
龍は、まったく龍に感じられない龍を草書も草書のくずしの極致までいったような作品を20代か30代前半で書いた。小品だったがすぐ売れた。なぜかというと、昭和の代表的作家の一人である水上勉先生が漉いた竹紙だったから、というオチがつく。
その少し前の年だったのか、水上先生と縁のあった私の俗の師匠が中心になって、水上作品を舞台で演じる寸前の野村須磨子さんらも交え大勢で越前に伺ったとき求めた紙だったか。
そして今回、たくましい龍も、画の龍も、様々に書いた描いた。
そんななか、上手くも書こうとしない、ふっと書いた作品は、ふっと書けた作品だ。
いろいろバリエーションがあっていいから、と裏打ちしたが、どんなもんか、と思っていたら、書家の後輩が「これはいい」と。個展作品補充のため、最後の二日間だけ日の目をみたが、最終日に来てくれたのでそれがあった。
ほめてくれる。そういうときだけかわいい後輩にみえる。真摯に書と取り組んでいる男にいわれるとうれしいな、やっぱ。
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