なしか風さえ湿ってきたようなので気象庁のレーダー画像をのぞいてみたら、4時ころには横浜もすっぽり雨雲に覆われるではないか。
しかも雨雲はさらに南下する予報がでている。これは一大事! 雷鳴と大粒の雨の中なんぞ走れるわけがない。
逃げろや逃げろ。しかし、ツールドフランスの選手じゃないので、そんな馬力は持ち合わせていないし…。それでも一生懸命に700mと1200mの上りのだらだら坂も何とか越えて、逃げ帰ってきたのでありました。
はぁ、疲れた!
結局、ガーデナーたちが期待した雨は一滴も落ちて来なかったみたい。
私も仕方なく、カラカラの庭に水まきをしたのでした。
さて、来年のカレンダーの出来栄えや如何
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