この母達は、
父が存命中も近くに泊りがけで一緒に旅行したり、と
幾らかは、気心は知れている
とは言え、
何しろ それぞれ長い人生 好きな様に暮らして来た二人。
ここに母を呼び寄せて一年半経つ
先に20年以上同居していた姑に対して、
母に、「姑には気を遣わなくて良い」
と、伝えたけれど
自分より年長者の姑に対して
あれこれ 手を出そうとした事もあった。
母は、10分前のことも覚えていない認知症。
対して
姑は、頭脳は明晰。
何しろ 昔の椙山女学院を二番で卒業した、才媛なのだから。
今でこそ 何を頓珍漢な事を話している?と 訝しく思う事もあっても
ほぼ一日ベッドの上で 独り言を呟きつつ TVに、話しかけてたり、相槌を打ったりしている姑(これがボケない秘策だったよう)
デイサービスも止めてしまい 訪問マッサージさんだけが
家族以外との接触が、ある姑。
3人の息子のうち 長男とは折り合いが悪く、次男の夫と同居した。
デイサービスの無い日は、
姑の部屋からも、二階の母の部屋からも TVの、大音響がこだまする。
それぞれ起きてトイレに行くなど自分の部屋から出てくる間合いが、違うので 今日も一度も顔を合わすことこと無く一日が、過ぎていく。
母の唯一の家事は、
洗濯機をかけ洗濯物を母に届けると、喜色満面干す作業。
自分の物は自分で出来る と
晴れた今日もベランダに干していた。
彼岸花が、満開だよ、見に行く? と母を誘ったけれど、
「やめとくわ」と、母。
歩かなくなった。
姑と同様、新聞を眺め、
ほぼTVを見るか、
横になっているか、の母でした。