鼻緒匠 はな壱 ~鼻緒職人の世界~

全国的に鼻緒を作る職人の数は減少の一途を辿っています。鼻緒職人の仕事内容や鼻緒についてなどをブログに載せていきます。

鼻緒劣化の修理 ~加水分解~ 

2020年11月19日 10時00分58秒 | 和装履物
いつも、はな壱のブログをご覧いただきありがとうございます。

今日は加水分解でボロボロになってしまった鼻緒の修理をご紹介します!
お母さまが成人式の時に履かれた草履を
来年成人式を迎えるお嬢様に履かせたいとのことで、
今回の修理を承りました。

まずは写真でご覧ください。

前坪の箇所が加水分解でボロボロになっていますね
加水分解とは合皮が経年劣化しておこる症状のことをいいます。
前坪以外に鼻緒の裏側もボロボロになっていました。
これでは、もう履くことはできません。

この草履は今から30年近く前の草履だと思います。
ちょうどその頃は、合皮の草履が主流で大量に出回っていました。
草履は着物と同時に購入されることが多いと思います。
着物はしっかりと管理しておけば、数十年経っても良い状態を保つことは可能です。
しかし、草履は素材が化学繊維であったり、接着剤を所々に使用していたりと
構造が着物とは全く違い、経年による劣化が起きやすいのです。

草履の素材が本革でしたら、劣化は起きにくいですが、
それでも乾燥によるひび割れなどは避けられません

合皮は3~5年で加水分解の症状が出やすいと言われています。
本革でしたら10年ほどは問題ないかと思います。

では、修理をしていきましょう
まずは台から鼻緒を抜きます。


続いて抜いた鼻緒から縫製されていた糸を一本一本丁寧に解いて、
上に使われていた生地だけを取り出します。
これが結構至難の業でして、失敗が許されない大変緊張する作業です。


鼻緒の状態で数十年曲がった状態になっていましたので、
このままでは次の作業であるミシン縫製ができません。
ゆっくりアイロンをかけて、生地を少しづつ真っすぐな状態に戻します。


ここまでくれば、あとはゆっくりとミシン縫製をして
いつも通り鼻緒を作っていきます。


今回も無事に鼻緒を作り変えることができました。
あとは台に戻して修理完成です




いかがでしょうか
劣化した鼻緒をまったく違う鼻緒に交換してしまうお店は多いと思いますが、
はな壱では、できる限り元の状態に戻してあげたいと思っています。
今回のような草履の場合、バッグがセットになっていることが多く、
鼻緒だけまったく違うものに変えてしまうと、見た感じに違和感が出てしまいます

はな壱では積極的に鼻緒の修理を承っております
お気軽にお問い合わせくださいませ。

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東京都足立区関原3-8-7
鼻緒匠 はな壱
03-3880-1584
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