大河の一滴 (幻冬舎文庫) (日本語) 文庫 – 1999/3/1
五木 寛之 (著)
五木先生の考え方が凝縮された「大河の一滴」。まさにコロナ禍で苦しい状況の社会情勢にピッタリなのか書店にも特集して置かれており、手に取ってみました。人生観として「人生は苦痛に満ちている」 =人間の人生は不幸が当たり前、それを嘆くのではなく、幸せな事が起きた時にこそ、感謝すべき、という考え方や、世の中一般では良しとされている事が必ずしも万人にいいとは限らない、という考え が述べられており、とやかくいろいろな情報が錯綜して他人の人生がうらやましく感じられてしまうこの世の中での基本的な考え方を示してくれる本です。 背景として筆者が戦時にギリギリのところを生き延びてきた経験というのが根底になるのだと思いますが書かれているようなすさまじい経験は戦時ならではで残念ながらわれらは現時点では経験することはできません。 伝承には限界がありますがそれでもなおこういった形で言説が残っているのは参考になりました。
「地獄は一定(いちじょう)」というのは歎異抄に出てくるフレーズで人間は欲望や煩悩のために地獄に落ちるのが基本であるという考え方で上記の考え方を代弁できるものとして取り上げられています。人の親切や正直さ、助け合いというのは地獄の中に挿す極楽のようなものと考えておけば確かに心は楽になりそうです。
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