では,まず,6民訴訟ではどんな判決が下されたのかを見てみましょう。
本件の争点は,前回の記事にて説明したとおり,
① 契約の合意があったか否か
② 金銭の授受があったか否か
③ 残債務が存在するか否か
というものでした。
そして,①~③の6民訴訟の判決は以下のようなものでした。
まず,「① 契約の合意があったか否か」について,Hさん「本人は契約していない」と判断しています。
次に,「② 金銭の授受があったか否か」について。
ここが,この判決のポイントとなるおかしいところです。この争点について,
・金額が多額であったこと
・完済から10年経過していること
・H名義の通帳であったこと
を理由に,Hは契約のことを知っていた,と判断したのです。
最後に,「③ 残債務が存在するか否か」について。
この争点については,当初は返済されたので残債務は存在しないという点で,中信側も,争ってはいませんでした。
しかし,後になって,中信はその点を争うようになったのです。
しかし,判決では,「自白の撤回」を認めないとして,残債務は存在しない,と判断されています。
次の記事は,なぜこの判決がおかしいのか,という点について見ていきます。
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