かれこれ10年ほど前に一帯の再整備に合わせて完成したばかりの新しい漁港である。
それまで、この界隈の漁師たちは境川の岸辺に船を止めるしかなく、魚の水揚げにも不便をかこっていた。
この漁港の海に突き出した防波堤は景色が良い。目の前に緑の江ノ島が迫り、天然の防波堤の役割もしている。西には富士山を中心に伊豆の山々、箱根連山、丹沢の峰々が並び、相模湾の真っ青な海がそれらを引き立てている。
釣り糸を垂らしている人も多い。釣果はともかく、天気が良ければ相当気持ちがよさそうである。
この漁港では獲れたての魚の直売が行われているという。
馴染みだった腰越の「魚宇」が店を畳んでしまったので、代わりを探さなければいけない。
そんな思いと水揚げされる魚に春の兆しが表れ始めているかもしれないという期待もあって、昨日の朝、暖かい陽気に誘われて覗いてみた。
水曜日が休みだと聞いていたのだが、漁港には人影がないばかりか船の動きすらない。
怪訝な思いで戻ってきて、漁協に問い合わせてみたら、休みは火曜日と土曜日であるという。
しかも26日から1週間は資源管理の観点から休漁期間としている、という。
今や大人気の湘南のシラスは元旦から3月11日までの2カ月余りの間、資源保護のため禁漁にしている。
だからこの時期のシラスは冷凍の釜揚げシラスである。それでも、禁漁を知ってか知らずか、この界隈の食堂やレストランにはシラスを求めて長い行列ができている。
シラスは傷みやすいから、相模湾沿いの魚屋の店先でしか売られていない。海から離れた人たちは現地にやってきて食べるしかないんである。そんな希少価値もシラス料理に群がる心理を後押ししているんだろう。
片瀬漁港に水揚げされるのは江ノ島沖の定置網に掛った魚が中心である。
たった1週間で資源管理になるんだろうかという疑問も湧くが、資源は有限である、という考え方には賛成である。
短い休漁期間が明けたらぜひ行ってみなければ。
街ではあまり話題になっていないが、アジを使った漁師料理があるんだと聞いた。
房総で有名な「なめろう」の湘南バージョンである。
新鮮なアジの身に細かく刻んだネギと大葉を加えて粘りが出るまで包丁で叩き、最後に味噌を少量加えてそのまま食べる漁師料理だが、ここでは、さらにケンサキイカの頭とゲソを加えるんだそうだ。
食感が違って別な味わいがあるという。
夏なら、この湘南バージョンの「なめろう」をご飯の上に乗せ、冷えた味噌汁をかけて食べると、また美味しいらしい。
そうと聞けばやってみなければなるまい。夏が待ち遠しい。
腰越の魚屋の店先には早くも新ワカメが出始めた。今年は例年に比べて早いという。海の中はもう春に向かって動き始めているようである。
片瀬漁港から見た富士山。両隣に連なる山々はベールの中である=2015.1.27 AM9:20
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