思いつきで書いた物語と実話のMIX

フィクションとノンフィクション。目線を変えると景色も変わる

言葉にできない2-2

2019-08-30 15:16:00 | 日記

放課後いつものように彼女と会い


今日はそのまま保育園に迎えに行くのについていった


保育園ではさすがに車の中で待たされた


すると可愛い声が2つと


聞き慣れた声が聞こえてきた


少しどこか違う


聞き慣れているはずの声なのに


喋り方がいつもと違う


母親の最中だからだろう


子供たちはやがて車のドアを開け


僕を見つけると声のトーンが上がった


「だれだれ?ママの友達?



「いつからいたの?


「何してるの?


見たことのない人に2つの可愛い声が過剰に反応する


「みんなでご飯食べに行こう


「やったー


「僕ガストがいいな


「わたちもガストがいいな


兄につられて妹も答える



結局そのままガストで夕食を済ませることにした


久しぶりの1人じゃない食事と


見慣れない「2つの可愛い小さいの」


終始笑いながら囲む食卓に


未来の憧れらしきシルエットが見えた


「奥さんと子供といる人はこんな感じなんだな


「いいな…


彼女は微笑ましくこちらを伺いながら食事をしていた






ある日のこと




いつものように彼女とラブホに入った


いつものように事を済ませると彼女はカバンから何かを取り出した







丸い円の中に赤い線が一本ついた体温計のような形のものだった



僕はすぐに気がついた






彼女は妊娠していた




困った顔を浮かべながら彼女は言いにくそうに話した



「きてないの


「私どうすればいいのか分からなくて…


「…


僕も一瞬沈黙してしまった


「あの子達が居るから違う父親の子供は産めない


「でもあなたとも離れたくないの


「あなたの将来を思えば私は今までもずっと身を引かなければならない立ち位置にいたと思う


「たとえあなたがそれを許してくれたとしても、あなたのお母さんは違う


「孫の顔だってみたいだろうし、ましてやいきなりあんな大きな孫が急にできても嫌だろうし


「そんなの関係ないよ。


「…結婚しようよ。俺学校辞めて働くから。


「それはダメ。学校はちゃんと出ないと後で絶対困る時がくる。


しばらく討論しているうちに2人ともの意見が食い違ってきていた


次の日僕は髪を切った


丸坊主にして、花束を持って


彼女のところへ向かった


僕の覚悟を見せて、プロポーズするつもりだった


彼女が電話に出なかったからそのまま自宅へ向かった


彼女の車はある


家に居るはずだ


深呼吸して息を整えた


階段を一段一段上がるたびに僕の心臓の音がどんどん大きくなるのを感じた


彼女の部屋の前を通り過ぎたら玄関だ


「…っし!


気合いを入れてインターホンを押そうとしたその時


中から言い争う声が聞こえてきた






「浮気して、その上孕んだ?


「てめえ何考えてんだ。


「俺がいない間に家にまであげて、アイツらにまで会わせて。

「ふざけんじゃねぇぞ



「ちょっと声が大きいよ…

彼女の声だった


「っせえ!で、どうすんだよ。産むのか?俺と終わって、そいつと籍でもいれんのか?



彼女と言い合う声は聞いたことがないが、会話の内容からして父親ではなさそうだ。でも…


確実に男だった。





「産まないよ。産まないし、それにあなたとも別れたくない!ちゃんと終わらせるから。


「相手は学生よ?どんなに頑張ってもあの子たちの父親になんてなれないし、私も彼との将来なんて考えたことないもん。







彼女は交際相手がいた。


あとから知った話では


そいつにも家庭があった


でも彼女はそれを知らなくて


転勤ばかりの仕事だと騙されていたようだ


要は彼女は二股をかけていたわけだ


僕は彼女にとって


1番でもなく

2番でもなく


ただの出来心の暇つぶしだった


と、彼女はそいつを説得していた


会ったのも一度きりで


一度きりの過ちで妊娠に至ったと


彼女は言った




僕は握りしめた花をその場に置き


彼女にメールを送った



「自爆した」


すぐさま返事は返ってきた


「自爆?どういうこと?

「それより早く会いたいね(ハート



彼女はそいつを説得しながらも、まだ僕を離そうとはしなかった


「そいつとお幸せに。


2通目のメールを送り、僕は彼女を受信拒否した。


彼女から何度も電話が鳴った


彼女はすぐ外で聞こえる呼び出し音でさすがに気付いたはずだ


でもまだその場から動かなかった


それでもまだ彼女の本心はここにあって


そいつと居るのにはわけがあるんだと信じたかった


彼女の電話を鳴らした


そいつは


「鳴ってるぞ。俺から言ってやろうか?

と言った


彼女は


「今はいい。後で自分で話すから。


と、電話には出なかった


そして、そいつは彼女に


「本当に俺が大事なのか見せてみろ


と、何かを求めた


すると彼女は無言のままだった



でも、窓越しに立てば分かるくらいの声で


彼女はそいつと事を始めた




ショックで手から携帯が落ちた


物音に気付いたそいつは


誰かいると勘ぐった


彼女はまさかと思ったんだろう


玄関から肩がはだけたまま飛び出してきた



それを僕は上の階の廊下から見ていた



彼女は


僕の知る彼女は居ないんだと思った


彼女に


「さようなら

と、メールを送り



彼女の連絡先を消した


彼女からもらって保護したメールも全部消した


僕の携帯の中から彼女を全て消した





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