ひのっき

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「28年目のハーフタイム」はマイアミの奇跡の表裏を描き切った名著

2018年05月21日 | 絵日記
28年目のハーフタイム (文春文庫)
金子達仁
文藝春秋

金子達仁先生の「28年目のハーフタイム」を読みました。
面白かったです。勉強になりました。
本書は1996年、アトランタオリンピックでのサッカー日本代表の栄光と崩壊を描くドキュメンタリーです。
当時はアジアでも中堅以下の戦力としか見られていなかったサッカー弱小国日本。
アジア予選を奇跡のような連勝で勝ち上がり、ついに悲願だったアトランタ五輪出場を決めます。
オリンピックの初戦は、絶対的世界王者ブラジル。
オッズが成り立たないレベルの圧倒的戦力差を覆し、日本はブラジルに見事勝利、「マイアミの奇跡」を起こします。
世界を驚かせ、日本中を熱狂の渦に巻き込んだこの試合はしかし、日本代表チーム完全崩壊の序章でもありました。

キャプテン前園の苦悩、川口能活の咆哮、西野監督の激高と中田英寿の視点、そして天才小倉隆史の悲劇。
オリンピックという栄光の舞台で脆くも自壊せざるを得なかった若き日本代表チームの状況を、様々な視点から活き活きと描き出します。

ワールドカップ直前だからこそあらためて読みたい、22年前の熱狂の表裏を鮮やかに描き切った名著です。