オーストラリアのフリンダーズ大学研究チームは5日、英科学誌ネイチャーで、豪州や中国、北米の沖合など世界各地の海底の大陸棚地下に淡水状態の巨大な帯水層が存在することを確認したと発表した。塩分濃度が極めて低いため、低コストで飲み水に活用できるとみられ、将来的には深刻化する水不足解消の一助になる可能性がある。
これまでも海底下の帯水層が見つかることはあったが、局地的な特殊例と考えられてきた。今回、石油探査などで実施された海底水調査データを広範に分析した結果、「至ってありふれた現象」(ビンセント・ポスト博士)と確認した。技術的には、海岸付近から深い井戸を掘れば採水できるという。
帯水層は雨水が地下に染み込んで形成。約2万年前に海水面が上昇を始めた後は海底下に沈んだ形になったが、粘土に保護され、真水に近い状態が保たれてきた。帯水の埋蔵量は世界全体で50万立方キロメートルと、人類が20世紀にくみ上げた地下水量の数百倍の規模があるとされる。