Takekida's log

千里の道も一歩から

リーダーシップとカウンセリングの共通項

2015-07-11 21:52:01 | Books
久しぶりに日が差した1日でした。今週末は週末MBAの2週目。
いまさらながら勉強の意欲があってやるのとやらされるのというのはかなり意識が違うと思います。あと生徒が参加型の授業であるというのもあるのかなあと。大学時代は受け身一辺倒でしたが後悔後先立たず。少年老い易く学成り難しとはよく言ったものです。であるからこそ常に学ぶ姿勢が必要なのでしょう。

カウンセリングのすすめ方―あなたもカウンセラー (有斐閣新書)
クリエーター情報なし
有斐閣


課題図書の一つでした。やや臨床心理の専門的な本ではありますがカウンセリングは家族内及び上司と部下の関係というのに近いものがあるわけでカウンセラーが接するような状況までは行かなくともそれなりに役に立ちそうな内容です。

カウンセリングというとなにか人生相談のように忠告や助言をするというのが頭に浮かんでしまうのですがこの本で指摘されているようにカウンセリングの大きな要素はまず相手の話を聞くということです。なので初期段階としては話や相槌を打つだけというのも珍しくないようです。最終的なゴールは相談者が自己理解を深め意味ある意思決定をしていくということにあるわけで精神分析や性格判断といったものとも違うものです。
カウンセリングの発展のモデルとしてイーガンの発達的モデルというものがあり、4つの段階が考えられています。

0.来談者と共にいる+心が通いあえる状態にいる
1.カウンセラーが来談者に対して尊敬と共感をこめて反応する
  相談者は自己の感情、行動、経験を探索できる
2.自己探索している間に示した資料を統合し、共感的な理解を示し、みずからの経験を分かち合う
 違うフレームワークでの見方をさせる 
 来談者は自信を大きな視点から見直して自分の利用していなかった資質、環境資源を見出す
3.新しい理解に基づいた行為を促進する

0に関してはまずは来談者に関心を持つことですが意外に難しいものだと思います。人間としてはこういうものだみたいな思い込みというのはなかなか抜けるものではないので自分と異質なものというのは取り込むのではなく排除してしまう癖があるからです。飲み会の会話なんか聞いていて面白いのが趣味とかの話とかになったりすると話がかみ合わないことが多いこと。趣味というのは自身の嗜好の最たるものなので関係がないと思った瞬間に興味をなくしてしまい会話が成立しないことも多いのだがカウンセリングでこれをやってしまうとNGです。であるからして何事にも興味を持ってやっていることを尊重できるという人間の幅の広さ、その人の身になって考えることのできる感情移入の力というのが必要なのだと思います。 それに加え頷きや目配り、体の向きといった非言語的なコミュニケ^ションも重要になってきます。意外だったのが沈黙に対する処理:基本的には会話はキャッチボールなのでコンスタントに続くのが良いとばかり思っていたが本書で記されているように治療的な沈黙もあるとのこと。確かに会話だけが続くと考察を入れる時間が無くなってしまうのは確かである局面から一方的な展開になってしまうことは懸念。そのためにも一旦、間をとって余韻を利用する(本では句読点と表現)というのはうまいやり方だと思います。振り返ってみれば上司や友人から言われたことなど会話が終わった時に印象的だった言葉が頭の中でこだまのように響いて自省し、次の行動を起こすきっかけになるということもあるそう。うまく沈黙を利用することが重要だと思われます。

本書で言われている「聞く」という姿勢を体現するというのは言うのは簡単でも実施するのは難しいことで特に自身が少し興味ないと感じるような話題に関しても対応できるように普段から訓練する必要があるし、そういう態度を取っていると自分が思っていても他人がどのように感じるかというのはかなり差があるものだと思うので身近に話せる人(家族など)からフィードバックを受けて訓練することも重要だと思います。

1以降に関してはカウンセラーの更なる技術が求められるところかと思います。来談者の感情を強く明確に言い換えてやる「反映」や言っていることを繰り返してやる再述は相談者の感情の立場に立ってという意味で必須なものだと感じます。さらに自分もその立場ならどうするという視点を付け加えることで共感だけでなく新たな視野を与え、問題に対して再考させる良い機会を与えるのではないかと推測。 一方で来談者の感情、行動の矛盾に気づかせる「対決」というのは印象的だった。実際、過剰なダイエットのように自己の行動と結果というのが一致しない行動というのは傍から見ると意外にも多いものです。視点を変えるというよりはズバッと指摘する手法なので反発も予想されるがこれまた視点を変えるという点ではここまで実施していかないとよりそうだけで終わってしまう危険性あり。ただこれはある程度心を開いてからでないと逆効果になるものなのでしょう。

なかなか初対面で心を開くというのは難しいものですがまずは自らが心を開けないと何ともならないのがカウンセリングなのだと感じました。カウンセラーが相談者と信頼関係を築けるかはカウンセラーの性格、粘り強さといった素地の影響も大きいことが想像されます。受け止めることのできる人間としての懐の深さ、視点を変えて現象を観察、分析できる能力が必要になってくる可能性が高く、こちらも一定の経験を積むことのよってある程度は成長させることが可能だとは思うので成長する意欲があるかどうかというところまで含めて覚悟を決める必要はあると思います。不思議とこういう素養というのはリーダーシップとして求められるDiversityに対応できる人間の幅というのと共通項がありました。
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2 Comments

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カウンセリング (まっつん)
2015-07-20 22:38:25
カウンセリングは技術が求められますが、人は接触回数で親近感が増すということもあります。病院でも学校でもカウンセラーを置こうという動きがありますが、クライアントは普段接している担当医、学校の担任に心を開きやすいと思います。担当医や学校の担任に、人の話をゆっくり聞くゆとりある時間を作ることも必要だと感じます。
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信頼関係 (たけきだ)
2015-07-21 23:45:31
全くその通りだと思います。普段から信頼関係が気づけていればいくら問題が起こっても解決は早いのだと思いますが・・・ 逆に壁が出来てしまっていると大変ですね。
やっぱ挨拶をするだとか人の話を聞くという気遣う思いは単純なことなのですが非常に重要だと感じます。
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