何か、おそろしくとるにたらぬ些細な現実の出来事が過去につばさを広げさせ甦らせるまでじっと待っていなくてはならない。
(D・マカーシー)
この特異な精神状態は彼の生きた時代の社会ではシャーマンの憑依にのみ見出される現象である。外界が消滅し意識が寂漠として透徹するシャーマニックな喪我において残されているのは詩人の生命だけである。
(大室幹雄)
彼(ランボー)が家を飛び出さなかったというのも自分自身に向かって加えていた精神的な労作こそ何ものにも増して重大であると判断したからであり、どんな口実を以ってしてもそれを中断したくなかったからである。
(J・イザンバール)
……絶体絶命の窮地に追いつめられて、かれの全存在が反応した。かれはもはや解くべき問いもなく、敵に立ち向かう自己もないことを感じた。かれの自己が、かれの知性が、かれの全存在が問いの中に注ぎ込まれた。言いかえれば、かれはいまや問いそのものとなった。問う者と問いの区別、自己と非自己の区別は消えてただ一つの未分の「不知なるもの」があるのみであった。この「不知なるもの」の中に、かれはとけ入った。
(鈴木大拙)
超能力を扱うには、まず、それにふさわしい精神の安定と感性の安定を得ることが必要だ、心の中からあらゆる日常的世俗的雑念を払いのけ、さざ波一つない森の中の水面のように、心を静寂そのものに保ち、透明な安らぎを得なければならない。精神を完全に浄化するのだ。精神を完全に浄化すれば、とぎすまされた鋭敏な感受性を保ちながら、それが外界からいささかも乱されることがないという状態に入ることができる。
(M・ミッチェル)
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