流れる星は生きている (中公文庫) | |
藤原てい | |
中央公論新社 |
藤原てい先生の「流れる星は生きている」を読みました。
もの凄い作品です。鳥肌が立ちました。
本作品は終戦時に藤原てい先生自身が三児の母親として直面した、満州引き揚げの壮絶な体験をつづった実録小説です。
突然の敗戦で、満州を引き揚げ日本向けの船が出る釜山を目指す藤原一家。
しかし38度線で南北が分断されており、北朝鮮で足止めされます。
更に父親がソ連軍に連れ去られ、作者である母親と生後一か月の赤子、3歳と6歳の幼子が残されます。
極度の貧窮の中母親は歯を食いしばって頑張りますが、飢餓に苛まれ日々衰弱していく子供たち。
遂に母親は、子供たちを連れて徒歩で38度線を超えることを決意します。
赤子を背負い幼子たちの手を引き怒鳴りつけながら、母子は不眠不休で二昼夜もの道なき山道を進みます。
そして瀕死の状態でやっとたどり着いた38度線。しかしそこで見たのは武装したソ連兵と強固に閉じられたゲートでした。
絶望的な状況で、母子は無事日本に帰還することができるのか!・・・というお話です。
あまりに凄絶な描写の連続に、読むだけで呼吸が止まり冷汗が噴き出します。
「もう死んでもいいんだ」最後に振り絞る母親の叫び。うう・・目から汗が溢れだすでやんすよ。
極限状態での母子の強さに魂を揺さぶられつつ、現代の平和な日本に暮らすのって本当に恵まれた特権なんだなあなんてしみじみ感じ入った読書タイムでした!