近畿日本鉄道系の旅館 奈良万葉若草の宿三笠
【渡義人、長野佑介】ホテルなどで相次いで発覚している偽装表示問題で、近畿日本鉄道系の旅館「奈良万葉若草の宿三笠」(奈良市)が「和牛」と表記していた豪州産牛の成型肉に、食物アレルギー症状を引き起こす物質が含まれ、子供にも提供していたことがわかった。調理人のほぼ全員が成型肉の使用を認識していたことも判明。組織ぐるみで偽装していた疑いが強まっている。
【写真】「幼児一名、乳製品のアレルギー」などと記された予約台帳(画像の一部を加工しています)
三笠によると、納入時の箱に貼られた成型肉を示すラベル(縦5センチ、横7・5センチ)には「原材料の一部に乳、大豆、小麦を含む」と明示されていた。成型肉は様々な部位をつなぎ合わせた肉で、加工過程で使われたとみられる。
三笠は9月以降、成型肉を使った「和牛朴葉(ほおば)焼き」を64人に、10月以降は「お子様ランチ」を「バンビ御膳」に変更し、その一品を「和牛ステーキ」として32人に提供していた。「和牛」表示は9月に就任した料理長の発案だった。
近鉄系ホテル、大半の返金応じず 偽装表示
近畿日本鉄道(本社・大阪市)系の九つのホテルや旅館のレストランなどでメニュー表示と食材が異なっていた問題で、対象のホテルや運営会社には1日、利用客らの問い合わせが相次いだ。偽装表示は20品目以上で、利用者は少なくとも39万9千人に上る。修学旅行生らにブラジル産鶏肉を「大和肉鶏」として提供していたことも判明。近鉄側は「十分なサービスを提供した」として大半の返金に応じない方針で、批判の声も上がっている。
9施設を運営していたのは、近鉄子会社の近鉄旅館システムズと近鉄ホテルシステムズ。シェラトン都ホテル大阪は2008年12月以降、ランチバイキングで牛脂注入肉を「牛ビーフステーキ」と表示し、18万7千人余りに提供するなどした。表示と異なるブラジル産鶏肉を提供したのは、飲食店や宿泊施設を格付けする「ミシュランガイド関西2014」にも掲載された「奈良万葉若草の宿三笠」。11年4月以降、修学旅行生1万3700人に出された。
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