精神機能と能力開発:心理学―教育学―社会学

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発達障害と高次脳機能障害の違い ~発達障害は高次脳機能障害なのか?~

2014年12月19日 | 発達障害(全般)


(1)高次脳機能障害 ~法律用語と学術用語~
古典的な高次脳機能障害とは、a)失語症、b)失認、c)失行、d)半側空間無視のこと。
それに対して、現在の高次脳機能障害とは、法律用語。
これは、1)注意障害、2)記憶障害、3)遂行機能障害、4)社会的行動障害の4つ。

失語症や片麻痺など、普段よく使う機能の障害は気づかれやすい。
しかし、失語症や片麻痺がない場合、高次脳機能障害が見過ごされ易かった。そのために設けられた。

(2)発達障害は高次脳機能障害か?
発達障害とは、認知発達の偏り。認知とは、高次脳機能。それでは、発達障害も高次脳機能障害なのか?
発達障害は、学術用語としての「高次脳機能」の障害とみることもできるが、法律用語としての高次脳機能障害ではない。

発達障害とは、「発達」することの障害。基本的には、生まれつきの障害。
これは、1)知的障害、脳性麻痺、2)学習障害、注意欠如・多動性障害(ADHD)、高機能自閉症。

(3)小児の高次脳機能障害(小児神経疾患)
小児の高次脳機能障害は、脳の病気や怪我による。生まれつきではない。
特にADHDについて、子どもが多動で不注意ならADHD(発達障害)、とは限らない。
ある時から多動や不注意の症状が始まり、その症状が進行している場合、それは発達障害(ADHD)ではなく、小児神経疾患(小児の高次脳機能障害)。対応がまったく異なる。治療が必要で、様子をみてはいけない

2つの発達障害 ~知的障害・脳性麻痺と、LD・ADHD・高機能自閉症~

2014年12月14日 | 発達障害(全般)


発達の障害について…

(1)発達とは
子どもの心身の形態や機能が、身体の発育や文化的な経験を通じた学習によって成長し、大人になること。

(2)発達の障害とは
発達の全般的な障害(遅滞)であり、これは知的障害や脳性麻痺のこと。

(3)法律用語
発達障害が知的障害や脳性麻痺であるという考え方は、1960年代にアメリカ合衆国で提起された。この発達障害は、法律用語。

(4)学術用語
しかし、この法律用語である発達障害が、我が国に紹介されたとき、まず学術用語として広まり、学会名称や学術雑誌名に採用された(日本発達障害学会)。

(5)発達障害者支援法
さらに我が国では、学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)、高機能自閉症など、知的障害を伴わないものの発達の偏り(部分的障害)のあるものを、発達障害として新たに法的な支援の対象とした。

(6)2つの発達障害
我が国では、学術用語としての発達障害(知的障害、脳性麻痺)と、法律用語としての発達障害(LD、ADHD、高機能自閉症)が併存している。

発達障害とは~当たり前のことが出来ない障害~

2012年09月03日 | 発達障害(全般)

<発達障害(全般)>
発達障害とは~当たり前のことが出来ない障害~

  • 知的能力の全般的な遅れがない
  • 特定の能力を習得することの障害(学習能力障害)
  • 特定の能力とは
    1) 学習障害(LD)…読み・書き・計算
    2) 注意欠陥/多動性障害(ADHD)…
    努力を要する動機づけ(達成動機、心的努力)の自己調節→注意力、行動抑制
    3) 自閉性障害…
    非言語的意図の共有、共同注意、想像力

  • 中枢神経系の機能不全に原因があると推定される
  • 学習能力障害=努力しても身に付けることが困難
  • 努力不足や好き嫌い、怠慢、反抗的態度などが原因ではない

  • 知的能力の全般的な遅れがないため、障害があるようには見えない
  • 多くの人にとり当たり前のことが出来ないという困難な状態を追体験して理解することが難しい
  • 理解されにくい(誤解を受けやすい)障害
  • 扱いにくい児として虐待をうけることも多い

  • 支援対象として社会的に認識されることが遅れていた障害の1つ
  • 平成17年に発達障害者支援法が施行され、法的根拠をもつようになった

Mc900441978