鎌倉幕府の三大将軍、源 実朝の気分がすぐれず、家来が右往左往する。どうも前夜の酒による二日酔いらしい。それを聞いた宋帰りの僧、栄西が良薬だと言って一杯のさかずきを一巻の書と共に献じた。これを飲んだ実朝は大いに喜んだという▲「良薬」とは栄西が宋から種や苗木を持ち帰ったといわれる茶だった。また「書」とは茶の効用を詳述した「喫茶養生記」で、その序「茶は養生の仙薬なり。延齢の妙術なり。山谷之を生ずれば其の地神霊なり。人倫之を採れば其の人長命なり」がよく知られている▲奈良時代には中国から伝来したと見られるお茶だが、遣唐使の廃止ですたれてしまった喫茶の習慣だった。それを改めて再興した臨済宗の祖、栄西である。お茶は禅の瞑想にとっても眠気を封じ、気分をすっきりさせる妙薬としてかかせないものであったようだ▲若葉のさわやかな香りと味がうれしい新茶の季節である。そんな中、お茶に認知症の予防効果があるという研究が報じられた。金沢大学の研究グループの調査によると、毎日緑茶を飲む習慣のある人は認知症の発症率が全く飲まない人の3分の1にとどまったという▲調査は石川県内の60歳以上の住民490人を対象に6年がかりで行われたもので、週1~6日飲む人の発症率も全く飲まない人の半分以下だった。またコーヒーや紅茶を飲む習慣と発症抑制との関連はみられず、今後緑茶のどの成分が作用したのかの解明が待たれる▲栄西は茶の苦みが長寿をもたらすと言うのだが、新茶のすがすがしい味わいもいいのではないか。〈もの忘れ母になかりし新茶かな 星野麥丘人(ほしのばくきゅうじん)〉 毎日新聞 余禄 2014.5.17
これを読み少なからずショックでした。私ここ何十年来コーヒーがお茶代わりなんです。今からでも薬だと思ってお茶を飲もうかな、手遅れかな??
これを読み少なからずショックでした。私ここ何十年来コーヒーがお茶代わりなんです。今からでも薬だと思ってお茶を飲もうかな、手遅れかな??