アベノミクスを筆頭に、経済回復を目指す安倍政権。しかし、早稲田大学国際教養学部教授の池田清彦氏は、安倍政権は国民を大企業の道具にしようとしているという。
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私が予言したように、アベノミクスは早々と馬脚を現して、庶民におこぼれが到達する前につかの間の風船はしぼんで、元のもくあみならいい方で、前よりひどくなると思う。安倍政権の考えていることは、国民の大半を権力のいいなりにする国民90%奴隷化政策に違いない。最終目標は国民をコントロールし易くする憲法改悪。そのための撒き餌がアベノミクスということなのだろうが得するのは一部の投資家と海外ファンドだけになりそうだ。
世界は、人々をなるべく安い賃金でこき使って、多国籍企業の儲けを最大化するという、古典的な資本主義に逆戻りしつつあるみたいだ。そのためには安い労働力が次々に出現する必要があるから少子化は困るということなのだ。世界人口が10億人ほどに減少し、日本の人口も3000万人ほどに減れば、人一人の価値は上昇し、人々は今よりはるかに幸福になるだろうに。マクロに見れば騙されて子どもを沢山作れば作るほど、当の子どもたちは不幸になる。
安倍政権は、国家は国民を幸せにするための道具だということをすっかり忘れて、国民を大企業の道具にしたくてたまらないみたいだ。最近、従業員が仕事で発明した新技術の特許権を、従業員から企業に移す法律改悪を、閣議決定したとのニュースを聞いて、さもありなんと納得した。安倍政権のやることはどんどん露骨になってきた。原発再稼働も、今回の話も、大企業の儲けを最大化するためなら、何でもやりますよということらしい。
しかし、前に少し触れた『知の逆転』の中で、ミンスキー(人工知能の父)もワトソン(DNA構造の発見者)も、革命的な知見は集団ではなく個人によってのみもたらされると主張しているように、個人の発明力を大切にしない企業は結果的に技術開発競争に敗れて衰退すると思う。それに才能に溢れた若者は自分の発明に特許権を認めてくれない日本企業は最初から見限って、個人に特許権が属するアメリカの企業に行ってしまうだろう。原発再稼働も特許権の帰属変更も、目先の利益しか考えず、国家百年の計については何も考えていない愚策だ。政治家も大企業の経営者もつくづくセコくなったと思う。