今年から年賀状を作るのをやめた。夫が逝った年と、その次の年も喪中を延長すると再び欠礼はがきを出した。
(そんな人はいないとびっくりされた)
そのころから、「もう年賀状はやめよう」と思った。
これまでは、年賀状を作るのは私だった。パソコンやワープロで数パターンを作って夫に「どれがいい?」と選んでもらった。
仕事を辞めてからはもっぱら旅行の写真を切手ぐらいの大きさにして数枚載せ、二人の近況報告だった。
最初の一枚を作ると「おっ、この写真よりこっちの風景がいい」とか、「雰囲気が伝わればいいのでもっと写真を小さくして・・・」というので、結局、写真は切手大になってしまう。
「なんかごちゃごちゃしているよ」と私がいうと 「儀礼的なものよりいいかも・・・」
そう、たいていの方は新年の挨拶状でくれるのだが、我が家は前年の近況報告なのだ。
差出人の名前も夫の脇にひかえめに名前だけ入れるパターンではない。
苗字は夫だけではなく、私の方も苗字を入れ二つ並べた。
わが家はずっと共稼ぎだった。
子どもは産休明けから保育園に預けた。
一時的に夫婦連名ではなく、別々に年賀状を作った年もあった。
すると年賀状に私の名前だけでは、行かず後家の独身かと思われてしまった。
私は公務員だったので職場は3年、長くても7,8年で変わる。
いちいち既婚と説明しなくてもいいよう連名に戻した。
夫が逝って、人との付き合いが少ないほうが気楽だと知った。
人の記憶から、自分の存在を薄れさせたい。
夫のいない生活は余生なのだから。ひっそりと暮らしたいのだ。