午前6時。縦23m、幅10mもある広々とした風呂にたった1人で浸かっていると、小学生の兄弟と思しき男の子2人が入ってきて、丸くてつるんとしたお尻を水面に残して潜ったり、クロールではしゃぎ始めた。まるで2匹の子ガッパである。
どこから来たの?と聞くと、兄の方から「ながいです」と丁寧な答えが返ってきた。米沢に近い長井市らしい。
おじさんは鎌倉だよ、と言ったら「えっ!遠いですね」とびっくりしていた。
ここは混浴で、上がろうと縦長の湯の奥から出口に向かって湯をかき分けていったところ、いきなり女湯の暖簾を分けて女の人が現れた。
われわれ一行の中の奥さんの1人だが、慌てて暖簾の奥に引っ込んでしまった。湯船は深いので、首から上しか出ていないのだから恥ずかしがることもないのだが、もう少しじっとしていればよかった。悪いことをしてしまった。
月山の麓を大きく回って東根のさくらんぼ園へ。
ここは姫も連れてきたことがあるし、今度で4度目になる。去年も第一線を退いたもの同士で来ているのである。
真っ赤に熟した佐藤錦と紅秀峰の実が鈴なりで、食べ過ぎると腹がゆるくなるので注意が必要だが、懲りずに100粒近くも食べてしまい、案の定であった。
なかなか学習できない質のようである。食い意地が張ってもいるのだ。
昼飯は天童に移動して「辻蕎麦」を味わう。この蕎麦も去年食べて絶品だった。
大晦日にも年越し蕎麦として食べ、幼稚園児の姫が「もうないの?」とがっかりするくらいの美味しさなのだ。
地元の蔵の出羽桜と酔芙蓉を舐めながら「剥き蕎麦」やそば打ちの際に出る切れ端を使った汁ものと一緒に堪能した。
蕎麦処山形ならではである。
この「辻蕎麦」は店舗がない。サラリーマンをしていた主人が独学で研究を重ねた末にたどり着いたブレンドがおいしさの第一の理由で、これは真似できないらしい。噂を聞きつけた蕎麦職人が何人も尋ねて来てはそば打ちから指導してもらって、それぞれの地元に帰って評判を呼んでいるという。
隠れた名人なのである。
それが、打ち立てを急速冷凍すれば風味が損なわれないことがわかり、商品化が進んでいて、姫が喜んだ大晦日の年越し蕎麦はその恩恵に浴したものである。
いずれは人気商品になっていくに違いない。
一足先に帰途につく人たちを山形駅で見送り、夜は老舗漬物屋の板張りの広々とした部屋で宴会をして、美食と地元産のワインまで堪能する贅沢三昧である。
たわわに実るさくらんぼを遠慮なくもぎ取って食べる
「辻蕎麦」の上から、手打ち蕎麦、蕎麦の実の殻を剥いただけの剥き蕎麦、そば打ちに出る切れ端とゴボウやニンジンなどの根菜をいれた汁
漬物屋の二階の宴席
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