鼻緒匠 はな壱 ~鼻緒職人の世界~

全国的に鼻緒を作る職人の数は減少の一途を辿っています。鼻緒職人の仕事内容や鼻緒についてなどをブログに載せていきます。

裁断

2013年02月26日 23時20分26秒 | コスメ・ファッション

日頃使っている断ち包丁断ち棒を紹介します。

まずは断ち包丁です。

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はな壱では3本の断ち包丁を用途によって使い分けています。真ん中と右は刃金入りの断ち包丁、左はOLFA社製の断ち包丁です。いずれの断ち包丁も使っていくうちに、段々と切れ味が悪くなっていきます。その際は砥石で研ぎながら使います。

次は断ち棒です。

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断ち棒は生地等を裁断するときに使います。棒の先に書かれてある数字の単位は分(ぶ)。和装履物の業界は大工さんと同じで、尺・寸・分・厘の単位を今でも使っています。日常では聞きなれない単位ですが尺・寸・分・厘も十進法です。

1尺≒30㎝、1寸≒3㎝、1分≒3㎜、1厘≒0.3㎜。

一般的な女性用鼻緒の長さが1尺2寸なので約36㎝になります。

昔話に出てくる「一寸法師」の身長は約3㎝ということになります。お椀に乗り、旅に出かけたのもうなずけます

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はな壱 ~仕事場~

2013年02月20日 23時24分14秒 | アート・文化

日頃、鼻緒の製造をしている仕事場を紹介します。

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都内の足立区で製造しています。広さは25畳くらいのワンフロア。足立区と言えば下町のイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。今でも周囲に駄菓子屋があり、買い物籠を持った奥様方が買い物をする姿をたまに見かけます

元々、履物関係の業者や職人さん達は台東区浅草の花川戸周辺に集中していました。そのうち数名の職人さん達が戦時中の空襲から逃れるため、今の足立区に移り住んだと先人から聞いたことがあります。今でも足立区内には数名の鼻緒職人や台職人がおられます。

次に「はな壱で大活躍の工業用ミシンです。

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JUKI(日本製)の工業用ミシンです。パワー・スピードは勿論のこと、静寂性も問題ありません。さすが日本製このミシンは中古で購入しましたが、状態はとても良好です。毎日、ミシン油と愛情を注いで可愛がっています他にも数台の工業用ミシンがありますが、かなりの年代物です。近いうちに寿命を迎えそうな感じですが、先立つものが無いので、もう少し頑張ってほしいです

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台の職人

2013年02月18日 22時12分09秒 | コスメ・ファッション

以前、書いたように草履は鼻緒(鼻緒職人)と台(台職人)、それらを付ける(挿げ職人)職人達によって作られているのですが、今日は私の知っている範囲で台について書きたいと思います。

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台は専門の職人さんによって作られています。台にも色々と種類があります。一枚重ね2枚重ね3枚重ねなどなど・・・。台はミルフィーユのように幾重にも重ねられて出来ています重ねが多くなればなるほど職人の手間と技術が必要となるため値段的にも高くなります

上の写真をご覧いただくと金色に輝く薄い2枚の層が見えると思います。厚さにして2~3㍉。この金色の層を通称「ペラ」と言います。由来はペラペラと薄いから?かなと勝手に私は思い込んでいます

上の写真は3枚重ね2枚ペラ入りの合計5枚重ね。今売られている中では高級な台になります。

皆さんは台の中身をご存知ですか?

一般的にはコルクで出来ています。コルクを始めから数枚に切り分け、周りに革や合皮などを巻きつけます。この作業を通称「巻き」と呼び、巻き終えたコルクを重ねていくと台が出来上がります

知り合いの台職人さんに教えていただいた良い台の見分け方をご紹介します。

横から見て重ねにズレがないこと

巻きに歪みがないこと

何枚重ねであっても「巻き」の継ぎ目(台に先端)がぴったり縦一直線に並んでいること

特には熟練を要することは勿論のこと、職人さんの妥協を許さない心意気が伺えます。是非草履をお買い求めいただく時は以上のポイントをご覧いただきたいと思います。

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鼻緒の製造工程

2013年02月12日 23時12分55秒 | インポート

鼻緒の製造工程を写真で紹介したいと思います。

生地の裁断

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一枚一枚、鼻緒の種類によって決められている幅(断ち分)で裁断します。プロの裁断者は0.1㍉の誤差も許さないレベルです

縫製作業(工業用ミシン)

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工業用ミシンによる縫製作業です。生地の厚さや種類等により、色々と工夫しながら作業します。家庭用ミシンと違い、パワーやスピードがあるので慣れるまでは少し怖い思いをするかもしれません・・・

縫製作業完了

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複数回ミシン掛けをすることにより、生地を筒状に仕上げます。この段階で捻じれていると最後の仕上げが上手くいきません。ミシン掛けをする人の腕の見せ所です「はな壱」では生地を筒状に仕上げたものをと呼んでいます。

引き通し(芯通し)

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ミシン掛けで筒状になった矢の中に、綿や厚紙、麻ひも等を入れる工程を「引き通し」や「芯通し」などと言います。引き通しは、履き心地を左右する大事な工程です。鼻緒の種類や太さによって中に入れる物が変わるため、覚えるまでには少し時間がかかります。

坪付け

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引き通しを終えた矢の中央に坪を付けます。坪とは、足の親指と足の人差し指の間で草履を支える大事なパーツです。「前坪」や「壺」などと言われることもあります。

坪付け完了

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坪付けが完了しました。坪付けは全て縫い針を使った手作業です。坪付けの注意点は糸に緩みが無いようにきつめに縫い付けることただこれだけです

曲げ(仕上げ)

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いよいよ、ここからが仕上げ工程です。坪付けが終わった矢を先の尖った金属の棒に引っ掛けて曲げます。この「曲げ」は熟練を要する大事な工程です。曲げる角度や力加減などなど。
鼻緒全体のフォルムを決める、気の抜けない工程なのです・・・

曲げ完了

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曲げ工程が終わりました。これで鼻緒が出来上がりました

前巻き(総仕上げ)

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曲げ終わった鼻緒の坪に白い紙を巻きつけます。これで鼻緒の製造工程は全て終了です

今回ご紹介したように鼻緒の製造工程のほとんどが手作業です。機械化されている今日ですが、未だに昔ながらのやり方を継承しています。写真では説明出来ない細かな工程も多々ありますが、何となくご理解いただけたのではないでしょうか。今回ご紹介しました鼻緒の製造工程は「はな壱」内で全て出来ます。何かご質問等がありましたら、是非コメントいただきたいと思います。

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鼻緒の生地

2013年02月07日 04時18分18秒 | コスメ・ファッション

今日は鼻緒の生地について書きたいと思います。

生地には鼻緒に加工可能なものと不可能なものがあります。ほとんど可能なので・・・逆に不可能な(向かない)ものを言うと、極端に厚い生地(5mm以上)や薄すぎる生地(0.01mmとか)、バリバリに固すぎる生地などです。それ以外の生地であれば加工は可能であると思います。

では、実際に現在加工している代表的な生地をご紹介します。牛革・合成皮革・帯地・佐賀錦・本天などなど。草履をご覧になったことのある方なら、何となく想像できますよね!

本天と思った、そこのあなた!あまり聞きなれない生地ですよね!本天は鼻緒専用の生地です。従来、下駄用鼻緒の生地として使われていましたが、本天の柔らかさや耐久性、色の豊富さなどから、近年草履の鼻緒の生地として使われるようになりました。

下駄というと夏場に素足で履くイメージがありますよね~?そうなんです本天は素足で履いても痛くない生地なので、履きやすさは実証済み

本天についても、またまた奥が深いので後日にしたいと思います。

では次回をお楽しみに

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