鼻緒匠 はな壱 ~鼻緒職人の世界~

全国的に鼻緒を作る職人の数は減少の一途を辿っています。鼻緒職人の仕事内容や鼻緒についてなどをブログに載せていきます。

からむし織 MADE IN 福島県昭和村

2018年10月19日 14時54分33秒 | 和装履物
今日は「からむし織」をご紹介したいと思います。

からむし織は苧麻(ちょま)と呼ばれるイラクサ科の多年草を原材料として織り上げられた織物のことを言います。
その原材料となる苧麻は福島県の昭和村で栽培しており、からむし織はその地域で古くから代々地場産業の一つとして技術が継承されてきました。
しかし、その技術を有する方々の高齢化が進み、昭和村では「織姫制度」をスタートさせました。
ネーミングが可愛いですよね
織姫制度とは、からむし織に興味のある若者を全国から集い、苧麻の栽培から織の技術を約11カ月間かけて習得するとてもステキな制度なのです。
私たちの業界も高齢化が進んでおり、後継者の育成に日夜取り組んでいる最中なので、お気持ちは大変良くわかります。

さて、その「からむし織」をもっと皆さんに知っていただくため、10月初旬に行われました「きものサローネin日本橋」に出店しておりました。
私も行ってきました。私は毎年行っているのですが、今回も大盛況でした。



実は今から2年程前に、その織姫制度に参加している方から、からむし織での鼻緒製作のご依頼を頂きました。
下の写真の下駄に挿げてある鼻緒が弊社でお作りしました鼻緒です。
白木の会津桐との相性もバッチリです



皆さんも「からむし織」をどこかでお目にかかる機会がありましたら、織姫たちのことを少し思い出してみてくださいね


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東京都足立区関原3-8-7
鼻緒匠 はな壱
03-3880-1584
URL http://hanao-hanaichi.com
Mail contact@hanao-hanaichi.com
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草履・鼻緒 修理・お直し 可否について

2018年10月08日 09時09分29秒 | 和装履物
商店街

昭和の古き良き時代を思い起こさせる少し懐かしい響きです。
そこには数多くの商店が立ち並び、夕方になると連日多くの方が買い物に足を運びました。
弊社がある東京都足立区には今でも商店街がいくつか残っています。
しかし、昭和の頃に比べますとだいぶ活気は無くなりました。

その商店街の中には下駄屋さんが必ずあり、和装履物全般を取り扱い、
販売だけではなく鼻緒の挿げ替えや修理なども受けてくれていました。
そんな下駄屋さんは和装履物の需要低下や量販店の進出などにより、時代と共に閉店していきました。
弊社がある「関原三丁目商店街」にも数年前までは下駄屋さんが数件ありましたが、今は1件もありません

そんなある日のこと、一人のお客様が弊社を訪ねてきて、和装履物の修理をやってもらえないかとの相談を受けました。
本業は鼻緒の製造なのですが、その技術を駆使して修理やお直しなどは以前から承っていました。
近くに下駄屋さんがなくなると、やはり困ってしまう方も実際にいらっしゃいますので、
弊社では数年前から和装履物の修理やお直しを積極的にお受けするようにしております。

前置きが長くなりましたが、そこで草履や鼻緒の修理可否について少し書かせていただきたいと思います。

まずは和装履物の素材についてです。
素材は大きく分けて合成皮革・本革・佐賀錦に分かれます。
その中で最も修理の難しいものが合成皮革です。
下の写真をご覧ください。





これは鼻緒の裏側を撮影したものです。
ご覧のようにボロボロに剥がれ落ちてしまっています。
このような現象を「加水分解」と言います。
加水分解は保管の状態にも因りますが、製造されてから3年~5年位から出ると言われています。
この加水分解が起きてしまうと修理はまず難しくなります。

また、画像には映ってないのですが、台も同素材(合成皮革)が使われていることが多く、
一見キレイに見えていても、台にも加水分解がまず起きています。
仮に加水分解が起きてしまった状態で修理をしますと、またすぐに剥がれたりしますので、まさにイタチごっこになってしまいます。

以上の理由から弊社では合成皮革の修理は理由をお話ししたうえで、
基本的にはお断りをさせていただきまして、新しい履物をお買い求めいただく事をおススメしております。
その他の本革や佐賀錦は10年近くは変わらずお履きいただくことが可能な場合が多くございます。

和装履物はお着物をお召しになる際に履かれることが多いと思います。
お着物をお召しになる予定があり、久しぶりに下駄箱から出したらボロボロの状態だった
このような経験をされた方も多いのではないでしょうか。

和装履物も基本的には人が作ったものなので、どうしても商品としての寿命がございます。
そのことを是非ご理解いただきまして、日本伝統の和装をお楽しみいただきたいと思います。


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