思いつきで書いた物語と実話のMIX

フィクションとノンフィクション。目線を変えると景色も変わる

言葉にできない3-7

2019-09-06 22:57:00 | 日記

急いで帰宅し


私はすぐにシャワーを浴びた


あの日のことが鮮明に思い出され


今になって体の震えが止まらなくなった


私は自分の体が汚らわしいと


何度も何度も体をこすり洗った


それでも触れられたあの感覚を体は覚え


何度も鮮明に思い出される


私はベットに入り枕をキツく抱きしめながら眠りに落ちた




気がつくと朝が来ていた


いつも通りを装って出社する


今日もスタッフミーティングだ



こないだとは打って変わって淡々とミーティングは進行された



会議が中盤になるとアイツが口を開いた



「すんません。ここで新たな案の発表をさせていただきたいと思います。少々お時間をいただきます。



「昨日…ずっと考えていたのですが、いつも通りではクライアントや来場者も飽きます。新しい案を皆で考慮し、新しいことをやり始めたいと思います。



そういうと、アイツは私が話した内容と全く同じ内容を語り出し、それについてのメリット、またデメリットに対する対策を語り始めた



「…以上が新しく始めたいと思う内容の提案事項です。いかがでしょうか?



ひとしきりの沈黙の後 誰がが口を開いた


「ええやんか。やってみようや。



皆が賛同し、賞賛の拍手が湧いた



私は同じ空気の中、拍手をアイツに送るしか無かった






ミーティングが終わるとアイツは


後ろから私の肩を組み



「おおきに。お前のお陰でまた評価があがるわ。お礼にこないだの続きしてやろか?




鳥肌がたった



「気持ち悪い…




「は?なんか言うた?




「いえ…別に。よかったですね。頑張りましょうね。




「なんやつまらんやつやな。受け入れるんかいな。反抗も出来へんほど熱も入ってなかったんやないか。




私は吐き気がするほど拒絶反応を起こした。




殺意まで覚えた。







事務所に戻る途中


あの優しい人が声をかけてくれた。



「すごいやん。めっちゃええこと考えんねんな。斬新やで。



「え?…あの。



「分かってんねんよ。取られたんやろ。アイツのやりくちやねん。みんな大抵やられよんよ。でもミーティングに出てた人は大抵アイツの意見ちゃうことだけは分かってんねん。知らんふりしてやってんねん。アホやろ、アイツ。




こわばる体の緊張が解けた



久しぶりに笑った気がした







その後イベントは始まり



途中私の考えたことが実現したのを見たときはまた鳥肌がたった



気持ち悪い鳥肌じゃなく


満身創痍の鳥肌



やり甲斐って言葉が身にしみた瞬間だった



途中起きたトラブルには


アイツは自分発信じゃない発案の実現に戸惑っていた



すかさず優しい女の人が



「どうしたらええの?どうすべきか、もう考えてあんのやろ?



「…はい。あそこでこれをこうして…



「なるほどな。分かった。やってみるわ。



私と彼女の対応により


大きなトラブルとはならず


初めてのことだからと受け入れてもらえる程度のことで済んだ




アイツは自分が考えた案に対する対策が完全じゃなかったと批判され



思いつきで対応したと受け取られた私たちが客に賞賛された



私は満面の笑みでお礼を言った



そして



「私は…木戸久美子。これからもよろしくな。



「はい!


「木戸ちゃんでええからな。よろしく。



「はい。…木戸ちゃん…。よろしくお願いします。


私は彼女と


ぎこちない関西弁混じりの言葉を交わした。






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