特に精神を解き放ってやることが大切である。
どこへ行くかちょっと思案したが、夏は何と言っても青い空と白い雲の輝く海だろうと太平洋岸自転車道へ。
江ノ島の対岸の海水浴場では海の家の取り壊しが始まっていた。こういう光景はちょっとうら寂しいものがある。過ぎ去っていく夏を証拠を突き付けられて確認させられているかのようである。
9月のしかも火曜日。さすがに人は多くないが、甲羅干しする人やビーチバレーボールを楽しむグループなどが目を引く。遅い夏休みをとっている人たちだろうか。
大礒の旧吉田邸まで行って戻ってくる。
最近、吉田茂が見直されているという。国務長官になる前のダレスと日本の再軍備をめぐってやり合い、結果、サンフランシスコ講和条約にたどり着いて独立を実現させ、アメリカの意向に反して軽軍備路線を決断して日本の戦後の国の形を方向づけた、と。
こういう過去の政治家が見直される時は決まって、「しかるに現在はどうしたことか」「○○がいてくれたら、どんなかじ取りをしてくれただろうか」というような、現状に対する不満や不安が潜んでいるものである。むべなるかな。
帰り道、平塚の花水ラオシャンの本店で昼食。タンメンと焼きワンタン。それぞれ400円也。
ここのタンメンは巷のタンメンとは別物である。
透明に澄んだスープに白い麺。具は玉ねぎのみじん切りが浮かんでいるだけ。いかにもシンプルである。「えっ!! 」と思うほど、そっけない。
スープはさっぱりしていて酸味が効いている。ひと言でいうと雑味がない。品書きには好みでラー油や酢を加えて食べると一層おいしい、と書かれている。
これが癖になる味で、平塚を通過するときは決まって食べていきたくなる。
客の100%がタンメンを注文している。というより、タンメン以外の麺は存在しない。チャーシュー麺を食べたければチャーシューをトッピングして食べる。自信作なのだ。
この店はクーラーに頼らず、戸を開け放したままだ。客は汗を流しながらそばをすすり、アツアツの餃子をほお張る。これにも好感を持つ。風の通る席のおばちゃん2人連れが「風が通る席でラッキーだったね」と喜んでいる。
今夏は3回も食べた。
麺をゆでる店主はサッカーの湘南ベルマーレの大ファンであるらしく、いや、サポーター集団の幹部らしく、店の名前とチーム名の入ったTシャツを作って客にも販売したりしている。現在ベルマーレはJ2で負け知らずで首位を快走中である。機嫌よさそうにニコニコしている。
客の何人かが「これから大忙しだなあ」とか「(優勝は)いつ決まるんだ」とか声をかけていく。そのたびに顔を崩している。
ベルマーレの専務は高校の後輩。スポンサー集めと資金繰りに走り回っていて会社勤めをしていた時は付きまとわれた。頼もしいサポーターがいるじゃないの!
片瀬西浜。これで富士山が見えていれば銭湯の絵
撤収作業の進む海の家
花水ラオシャンとタンメン
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