事前に必要なこと
- 本人と家族の意向を十分に把握しておく
- 施設の方針を職員全員で共有する
- 施設ができることの範囲を本人と家族に了解してもらう
可能な医療行為の範囲、土日や夜間の勤務体制、緊急時の対応や連絡方法など
日常のケアにおいて
- バイタルサインの確認と適切な処置
- 身体の清潔の維持(特に排泄ケア)
本人家族の希望に沿うケアを提供できるように - 適切な水分と栄養補給
- 疼痛苦痛の緩和、薬の効き具合の観察
身体変化の観察ポイント
- 疲労感や虚弱感を訴えることが多い
- 体温が低下し手足が蒼白で冷たくなる。ただし、電気毛布などでの保温は不要
- 心拍数が減少したり不規則になる
- 呼吸が不規則で深さも乱れ、苦痛に見える呼吸になる。呼吸が浅くなると脳が低酸素状態になるため、実際に苦痛はそれほど感じない。状況によっては医療職から家族に説明してもらう
- 血圧は低下する
- 意識状態は徐々に低下する。しかし、最後まで意識がしっかりしている場合があるので、言動には注意する。特に聴覚は最後まで残っているとされる
- 死前喘鳴が現れる。痰がからまっているような音がして苦しそうだが、本人はそれほど苦痛を感じていない。実際、吸引できない場所でからんでいることも
- 食事量や水分量が減る。口腔内が乾燥するため、保湿を心がけるとともに、誤嚥に注意する
本人の「食べたい思い」と家族の「食べさせたい思い」に心を配る - 尿量が少なくなり色が濃くなる
疼痛緩和のためのモルヒネは便秘になる傾向が高い
急激な排泄(利尿剤や浣腸、下剤など)は急変につながることがあるので、使用時は注意する - 睡眠リズムが崩れる。一日中うとうとしていたり、夜も寝ずにいたりする
- 痩せることによる骨の突出や皮膚のたるみ、浮腫、失禁などにより、褥瘡のリスクが高まる
メンタルケアの観察ポイント
- 死の恐怖、孤独感、不安感、苦痛の緩和を大切に
不安などを暴力や暴言で表現してしまう人もいる。その場合の対処法は事前に施設や職員間で検討しておく - コミュニケーションを重視する。死にたいとの訴えにどう対応するか、考えておく。
「死にたい」との訴えには、まずは死にたい理由を聞いてみること。とにかく話を聞いて欲しいという思いを大切にすること。「死にたいなんて言わないで」は逆効果 - プライバシーの保護に注意。家族だからこそ、互いに知られたくないことがある
医療職・他職種との連携
- 職員や家族が「死」への理解ができているか。死に対する誤解をなくすように
- 心身の変化の理解ができているか。職員と家族で状況を共有できるように
- 緊急時の対応や医療職への適切な報告ができるか確認しておく。医療的報告は、正確に。あやふや・中途半端な専門用語を使わないこと。分からないことは分からない!
- 身体の状態変化が早く、指示内容はどんどん変わるので、変更内容を周知徹底できるように
- チームの一員としての連携をとるため、基本的な医学的知識は必要
- 看取りケアは職員の心身も疲弊するので、通常以上の連携や協力が必要
家族への支援のポイント
- 身体的精神的負担を軽減できるように
- 家族の代わりの立場に立ってはいけない。家族関係への支援は必要でも、トラブルに立ち入ったり解決しようとしないこと
- 家族の意思決定を誘導するような言動に注意
- 家族が頑張れるための支援を心がける。家族が頑張った、という気持ちを持って、最後に後悔しないように。頑張ったことで看取った満足感を得ることも。ただし、心身の疲労で倒れてしまわないように注意する
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