精神機能と能力開発:心理学―教育学―社会学

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身体知・暗黙知と形式知 ~知識の言語と非言語、主観と客観~

2015年04月06日 | 学力・リテラシー・コンピテンシー


『身体知・暗黙知と形式知 ~知識の言語と非言語、主観と客観~』

「私たちは、言葉にできるより、多くのことを知ることができる」(マイケル・ポラニー「暗黙知の次元」)
「言葉は濾し水、そこには最良のものが失われている」(オイゲン・ヘリゲル「禅の道」)

(1)身体知・暗黙知(非言語)
 1)経験・直感:すべてはここから始まる
 2)熟達・熟練:機械の精度を上回る技能

(2)形式知(言語)
 3)経験知(主観的)
 4)科学(客観的)

<関連記事>
1)知識生成の源泉としての身体知・暗黙知(非言語)
学習とコミュニケーション ~対面指導における非言語コミュニケーションの役割~ >>このブログ内のリンク先
教授-学習パラダイムの新旧 ~情報化されないもの・最も大切なもの~ >>このブログ内のリンク先

2)身体知・暗黙知と無意識
アイデアは、どこからやって来るのか? ~「意識レベル」の潮の満ち引きの落差~ >>このブログ内のリンク先
無意識の働き ~適応・不適応・創造・暗黙~ >>このブログ内のリンク先
無意識有能と熟達 ~オイゲン・ヘリゲル「弓と禅」~ >>このブログ内のリンク先

3)主観と客観
実践理論と科学理論 ~汎用的スキルと産学キャリア~ >>このブログ内のリンク先

情報の記憶から情報の検索と活用へ ~知識の活用と知識の構造~

2015年03月24日 | 学力・リテラシー・コンピテンシー




『情報の記憶から情報の検索と活用へ ~知識の活用と知識の構造~』

(1)情報の記憶から情報の検索へ
 1)メディア:現在のようにインターネットが普及する以前は、情報を発信できるメディアが限られていた。(新聞・雑誌・書籍・辞典、テレビ・ラジオ、レコード・CD)
 2)一方向的:誰でも自由に情報を発信できる訳ではなかった。(受信が優位)
 3)アクセス:必要な情報を、いつでも自由に調べることができる訳ではなかった。(図書館・百科事典)
 4)検索:情報はアナログ形式で、検索する人の知識が頼りであった。(索引・情報カード)
 5)そのため、情報を記憶したり、保存することに価値があった。(記憶力・切り抜き・フォルダ)

(2)検索エンジン・随時性・双方向性
 1)必要な情報に、いつでもアクセスして検索できる。
 2)双方向的なネットワーク。発信することも可能になった。

(3)知識の活用と知識の構造
 1)情報を記憶することよりも、検索することにシフトした。
 2)知識を活用して、付加価値を生み出し、問題を解決する。
 3)知識のまとまりやつながり(知識の構造)が重要になる。
 4)インプットよりもアウトプット、短期記憶や長期記憶よりもワーキングメモリが重要になる。

<関連記事>
アクティブラーニング ~情報のアウトプットとワーキングメモリ~ >>このブログ内のリンク先

汎用的スキルとエゴグラム ~問題発見・論理的分析・問題解決・チームワーク~

2015年03月22日 | 学力・リテラシー・コンピテンシー




『汎用的スキルとエゴグラム ~問題発見・論理的分析・問題解決・チームワーク~』

(0)エゴグラムの5つの自我機能(自我状態)
 1)CP:Critical 批判的
 2)NP:Nurturing 養育的
 3)A:Adult 合理的・現実的
 4)FC:Free 自由な
 5)AC:Adapted 順応した

※どの自我機能が望ましいということはなく、5つすべての自我機能が必要。
※5つの自我機能は、どれもプラス面とマイナス面を含んでいる。
※5つの自我機能の相互バランスで、プラス面とマイナス面のいずれかが現れる。

(1)問題発見
1)プラス面
 CP:あるべき状態に照らした現状の不満や批判:ルールや道徳、理想(義務・要求)
 NP:気分や感情のわだかまりについて
 A:論理的な矛盾
 FC:素朴な疑問、欲しいもの・やりたいこと(欲求・願望)
 AC:ルールや慣例に違反すること

2)マイナス面
 CP:些細なことを問題にする
 NP:問題があっても受け入れる
 A:気分や感情のニーズや問題
 FC:注意散漫・表面的
 AC:問題があっても我慢する

(2)論理的分析
1)プラス面
 CP:問題点の追及、原因・犯人の特定
 NP:心情面を汲み取る
 A:根拠・論拠、情に流されない、冷静・現実的
 FC:本質を直感的にとらえる、仮説を形成する
 AC:オーソドックスで、奇を衒うことがない

2)マイナス面
 CP:プラス面や強み、資源の分析、システムとしての分析
 NP:情に流される
 A:心情面の分析 FC:掘り下げが弱い、詰めていない
 AC:定型的・ありきたり・教科書通り

(3)問題解決
1)プラス面
 CP:厳格・不退転、慎重さ・責任感、社会常識
 NP:遺恨を残さない、悪者を作らない
 A:合理的・現実的、情に流されない
 FC:新しいアイデア・閃き、機転を利かせる、柔軟性
 AC:慣習・前例に則して、周囲の様子を窺いながら

2)マイナス面
 CP:自由なアイデアを否定、建設的でない、決めつけ・硬直的
 NP:うやむや
 A:事務的・冷淡、関係者の気分や感情を考慮しない
 FC:空想的・思いつき、現実のコスト・リスク・コンフリクトを考えない
 AC:周囲に迎合する、解決策ではなく出来ない理由を探す、問題の先送り

(4)チームワーク
1)プラス面
 CP:ルール・規律、組織・秩序、要求水準・成果
 NP:リレーション、共感・温情、一体感
 A:情に流されない、冷静・現実的
 FC:ムードメーカー、気分を盛り上げる、周囲を楽しませる
 AC:協調性・衝突を避ける、控え目で目立たない

2)マイナス面
 CP:成果へのプレッシャー、同調圧・反対意見の排斥
 NP:なれあい
 A:感情的なつながりや一体感がない、割り切り
 FC:我儘、ルール無視束縛を嫌う、嫌なことはしない
 AC:指示待ち・受け身、消極的、ストレスを溜めやすい

<関連記事>
エゴグラム ~個人とチームの交流分析~ >>このブログ内のリンク先

深く掘り下げるには、何が必要か? ~大学教育とT型人材の専門性について~

2015年03月04日 | 学力・リテラシー・コンピテンシー


















『深く掘り下げるには、何が必要か? ~大学教育とT型人材の専門性について~』
(0)単に、横の活動を縦にすることではない。質的に異なる作業。
(1)問題の発見・仮説の形成(これらは、論理ではなく、感性のはたらき)。
(2)掘り下げの開始・研究テーマの着手。新しいことへの希望やモチベーション。
(3)深く掘るために、広く掘る(深さのための広さ)。知識を体系化しつつ、掘り下げる。
(4)修行や基礎トレーニングのように、来る日も来る日も、単調で地味な作業を持続する、意志とモチベーション。
(5)他の人のテーマが、面白そうに見える。研究以外に、楽しそうなことがある。
(6)はたして仮説は正しいのだろうか、このまま続けても成果がなく、徒労に終わるのではないかと、不安になる。
(7)行き詰まった時に、前に進むためには、ブレイクスルーが必要。

<関連記事>
1)掘り下げ
大学教育とT字型人材 ~内発的なモチベーションによる掘り下げの経験と類推・転移~ >>このブログ内のリンク先
専門性の深さと広さ ~深く掘るために、広く掘る~ >>このブログ内のリンク先
受験勉強と学術研究の違い ~高大接続と初年次教育について~ >>このブログ内のリンク先
ロジカルシンキングのピラミッド構造と2つのツール ~Why so? と So what?~ >>このブログ内のリンク先
2)アイデアとブレイクスルー
アイデアは、どこからやって来るのか? ~「意識レベル」の潮の満ち引きの落差~ >>このブログ内のリンク先
鉛筆と方眼ノート ~アイデアのための道具~ >>このブログ内のリンク先
3)問題発見・仮説形成
魚の釣り方とジェネリックスキル ~一生困らないスキルとは?~ >>このブログ内のリンク先
批判的思考と発見的思考 ~限定合理性について~ >>このブログ内のリンク先
4)意志とモチベーション
努力とは、意志・志(自律)のある、持続した動機づけ(意欲) >>このブログ内のリンク先

大学教育とT字型人材 ~内発的なモチベーションによる掘り下げの経験と類推・転移~

2015年03月03日 | 学力・リテラシー・コンピテンシー








大学教育とT字型人材 ~内発的なモチベーションによる掘り下げの経験と類推・転移~
1)類推・転移:1つのテーマを内発的に掘り下げる(探究する)経験が、別のスキルの習得を容易にする。
2)内発的な(現実的な必要や何かと引き換えではなく)掘り下げの経験は、大学においてしかできない。
3)仮に功利目的(外発的)であっても、内発的なモチベーションの方が優れている。

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1)T型(π型)人材
専門性の深さと広さ ~深く掘るために、広く掘る~ >>このブログ内のリンク先
21世紀の知識基盤社会のキャリア教育と教養 ~ジェネリックスキルとゼネラリストについて~ >>このブログ内のリンク先
T字型人材とジェネリックスキル ~コンセプチュアルスキルとテクニカルスキル~ >>このブログ内のリンク先
2)大学教育と産業社会
大学教育の合成ベクトル ~高大接続と産学キャリア~ >>このブログ内のリンク先
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3)内発的モチベーション
新しい幸福論 ~ポジティブ心理学~ >>このブログ内のリンク先
望ましいモチベーション ~内発・自律・向社会~ >>このブログ内のリンク先

専門性の深さと広さ ~深く掘るために、広く掘る~

2015年03月01日 | 学力・リテラシー・コンピテンシー




『専門性の深さと広さ ~深く掘るために、広く掘る~』

1)狭く・浅い: 三日坊主・続かない
2)広く・浅い: ゼネラリスト(何でも一通りできる・器用貧乏)
3)狭く・深い: スペシャリスト(専門のことは詳しいが、専門外のことは知らない)
4)広く・深い: T字型人材(スペシャリスト+ゼネラリスト)

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T字型人材とジェネリックスキル ~コンセプチュアルスキルとテクニカルスキル~ >>このブログ内のリンク先

魚の釣り方とジェネリックスキル ~一生困らないスキルとは?~

2015年02月11日 | 学力・リテラシー・コンピテンシー


「魚を与えれば一日の飢えをしのげるが、魚の釣り方を教えれば一生の食を満たせる」 
※ 魚の釣り方= ジェネリック・スキル(汎用スキル)
  ジェネリックスキル= 学術研究と産業・社会のどの分野にも共通する汎用的なスキル群

(1) 魚(食事)= 答・正解、成果・報酬 

(2) 釣竿(道具)= 実務のスキル

(3) 釣竿(道具)の使い方= 思考力・問題解決力

(4) 漁の協同作業= チームワーク

(5) 漁場を見つける= 問題発見力

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ジェネリック・スキル(汎用スキル)とは、どのようなスキルか? ~学術研究と産業・社会に共通のスキル~

2015年02月08日 | 学力・リテラシー・コンピテンシー




汎用スキル(ジェネリックスキル generic skills)とは、どのようなスキルか?
0) ジェネリックスキルとは、学術と産業をつなぐ一般的(共通・汎用)スキル。
) 批判的・論理的思考、) 問題解決、) チームワークなど。
1) 高大接続・初年次教育 (既存の知識の受容から、知識を検証し、新たな知識を生み出すことへの転換)
2) エンプロイアビリティ (概念・実務・人間関係のスキルをつなぐ)
3) 生涯学習の基盤 (知識基盤社会の継続的な自己啓発学習)

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高大接続と初年次教育 ~ロジカル・ライティングとコミュニケーション・スキル~ >>このブログ内のリンク先
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学力における知識と思考

2014年12月24日 | 学力・リテラシー・コンピテンシー


(1)論語(為政篇)
子曰、学而不思則罔、思而不学則殆。
子曰く、学びて思わざれば則ち罔し(くらし)、思いて学ばざれば則ち殆し(あやうし)。
孔子先生は、こう言われた。人に知識を教わるだけで、それを自分で思考しなければ、物事の道理を理解できない。また、自分で思考するだけで、人に知識を教わらなければ、独断と偏見に陥る。

(2)「教えて考えさせる授業」
2001年に東京大学の市川伸一教授によって提唱された。「教えず考えさせる授業」に対するものとして。
知識の習得において、知識を教わる「受容学習」を行った後に、その知識を活用して「問題解決学習」に取り組む授業方法。

1)(知識を)習得する:教わる(基本・基礎の説明を受ける) ⇔ 考える(問題解決に活用する)
2)(知識を)習得する ⇔ (テーマを)探究する(知識を発見する) 
3)基礎から積み上げる ⇔ 基礎に降りていく

これらの「習得する(教わる考える)⇔探究する」の複合的な往還によって、理解を深めていく。