<ここまでの話>
【第1部】
「<第1話> から <第24話>までのリンク」
【第2部】
「<第25話> から <第35話>までのリンク」
「<第36話>敵艦接近!」
「<第37話>被弾!そして・・」
「<第38話>MIA・・」
「<第39話>信頼!」
「<第40話>絹のスカーフ?」
「<第41話>ノーマルスーツは9号?」
【ガンダム外伝を楽しむための補講】
「補講(4)MS運用艦ヒポグリフ」
------------------------------------------------------------------------------
グリフィンから少し離れた地点で、ブースターをフルオープンにする
強いGが身体にかかり、今更ながらこいつがトンでもないジャジャ馬であることを
再認識する・・
(さて、ビーム砲の反動を確認しておくか・・)
と、エネルギーチャージを開始した・・
サブパネルに表示された左右のゲージが上昇する・・
50・・ 60・・ 70・・ 80・・ 90・・ もどかしい・・
やはり戦闘時では、このチャージ速度は大きなリスクだ・・
100・・
ブースターをオフにして慣性飛行に入り、ビーム砲のトリガーを引いた!
右舷砲から鮮やかなオレンジ色の帯が前方に飛び出すが、
ちょうどブーメランの形のように線ではなく面を構成しビームが飛散した・・
機体は右舷に回り込むように回転を始めていた、かなり早い回転だ・・
更に当初からの癖も残っていて、上方への回転も加わり
360度くるくると回転してしまっている・・
右舷前方のアポジモーターを吹かし機体の体制を安定させた
(なるほど・・ これでは目標にヒットしても
ビームの威力が半減どころか効果が無いかもしれんな・・)
空になった右舷砲のレンジにエネルギーが充填されつつあるが
特に過充填の影響は感じられない・・
(こちらは問題がないか・・)
切り替えレバーを左舷砲に切り替え、今度はブースターをオンにしトリガーを引く・・
今度は進行方向が左方に5度ほどズレ、しなったムチのような形でビームが飛ぶ・・
上方への跳ね上がりは2連装同時に比べ、かなり少ない感覚だ・・
(約5度か・・ これはちょいと難しいな・・)
技術者が連装同時発射にした理由が、理解できた
しかし、今はこの補正の感覚をつかんでおかねばならない・・
その後、何度か試射し10数回の試射で、どうにか槍のように一直線に伸びる
ビームを撃つ事ができるようになっていた・・
(おう! やったね♪)
というか話し相手(褒めてくれる人)が居ないのは寂しい物である・・
(さて・・ 地球の衛星軌道上に向かうか!)
私は再度ブースターをオンにした・・
軌道護衛艦隊は低軌道艦隊と高軌道艦隊、そして楕円軌道にも配置されている
今回コンタクトを取るのは、地球から撤退するジオン軍を掃淘する使命を持つ
低軌道艦隊ではなく、それを補給などで側面支援する楕円軌道艦隊である。
そのため、コンタクトの位置が点であり軌道周回速度も速く艦船同士のコンタクトには
高度な技術が必要なのだが、その反面軌道上には入りやすい利点を持っているため
楕円軌道は軍事物資補給には良く活用されていた。
グリフィンから転送されているレイテの目的地点の座標と軌道アドレスから
クルーズコンピュータで楕円軌道に入りやすいコースを検索しインプットした
速度は徐々に加速する、地球圏は太陽などの複数の星の引力影響も大きいため、
その影響をを受けにくい第3宇宙速度を少し超えたあたりまで加速する
戦闘状態ではないため、暫くは慣性航行に入るのが経済的だ
私はブースターをオフにし、慣性飛行に入った。
戦闘速度での飛行では、足の短さを感じる大飯食らいだが、慣性飛行を行なうと
加速性能が良い事から、航続距離は行き先と飛び方により大きく変化する・・
地球に向かうコースは、地球が近づくにつれ地球の引力が作用し燃料の節約にもなるが
地球への直接の直線コースは軌道に乗るには不向きであり、結果的に燃料のロスが
多い、そのため、経済的な楕円の半分のような形のコースを取るのだが・・
このコースは経済面から良く使用されるため、ジオン軍にも遭遇する可能性も高い・・
まぁ、深度を深く取れば遭遇する可能性も低くなる事から、軍事バランスが
連邦側に傾いてきた事もあり、現在はジオン軍が深度を取っているとの報告だ・・
第3宇宙速度は60,120km/h、現在の速度が 約65,000km/h、別の言い方で言うと
マッハ53程度の速度になる。
これは絶対速度の数値であって、体感する相対速度ではない・・
つまり、この宙域(L1)で停止(相対速度ゼロ)していても、月が地球を公転する速度に
近い速度で常に動いているからだ・・
余談だが、月が地球を公転している速度って・・ 上記のマッハで言うと 2.7になる・・
相対速度ゼロなのに、実際はその速度で動いている事を誰も感じないことが、
その例であるが
まぁ・・ 第3宇宙速度にもなると、そのような違和感などは感じない事も事実だ・・
また、大気圏内を飛行する場合とも速度に対する考えは異なる・・
現実にYUKIKAZE(セイバーブースター)をプロトタイプとして開発し、
量産されたコアブースターは大気圏内でも飛行可能であるが、
最高速はマッハ4.8(5880km/h)であり、大気圏離脱能力である第1
宇宙速度(7.9 km/s:28,440km/h)を出すためには、
追加ブースターを使用している。連邦軍空軍のインターセプター仕様がその例だ
空気抵抗で減速しない宇宙空間では絶対速度と相対速度は大きな意味を持っている。
話を戻すが、怖いのは宇宙に浮かぶゴミ・・ デブリだ・・
この一年戦争で無数のデブリが漂っている
衝突するとマッハ53以上の速度でぶつかる事もありうる・・と言う事になるのだ
ただではすまない・・
空気抵抗が無いのに、なぜ宇宙戦闘機が尖がった形状になっているのかの理由でもある
そのため、監視レーダーには細心の注意が必要で、目視での監視も怠る事は出来ないが
監視レーダーもミノフスキー粒子散布時は信用できないし、前記したようにデブリの数も
増加している。そう考えると環境の変化に対応できていない事が明確で
このような高速での航海システムは戦争前環境でのシステムであり、今現在では
非常に危険なシステムであることが理解できる・・
サイド5から地球までは約320,000kmなので、5時間ほどのクルーズになる・・
というか、レイテ側の引継ぎがあるため、レイテに早く追いついても意味が無い。
つまり・・ いくら慣性飛行であっても、暇な訳ではない・・と言いたい訳であり・・
(5時間かぁ・・ あと5時間と言う事は、その時点ではリンの酸素は切れている
オーリン達のボールは酸素ボンベの容量が大きいので、まだ生存が可能な時間か・・
マサップはどのような判断をするのだろうか・ 頼むぞ・・)
見つかって欲しい・・ 何故かの理由は説明できないのだが・・
まだ生きている!と、本能的にどこかで感じていた・・
・・・
そういえば・・ 本当に沢山の仲間がどこかに行ってしまった・・
この宇宙のどこかに、まだ漂っている奴もいるだろう・・
実際に「戦死」と認定された仲間は一握りであり、ほとんどがMIAなのだ
これが宇宙空域での戦闘の特徴を物語っている・・
ふと、面前に見える地球上に眩く輝く爆発炎が見えた・・
徐々に地球に近づいているのだが、現時点で目に見える地球の大きさは、
ソフトボールぐらいの大きさだ・・
これぐらいの大きさになると、低軌道上での爆発炎などを確認する事ができる
この爆発炎の大半は、地球から打ち上げられたジオン軍のHLV
(Heavy-Launch Vehicle:衛星軌道と地球を往復できる大型の輸送カプセル)が
爆発炎上している炎であると聞いていた・・
地球上でのミリタリーバランスは完全に連邦軍の制圧配下に戻ったとの事・・
つまり、このHLVは、ジオン公国軍が地球から撤退し、宇宙に逃げてきているのだ
HLVには武器は無い・・ 抵抗など出来ないはず・・
しかし・・なぜ・・ 爆発炎上するのだ・・
意味不明の憤りを感じつつ、目の前に見える事実に頭が混乱する・・
太陽系第3惑星・・ 地球・・
それは、水と大気で包まれた生物にとって適温の星であり
生まれた時からコロニーで生活してきた私にとっては、有料(税金)で支給される
生存必需品が全て無料で存在する、理解しがたい惑星でもある・・
まぁ、我ら人類の母とも言える、素晴らしい惑星なのだが
なぜか、そこに住むことが出きる人間は厳選されていて、宇宙に住む民たちから
見た場合、なんらかの違和感を感じるのはごく自然な事象でもあった・・
そのような宇宙に住む民たち(スペースノイド)の気持ちを代弁し、
地球からは見えない月の裏に位置する、ラグランジュポイント2を中心に作られた
コロニー群サイド3が独立を宣言し、それを認めない地球連合との間に起こった戦争が
現在の戦争だ・・
我らスペースノイドとしては、サイド3ジオン公国の考え方に、理解できる部分が
多いのだが・・ 地球にコロニーを落下させたり、コロニー内に毒ガスを注入するなど
人道を外して行った行為は、決して理解する事は出来ない・・
というか、許す事は出来ないのだ
ただ・・
そのような気持ちで戦闘に参加していたのは、1年も前の事のよう思える・・
約1年前 宇宙世紀0079年1月3日・・ その悪夢が始まった
当時は中尉でセイバーフィッシュのパイロットでもあった私は、
ルナ2防衛隊に所属し、建設中のコロニー群サイド7宙域で訓練飛行中であった
その訓練中に緊急連絡が入り、サイド1、2、4がジオン軍の攻撃で壊滅した事を
知らされたのだが・・
それまでのお正月気分は完全に吹っ飛び怒りがこみ上げ、その怒りをどこにぶつければ
良いのかが自分では理解できなかった事を覚えている・・
すぐに連邦軍の反撃が始まった・・ 私は軍の命令のままルウム戦役に召集され、
私の戦争が始まったのだ・・
(そこで、オーリンと一緒の隊に配属されたんだっけ・・)
YUKIKAZEのコックピットはセイバーフイッシュの物を流用している・・
このコックピットに座っていると、昔の事が走馬灯のように蘇ってくる
その後は、本当に悪夢の連続だった・・
ジオン軍のモビルスーツ・・ ザク・・ この脅威を目の当たりにしたときに
連邦軍の敗北を肌で感じていた・・
そんな時に、ジオン公国軍が終戦交渉を持ちかけてきたのだ・・
正直に言おう・・ ジオン公国軍が行った事は決して許す事は出来ない! が・・
「良かった・・ これで戦争が終わる・・」と、思った事も事実であり、
また、ほとんどの連邦軍兵士もそう感じたように記憶している・・
しかし・・ 時代は残酷である・・ 戦争は終わらなかったのだ!
地球連邦軍機動艦隊の旗艦であったマゼラン型戦艦「アナンケ」が、
ジオン公国軍のエース部隊である黒い三連星と呼ばれるザク1小隊に強襲され
司令官であったレビル将軍(当時中将)が、ジオン軍の捕虜となったのだが・・
そのレビル将軍がジオン軍から脱出し、連邦軍に戻ってきたのだった・・
連邦軍全部隊に、緊急ニュースとしてその模様が配信された
「ジオンに兵無し!」と!
その放送により、弱腰であった連邦軍首脳陣は息を吹き返した・・
結果、ジオン公国からの終戦交渉は決裂し、南極条約という軍事協定が結ばれて、
戦争は継続になったのだ・・
歴史に if は存在しない・・ が、しかし!
もし、あの時に、終戦協定が結ばれていれば・・
もし、あの時に、レビル将軍が帰ってこなければ・・
そして、もし、レビル将軍が「ジオンに兵無し!」と、言わなければ・・・・・
ジオン軍は、地球降下作戦などは行わず、目の前に見える低軌道上での眩い輝きも
一切発する事が無かったのだ・・
それは私の仲間達も同じである・・ 奴らが・・ あいつらが・・
私の前から消える事は無かったのである
地球連邦軍の全ての兵士や将校の全員が、レビル派ではない理由が実はここにある
同じ制服を着ているのではあるが、決して一枚岩ではない・・
この最近1ヶ月は、連邦軍の軍備も復活し、更に軍事バランスでの最大のキーでも
あったジオン軍戦略兵器モビルスーツザクの脅威も、連邦軍独自のMSが開発され、
順次配備された。劣勢であった戦局は連邦軍側に傾き始めてきたのだ・・
その連邦軍優勢の戦況変化に、かき消され、忘れかけていた思いが再度蘇ってきた
地球の低軌道付近に輝く光・・ その光が輝いた瞬間に・・100人以上の
宇宙の民の命が消えているのだ!・・ 戦争にルールが無い訳ではないだろう!
消えていった私の仲間達と、輝く光とがシンクロし、思いが交錯した。
・・・
ふと、レーダにアンノーンが表示され、ヘルメット内のスピーカーからアラームが鳴る
少々ボケていた頭が覚醒する! (やはり私は軍人か?・・)
距離は・・ 9000?・・
ミノフスキー粒子が散布されていない宙域では、やはりレーダーの威力は素晴らしい
見る間にその宙域に近づいていくが・・ まだ、そこに何があるのかは不明だ
他のセンサー類で感知した情報をコンピュータが解析し、何であるかの可能性の
高いと思われる機種名などを表示する・・
(ミノフスキー粒子を散布していないな・・ 小型の戦闘艇か宙航シャトルか?)
パイロットの性なのか、ごく自然に機銃の安全装置を解除し、メガ粒子砲のエネルギー
チャージを開始する、俗にいう第一種戦闘配備状態なのだが、この時、私は機銃の
安全装置を解除すると、戦闘記録ログが自動的に記録開始になる事を忘れていた。
レーダ表示のアンノーンが黄色に点滅し「ソドン」との表示に変った・・
警戒音が鳴る・・
(ソドン型巡航船?・・ ジオン製の艦船か・・ 厄介だな・・)
ソドン型巡航船とは大型の推進剤タンクを増設した、航続距離が長い巡航船である
コロニー間のような短距離ではなく、サイド間や月、また、地球の高軌道から低軌道
への貨物輸送を行う「スペースタグ」として開発され、民間でも広く使用されている
ジオン公国製の巡航船だ・・
低軌道から高軌道への移動が可能な性能は、地球の引力圏を脱出するだけの
加速能力を持つ事を表している・・
そのような長い航続距離とその機動力が評価され、戦争が始まった後
民間からジオン公国軍に多くの船が徴用されたと聞いている・・
徴用されると武装もされているだろう・・ そうなったら、敵の戦闘艦だ・・
レーダ表示が黄色の場合は、民間船の可能性を表しているのだが
ジオン軍の船でも識別信号をオフにすれば、赤表示ではなく黄色表示になり
民間船に偽装する事が可能である・・ しかし、それは協定違反にもなる行為だ!
距離が800になり、目視で確認できるようになる・・
(ジオンか? 民間船か?・・ 向こうも気付いているはずだが・・)
ブースターをオンにし、巡航コースから離脱し、ソドン型巡航船にコースを取る・・
ターゲットスコープに不審船を捕らえた・・
見えた!
(くそぉ! 重火器で武装してやがる! ジオンだ!!
何をチンタラと単機で行動する! ジオンの制圧空域ではないだろ! 迂闊だぞ!)
ターゲットスコープでロックオンする
すると、ロックオンされた事が解ったのか、ソドン巡航船が回避行動に入った!
ソドン巡航船の機動力は高い! しかしだ!
「遅いっ!!」
(このYUKIKAZEは、ただの宇宙戦闘機ではない! 逃げれると思っているのか? )
トリガーに指がかかる・・ その時、妙な物が目に入った・・
船の後ろにたなびく、何本ものヒゲのような物だ・・
(なんだ? あれは?・・ ん? 曳航索?・・ ・・!)
慌ててロックオンを解除し、ソドン巡航船の上部を迂回する・・
間違いない・・ 地球から逃げてきたジオン軍のHLVを救助するために
低軌道空域に向かっているのだ!
もちろん低軌道上には連邦軍低軌道艦隊が待ち受けている・・
HLVを無事回収できる可能性は極めて低い・・
なのに・・ 危険を顧みず・・ 単機で・・ 護衛もつけずに・・ 彼らだけで・・
きっと、何も出来ない宇宙空間で、ただ溺れる事だけを待っている仲間達を、
1人でも救出したい! との思いからであろう・・
そんな勇気のある奴らを撃つ事など、今の私には出来なかったのだ
私に5時間の時間が無かったなら・・
また地球上空で輝く爆発炎を見ていなければ・・
間違いなく攻撃し、撃沈していたに違いない
頭の中でプチンと音を立て、糸が1本切れたように感じていた
私は何事も無かったかのように、コースを元の楕円軌道方向に戻し、
何かを言いたげに2~3度左右にバンクするソドン巡航船を後にしていた。
・・・
クルーズコンピュータから新しいメッセージが表示された
どうやら、楕円軌道に侵入するプロセスに入ったようだ・・
楕円軌道は地球に近い距離では中軌道あたりまで近づくが、離れた距離では
高軌道よりかなり高い高度まで上がる軌道をとる・・
高軌道の支援艦隊と低軌道の監視艦隊とは相互に交代任務についているらしいが
補給などは高軌道で行われるために、軌道外宇宙と高軌道との間の連絡を取るために
楕円軌道が利用されるのだ・・
まぁ、軌道などは物質の速度に応じて、無限に設定できるのだが、
それでは解りにくいので、幾つかの軌道を名称をつけて定義している
「人類が識別のために宇宙に付けたストリート(道)名称・・」とでも考えれば
理解しやすい。
クルースコンピュータの制御の元、何度かのブースターオンやアポジモータの機動で
姿勢制御が行われ、クルーズコンピュータの表示がブルーとなった。
メッセージが表示される・・
「ようこそ地球に♪」
しゃれたメッセージだ、楕円軌道の周回に入った事を表していた。
クルーズコンピュータにインプットされた「巡洋艦レイテ」の座標位置と
現実の座標にズレがあったのか、レイテを目視する事が出来なかったが
クルーズコンピュータが補正制御を行ない、レイテの座標にコントロール
してくれる・・ 便利な世の中になった物だ。
航海士になるための宇宙航海特務章を取得するためには、現在でも手作業での
航路計算の課程があるという・・
もちろんパイロット育成過程にも、その入門課程はあるのだが、かなり簡単な
物ではあるらしいが、私には難解であり、かなり苦手であった事を思い出す・・
クルースコンピュータは壊れないで欲しい
そんな事を考えている内に、モニター表示が変った・・
約10分ほどで、レイテとコンタクトするとのインフォメーションだ・・
レーダーには数隻の連邦軍艦艇が捕捉されている、これは?・・(高軌道艦隊か!)
暫くすると肉眼でも捉える事が出来る・・ 久々に見る地球連邦軍の大艦隊だ
マゼランクラスの戦艦こそ1隻だけだが、サラミスタイプの巡洋艦が6隻程・・
コロンブスクラスの補給艦が10数隻・・ 3個戦隊相当か・
明るく輝く地球の上に編隊を組んで浮かんでいる・・ 威風堂々だ!
良く見ると、各艦の間をランチ艇やボール、そして小型戦闘機のトリアーエズが
行き来している・・ モビルスーツの姿は見えない・・
そんな中、突然スピーカが鳴る・・
「・・・ こちら連邦宇宙軍高軌道艦隊、司令部コントロールだ!
所属不明のコスモファイターに告ぐ! 所属と官姓名を名乗れ!」
「<第43話>高軌道艦隊」に続く・・・
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Copyright ichigowasabi
【第1部】
「<第1話> から <第24話>までのリンク」
【第2部】
「<第25話> から <第35話>までのリンク」
「<第36話>敵艦接近!」
「<第37話>被弾!そして・・」
「<第38話>MIA・・」
「<第39話>信頼!」
「<第40話>絹のスカーフ?」
「<第41話>ノーマルスーツは9号?」
【ガンダム外伝を楽しむための補講】
「補講(4)MS運用艦ヒポグリフ」
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グリフィンから少し離れた地点で、ブースターをフルオープンにする
強いGが身体にかかり、今更ながらこいつがトンでもないジャジャ馬であることを
再認識する・・
(さて、ビーム砲の反動を確認しておくか・・)
と、エネルギーチャージを開始した・・
サブパネルに表示された左右のゲージが上昇する・・
50・・ 60・・ 70・・ 80・・ 90・・ もどかしい・・
やはり戦闘時では、このチャージ速度は大きなリスクだ・・
100・・
ブースターをオフにして慣性飛行に入り、ビーム砲のトリガーを引いた!
右舷砲から鮮やかなオレンジ色の帯が前方に飛び出すが、
ちょうどブーメランの形のように線ではなく面を構成しビームが飛散した・・
機体は右舷に回り込むように回転を始めていた、かなり早い回転だ・・
更に当初からの癖も残っていて、上方への回転も加わり
360度くるくると回転してしまっている・・
右舷前方のアポジモーターを吹かし機体の体制を安定させた
(なるほど・・ これでは目標にヒットしても
ビームの威力が半減どころか効果が無いかもしれんな・・)
空になった右舷砲のレンジにエネルギーが充填されつつあるが
特に過充填の影響は感じられない・・
(こちらは問題がないか・・)
切り替えレバーを左舷砲に切り替え、今度はブースターをオンにしトリガーを引く・・
今度は進行方向が左方に5度ほどズレ、しなったムチのような形でビームが飛ぶ・・
上方への跳ね上がりは2連装同時に比べ、かなり少ない感覚だ・・
(約5度か・・ これはちょいと難しいな・・)
技術者が連装同時発射にした理由が、理解できた
しかし、今はこの補正の感覚をつかんでおかねばならない・・
その後、何度か試射し10数回の試射で、どうにか槍のように一直線に伸びる
ビームを撃つ事ができるようになっていた・・
(おう! やったね♪)
というか話し相手(褒めてくれる人)が居ないのは寂しい物である・・
(さて・・ 地球の衛星軌道上に向かうか!)
私は再度ブースターをオンにした・・
軌道護衛艦隊は低軌道艦隊と高軌道艦隊、そして楕円軌道にも配置されている
今回コンタクトを取るのは、地球から撤退するジオン軍を掃淘する使命を持つ
低軌道艦隊ではなく、それを補給などで側面支援する楕円軌道艦隊である。
そのため、コンタクトの位置が点であり軌道周回速度も速く艦船同士のコンタクトには
高度な技術が必要なのだが、その反面軌道上には入りやすい利点を持っているため
楕円軌道は軍事物資補給には良く活用されていた。
グリフィンから転送されているレイテの目的地点の座標と軌道アドレスから
クルーズコンピュータで楕円軌道に入りやすいコースを検索しインプットした
速度は徐々に加速する、地球圏は太陽などの複数の星の引力影響も大きいため、
その影響をを受けにくい第3宇宙速度を少し超えたあたりまで加速する
戦闘状態ではないため、暫くは慣性航行に入るのが経済的だ
私はブースターをオフにし、慣性飛行に入った。
戦闘速度での飛行では、足の短さを感じる大飯食らいだが、慣性飛行を行なうと
加速性能が良い事から、航続距離は行き先と飛び方により大きく変化する・・
地球に向かうコースは、地球が近づくにつれ地球の引力が作用し燃料の節約にもなるが
地球への直接の直線コースは軌道に乗るには不向きであり、結果的に燃料のロスが
多い、そのため、経済的な楕円の半分のような形のコースを取るのだが・・
このコースは経済面から良く使用されるため、ジオン軍にも遭遇する可能性も高い・・
まぁ、深度を深く取れば遭遇する可能性も低くなる事から、軍事バランスが
連邦側に傾いてきた事もあり、現在はジオン軍が深度を取っているとの報告だ・・
第3宇宙速度は60,120km/h、現在の速度が 約65,000km/h、別の言い方で言うと
マッハ53程度の速度になる。
これは絶対速度の数値であって、体感する相対速度ではない・・
つまり、この宙域(L1)で停止(相対速度ゼロ)していても、月が地球を公転する速度に
近い速度で常に動いているからだ・・
余談だが、月が地球を公転している速度って・・ 上記のマッハで言うと 2.7になる・・
相対速度ゼロなのに、実際はその速度で動いている事を誰も感じないことが、
その例であるが
まぁ・・ 第3宇宙速度にもなると、そのような違和感などは感じない事も事実だ・・
また、大気圏内を飛行する場合とも速度に対する考えは異なる・・
現実にYUKIKAZE(セイバーブースター)をプロトタイプとして開発し、
量産されたコアブースターは大気圏内でも飛行可能であるが、
最高速はマッハ4.8(5880km/h)であり、大気圏離脱能力である第1
宇宙速度(7.9 km/s:28,440km/h)を出すためには、
追加ブースターを使用している。連邦軍空軍のインターセプター仕様がその例だ
空気抵抗で減速しない宇宙空間では絶対速度と相対速度は大きな意味を持っている。
話を戻すが、怖いのは宇宙に浮かぶゴミ・・ デブリだ・・
この一年戦争で無数のデブリが漂っている
衝突するとマッハ53以上の速度でぶつかる事もありうる・・と言う事になるのだ
ただではすまない・・
空気抵抗が無いのに、なぜ宇宙戦闘機が尖がった形状になっているのかの理由でもある
そのため、監視レーダーには細心の注意が必要で、目視での監視も怠る事は出来ないが
監視レーダーもミノフスキー粒子散布時は信用できないし、前記したようにデブリの数も
増加している。そう考えると環境の変化に対応できていない事が明確で
このような高速での航海システムは戦争前環境でのシステムであり、今現在では
非常に危険なシステムであることが理解できる・・
サイド5から地球までは約320,000kmなので、5時間ほどのクルーズになる・・
というか、レイテ側の引継ぎがあるため、レイテに早く追いついても意味が無い。
つまり・・ いくら慣性飛行であっても、暇な訳ではない・・と言いたい訳であり・・
(5時間かぁ・・ あと5時間と言う事は、その時点ではリンの酸素は切れている
オーリン達のボールは酸素ボンベの容量が大きいので、まだ生存が可能な時間か・・
マサップはどのような判断をするのだろうか・ 頼むぞ・・)
見つかって欲しい・・ 何故かの理由は説明できないのだが・・
まだ生きている!と、本能的にどこかで感じていた・・
・・・
そういえば・・ 本当に沢山の仲間がどこかに行ってしまった・・
この宇宙のどこかに、まだ漂っている奴もいるだろう・・
実際に「戦死」と認定された仲間は一握りであり、ほとんどがMIAなのだ
これが宇宙空域での戦闘の特徴を物語っている・・
ふと、面前に見える地球上に眩く輝く爆発炎が見えた・・
徐々に地球に近づいているのだが、現時点で目に見える地球の大きさは、
ソフトボールぐらいの大きさだ・・
これぐらいの大きさになると、低軌道上での爆発炎などを確認する事ができる
この爆発炎の大半は、地球から打ち上げられたジオン軍のHLV
(Heavy-Launch Vehicle:衛星軌道と地球を往復できる大型の輸送カプセル)が
爆発炎上している炎であると聞いていた・・
地球上でのミリタリーバランスは完全に連邦軍の制圧配下に戻ったとの事・・
つまり、このHLVは、ジオン公国軍が地球から撤退し、宇宙に逃げてきているのだ
HLVには武器は無い・・ 抵抗など出来ないはず・・
しかし・・なぜ・・ 爆発炎上するのだ・・
意味不明の憤りを感じつつ、目の前に見える事実に頭が混乱する・・
太陽系第3惑星・・ 地球・・
それは、水と大気で包まれた生物にとって適温の星であり
生まれた時からコロニーで生活してきた私にとっては、有料(税金)で支給される
生存必需品が全て無料で存在する、理解しがたい惑星でもある・・
まぁ、我ら人類の母とも言える、素晴らしい惑星なのだが
なぜか、そこに住むことが出きる人間は厳選されていて、宇宙に住む民たちから
見た場合、なんらかの違和感を感じるのはごく自然な事象でもあった・・
そのような宇宙に住む民たち(スペースノイド)の気持ちを代弁し、
地球からは見えない月の裏に位置する、ラグランジュポイント2を中心に作られた
コロニー群サイド3が独立を宣言し、それを認めない地球連合との間に起こった戦争が
現在の戦争だ・・
我らスペースノイドとしては、サイド3ジオン公国の考え方に、理解できる部分が
多いのだが・・ 地球にコロニーを落下させたり、コロニー内に毒ガスを注入するなど
人道を外して行った行為は、決して理解する事は出来ない・・
というか、許す事は出来ないのだ
ただ・・
そのような気持ちで戦闘に参加していたのは、1年も前の事のよう思える・・
約1年前 宇宙世紀0079年1月3日・・ その悪夢が始まった
当時は中尉でセイバーフィッシュのパイロットでもあった私は、
ルナ2防衛隊に所属し、建設中のコロニー群サイド7宙域で訓練飛行中であった
その訓練中に緊急連絡が入り、サイド1、2、4がジオン軍の攻撃で壊滅した事を
知らされたのだが・・
それまでのお正月気分は完全に吹っ飛び怒りがこみ上げ、その怒りをどこにぶつければ
良いのかが自分では理解できなかった事を覚えている・・
すぐに連邦軍の反撃が始まった・・ 私は軍の命令のままルウム戦役に召集され、
私の戦争が始まったのだ・・
(そこで、オーリンと一緒の隊に配属されたんだっけ・・)
YUKIKAZEのコックピットはセイバーフイッシュの物を流用している・・
このコックピットに座っていると、昔の事が走馬灯のように蘇ってくる
その後は、本当に悪夢の連続だった・・
ジオン軍のモビルスーツ・・ ザク・・ この脅威を目の当たりにしたときに
連邦軍の敗北を肌で感じていた・・
そんな時に、ジオン公国軍が終戦交渉を持ちかけてきたのだ・・
正直に言おう・・ ジオン公国軍が行った事は決して許す事は出来ない! が・・
「良かった・・ これで戦争が終わる・・」と、思った事も事実であり、
また、ほとんどの連邦軍兵士もそう感じたように記憶している・・
しかし・・ 時代は残酷である・・ 戦争は終わらなかったのだ!
地球連邦軍機動艦隊の旗艦であったマゼラン型戦艦「アナンケ」が、
ジオン公国軍のエース部隊である黒い三連星と呼ばれるザク1小隊に強襲され
司令官であったレビル将軍(当時中将)が、ジオン軍の捕虜となったのだが・・
そのレビル将軍がジオン軍から脱出し、連邦軍に戻ってきたのだった・・
連邦軍全部隊に、緊急ニュースとしてその模様が配信された
「ジオンに兵無し!」と!
その放送により、弱腰であった連邦軍首脳陣は息を吹き返した・・
結果、ジオン公国からの終戦交渉は決裂し、南極条約という軍事協定が結ばれて、
戦争は継続になったのだ・・
歴史に if は存在しない・・ が、しかし!
もし、あの時に、終戦協定が結ばれていれば・・
もし、あの時に、レビル将軍が帰ってこなければ・・
そして、もし、レビル将軍が「ジオンに兵無し!」と、言わなければ・・・・・
ジオン軍は、地球降下作戦などは行わず、目の前に見える低軌道上での眩い輝きも
一切発する事が無かったのだ・・
それは私の仲間達も同じである・・ 奴らが・・ あいつらが・・
私の前から消える事は無かったのである
地球連邦軍の全ての兵士や将校の全員が、レビル派ではない理由が実はここにある
同じ制服を着ているのではあるが、決して一枚岩ではない・・
この最近1ヶ月は、連邦軍の軍備も復活し、更に軍事バランスでの最大のキーでも
あったジオン軍戦略兵器モビルスーツザクの脅威も、連邦軍独自のMSが開発され、
順次配備された。劣勢であった戦局は連邦軍側に傾き始めてきたのだ・・
その連邦軍優勢の戦況変化に、かき消され、忘れかけていた思いが再度蘇ってきた
地球の低軌道付近に輝く光・・ その光が輝いた瞬間に・・100人以上の
宇宙の民の命が消えているのだ!・・ 戦争にルールが無い訳ではないだろう!
消えていった私の仲間達と、輝く光とがシンクロし、思いが交錯した。
・・・
ふと、レーダにアンノーンが表示され、ヘルメット内のスピーカーからアラームが鳴る
少々ボケていた頭が覚醒する! (やはり私は軍人か?・・)
距離は・・ 9000?・・
ミノフスキー粒子が散布されていない宙域では、やはりレーダーの威力は素晴らしい
見る間にその宙域に近づいていくが・・ まだ、そこに何があるのかは不明だ
他のセンサー類で感知した情報をコンピュータが解析し、何であるかの可能性の
高いと思われる機種名などを表示する・・
(ミノフスキー粒子を散布していないな・・ 小型の戦闘艇か宙航シャトルか?)
パイロットの性なのか、ごく自然に機銃の安全装置を解除し、メガ粒子砲のエネルギー
チャージを開始する、俗にいう第一種戦闘配備状態なのだが、この時、私は機銃の
安全装置を解除すると、戦闘記録ログが自動的に記録開始になる事を忘れていた。
レーダ表示のアンノーンが黄色に点滅し「ソドン」との表示に変った・・
警戒音が鳴る・・
(ソドン型巡航船?・・ ジオン製の艦船か・・ 厄介だな・・)
ソドン型巡航船とは大型の推進剤タンクを増設した、航続距離が長い巡航船である
コロニー間のような短距離ではなく、サイド間や月、また、地球の高軌道から低軌道
への貨物輸送を行う「スペースタグ」として開発され、民間でも広く使用されている
ジオン公国製の巡航船だ・・
低軌道から高軌道への移動が可能な性能は、地球の引力圏を脱出するだけの
加速能力を持つ事を表している・・
そのような長い航続距離とその機動力が評価され、戦争が始まった後
民間からジオン公国軍に多くの船が徴用されたと聞いている・・
徴用されると武装もされているだろう・・ そうなったら、敵の戦闘艦だ・・
レーダ表示が黄色の場合は、民間船の可能性を表しているのだが
ジオン軍の船でも識別信号をオフにすれば、赤表示ではなく黄色表示になり
民間船に偽装する事が可能である・・ しかし、それは協定違反にもなる行為だ!
距離が800になり、目視で確認できるようになる・・
(ジオンか? 民間船か?・・ 向こうも気付いているはずだが・・)
ブースターをオンにし、巡航コースから離脱し、ソドン型巡航船にコースを取る・・
ターゲットスコープに不審船を捕らえた・・
見えた!
(くそぉ! 重火器で武装してやがる! ジオンだ!!
何をチンタラと単機で行動する! ジオンの制圧空域ではないだろ! 迂闊だぞ!)
ターゲットスコープでロックオンする
すると、ロックオンされた事が解ったのか、ソドン巡航船が回避行動に入った!
ソドン巡航船の機動力は高い! しかしだ!
「遅いっ!!」
(このYUKIKAZEは、ただの宇宙戦闘機ではない! 逃げれると思っているのか? )
トリガーに指がかかる・・ その時、妙な物が目に入った・・
船の後ろにたなびく、何本ものヒゲのような物だ・・
(なんだ? あれは?・・ ん? 曳航索?・・ ・・!)
慌ててロックオンを解除し、ソドン巡航船の上部を迂回する・・
間違いない・・ 地球から逃げてきたジオン軍のHLVを救助するために
低軌道空域に向かっているのだ!
もちろん低軌道上には連邦軍低軌道艦隊が待ち受けている・・
HLVを無事回収できる可能性は極めて低い・・
なのに・・ 危険を顧みず・・ 単機で・・ 護衛もつけずに・・ 彼らだけで・・
きっと、何も出来ない宇宙空間で、ただ溺れる事だけを待っている仲間達を、
1人でも救出したい! との思いからであろう・・
そんな勇気のある奴らを撃つ事など、今の私には出来なかったのだ
私に5時間の時間が無かったなら・・
また地球上空で輝く爆発炎を見ていなければ・・
間違いなく攻撃し、撃沈していたに違いない
頭の中でプチンと音を立て、糸が1本切れたように感じていた
私は何事も無かったかのように、コースを元の楕円軌道方向に戻し、
何かを言いたげに2~3度左右にバンクするソドン巡航船を後にしていた。
・・・
クルーズコンピュータから新しいメッセージが表示された
どうやら、楕円軌道に侵入するプロセスに入ったようだ・・
楕円軌道は地球に近い距離では中軌道あたりまで近づくが、離れた距離では
高軌道よりかなり高い高度まで上がる軌道をとる・・
高軌道の支援艦隊と低軌道の監視艦隊とは相互に交代任務についているらしいが
補給などは高軌道で行われるために、軌道外宇宙と高軌道との間の連絡を取るために
楕円軌道が利用されるのだ・・
まぁ、軌道などは物質の速度に応じて、無限に設定できるのだが、
それでは解りにくいので、幾つかの軌道を名称をつけて定義している
「人類が識別のために宇宙に付けたストリート(道)名称・・」とでも考えれば
理解しやすい。
クルースコンピュータの制御の元、何度かのブースターオンやアポジモータの機動で
姿勢制御が行われ、クルーズコンピュータの表示がブルーとなった。
メッセージが表示される・・
「ようこそ地球に♪」
しゃれたメッセージだ、楕円軌道の周回に入った事を表していた。
クルーズコンピュータにインプットされた「巡洋艦レイテ」の座標位置と
現実の座標にズレがあったのか、レイテを目視する事が出来なかったが
クルーズコンピュータが補正制御を行ない、レイテの座標にコントロール
してくれる・・ 便利な世の中になった物だ。
航海士になるための宇宙航海特務章を取得するためには、現在でも手作業での
航路計算の課程があるという・・
もちろんパイロット育成過程にも、その入門課程はあるのだが、かなり簡単な
物ではあるらしいが、私には難解であり、かなり苦手であった事を思い出す・・
クルースコンピュータは壊れないで欲しい
そんな事を考えている内に、モニター表示が変った・・
約10分ほどで、レイテとコンタクトするとのインフォメーションだ・・
レーダーには数隻の連邦軍艦艇が捕捉されている、これは?・・(高軌道艦隊か!)
暫くすると肉眼でも捉える事が出来る・・ 久々に見る地球連邦軍の大艦隊だ
マゼランクラスの戦艦こそ1隻だけだが、サラミスタイプの巡洋艦が6隻程・・
コロンブスクラスの補給艦が10数隻・・ 3個戦隊相当か・
明るく輝く地球の上に編隊を組んで浮かんでいる・・ 威風堂々だ!
良く見ると、各艦の間をランチ艇やボール、そして小型戦闘機のトリアーエズが
行き来している・・ モビルスーツの姿は見えない・・
そんな中、突然スピーカが鳴る・・
「・・・ こちら連邦宇宙軍高軌道艦隊、司令部コントロールだ!
所属不明のコスモファイターに告ぐ! 所属と官姓名を名乗れ!」
「<第43話>高軌道艦隊」に続く・・・
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Copyright ichigowasabi
見送るって事が出来るのかなぁ。
平時なら、そう考える事も出来るだろうけど、
戦時中って人が人じゃなくなるイメージ…
だから、そう言った話が後世に語り継がれて、
小説になったりドラマになるんだろうな。
どんな時にも、人でいたいな。
と、思わせる話でした。
>本当の戦争だったら、ソドンってのに攻撃しないで
>見送るって事が出来るのかなぁ。
条約があります。戦争もルールがあるのです・・
ただ、赤十字を掲げていないとダメ・・
戦闘能力のある艦船や航空機、戦車などに
搭乗していると、無条件で敵とみなされ攻撃されても
文句は言えません・・
この物語の中では、武装されていた巡航船ですので・・
あとは考えてください(笑)
>平時なら、そう考える事も出来るだろうけど、
>戦時中って人が人じゃなくなるイメージ…
う~ん 人が人でなくなるような激戦地の場合と
戦時中であっても、その時代の教育などで
人が人でなくなっちゃうのでしょうね・・
>だから、そう言った話が後世に語り継がれて、
>小説になったりドラマになるんだろうな。
そうですよね♪ そういえばこんな話があります
第2次世界大戦(太平洋戦争)での話・・
日本海軍のゼロ戦(零式艦上戦闘機)が3機で
敵(アメリカ軍)の基地上空に進入しました。
敵は大慌て!
でもゼロ戦は敵基地を攻撃することなく
3機編隊を崩さず、大きなループ(宙返り)を3回・・
更に高度を下げて もう3回ループを行って
その場を立ち去ったそうです
敵の兵士やパイロット・・ そして司令官など
そのループを見て、喝采の声をあげたとか・・
というか、2000メートルという低空なのに
敵は全く高射砲の1発も打たなかったのです!(事実)
そして技術に感心した敵の司令官は、その思いを手紙に書いて
日本の基地(ラサ基地)上空に戦闘機を送り・・
その手紙を日本の基地に落としました。
その手紙には
「先日の宙返り飛行士は、大いに我々は気に入った。
今度やってくるときは緑色のマフラーをつけてこられたい。
われわれはこぞってその英雄たちを歓迎するであろう。」
そのパイロットとは あの撃墜王 坂井三郎なんです♪
こういう武勇伝で語り継がれるのでしょうね
>どんな時にも、人でいたいな。
>と、思わせる話でした。
うん♪ 感想ありがとうございま~す。