宮本輝さんが、37年の歳月をかけて
遂に 完結となった 9巻目 野の春。
一巻「流転の海」から読み始め
それは例えば「渡る世間に、、」への想いと同様 登場人物へ 自分の親戚の方を見るような 親しみを込めて年月を感じていた。
松坂熊吾 という無名の人間の壮大な性老病死のドラマが描かれ
昭和の戦前から まだ戦争の痕が癒えない人々の 真っすぐに生きようとする様に
熊吾の言葉からは 「諭されている」 想いで読んだ9冊だった。
熊吾が亡くなる場面以上に、
涙が溢れた箇所は、
亡くなった病院に翌日駆けつける縁者達の名を見た瞬間だった。
熊吾から 受けた大きな恩を それぞれが。
私も 駆けつけたい衝動に駆られながら
読み終えざるを得なかった。